【記事無料公開】小池百合子も知らないテキトーな「都営地下鉄」の実態

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新型コロナショックで開催延期が決定した東京オリンピック。

小池百合子東京都知事は当初、「花見の自粛」要請などと悠長に構えていたのに、五輪延期が決まった途端、「首都封鎖」も検討と、突如、"非常事態"モードに豹変しました。人口比から見て東京の感染者が異様に少ないとの指摘もありますが、自身の都知事選を睨んでのパフォーマンスに見えるのは穿ち過ぎでしょうか。

しかし、そんな都知事の下、都職員も弛緩しているようで......。今回は、そんなことを物語る、2020年4月号(3月1日発売)掲載の記事《都営地下鉄 英語アナウンスで「注意喚起」を省略》を無料公開します。

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〈私は10年近く日本在住しているアメリカ人で、都営地下鉄新宿線に毎日乗っています。

 最近は、オリンピックも近くなり、たくさんの外国人が都営地下鉄を利用するようになっています。そんな中、車内で流れる英語のアナウンスで、腹を立てていることがあります。

 通常の日本語のアナウンスでは駅の乗り換え情報の他にも「一部電車とホームとの間が空いておりますのでご注意ください」などとアナウンスが流れます。

 しかし、その後に流れる英語のアナウンスは乗り換え情報のみで、注意に関するアナウンスは一切流れないのです。注意する必要があるのは外国人も同じじゃないですか。これは外国人差別だと思います。ヒドイですよ!〉(読者のメールより)

 普段からなんとなく聞き流している地下鉄の車内アナウンス。まして、英語のアナウンスで何を話しているかなど、これまで気にしたことがあっただろうか。

 しかし、ここ数年、明らかに日本国内には外国人労働者や外国人旅行客が増加している。

 実際に都営地下鉄に乗り込み、車内アナウンスを調査したところ、いくつかの駅の到着前に流れるアナウンスでは、日本語と英語で内容が異なっており、もっとも重要な注意喚起のアナウンスが省かれていたのである。

 この件につき早速、東京都交通局総務部広報担当の永井氏に取材を申し込んだ。すると、注意喚起情報を端折っているのは「事実」と認めた。

「英語のアナウンスの文面はまず当局の職員が日本語で考え、その後、委託業者に翻訳を依頼しています」

 この英語放送は1991年に都営地下鉄大江戸線開通時から始まっている。最近では2018年と19年に緊急時(地震発生時)のアナウンスが日英中韓の4カ国語で追加されているらしい。

 しかし、なぜ、日本語と英語のアナウンス内容を変えているのだろうか。むしろ不慣れな外国人にこそ危険個所を教えるべきではないのか。

「次の駅名や乗り換え案内などの基本情報は必ず英語でアナウンスするよう、優先順位をつけて多言語対応しているのが現状です」と永井氏。注意喚起情報は基本情報ではないのか。

「今までこのような意見をいただいたことがなかったのですが、この取材を通して認識させていただきました。無下にしているとか、差別しているとかそういうことではないので......」

 このような言い訳をしているヒマがあったら、早く改定するべきである。しかし、都営地下鉄では英語アナウンスの改定予定は「今のところない」という。

 オリンピックの主催者である東京都の公共交通で、このような危険な状態を放置するなどもってのほか。今以上に外国人客が増える中、事故が起きたらどうするのか。

 アナウンスを改定しないのなら、車掌が「アテンションプリーズ!」ぐらい言えるよう英語のアナウンスの練習をし、明日から即刻、取り組むべきだろう。

なお、この記事で報じた後も都営地下鉄は、外国人向けの英語アナウンスの改善について何も取り組んでおらず、危険な状態のままの放置しているのです。外国人旅行客が少ない今だからこそ、東京都は外国語アナウンスの改善に取り組むべき時。それとも、外国人旅行客が来なくなったから、この問題は先送りにしてもいいとでも判断したのでしょうか。

危ないのは外国人も同じです。本誌編集部は一刻も早く都営地下鉄の英語アナウンスの改善を求めます。

さらにこの記事が掲載された本誌4月号が発売された3月1日以降も、編集部には都営地下鉄の対応を問題視する声が寄せられています。その中で、都営地下鉄の新型コロナウイルス対策絡みの読者からのメールをご紹介します。

〈私は都営地下鉄三田線で毎日通勤しているものですが、通勤中にかなりストレスを感じていることがあります。
 というのは、巷ではこれだけ新型コロナウィルスが問題視されているのに、車内換気がぜんぜん徹底されていないのです。混みあっている電車の中で換気は必須だと思っています。
 私は問題だと思ったので、その都度駅員にクレームを言ったり、東京都の相談窓口に電話を入れたりしたのですが、3月5日にも窓は閉められたままで、一向に改善されることがありませんでした。
 その一方で都営大江戸線ではきちんと換気がなされていました。この違いは一体何なのでしょうか〉

果たして、都営地下鉄はどう答えるのか――。回答したのは、東京都交通局の広報担当。

編集部 都営三田線では新型コロナウイルス対策でいつから地下鉄電車内の換気をはじめたのでしょうか。

東京都交通局 3月5日から換気の対応を行っています。車内の窓開けについては、三田線とか大江戸線とか関係なく、各車両2カ所をごとに窓を開けて対応しています。

編集部 しかし、読者の話によると3月5日の三田線では換気の対応はなされていなかったとのことですが。

東京都交通局 私どもはコロナウイルス感染防止を図るために窓開けに取り組んでいますが、地下鉄を利用されているお客様方の判断で窓を閉じることもできるのです。なので、必ずしも乗った時に開いているかというと、そういうわけではないところもありますので、ご注意いただきたいというところです。

一方、こんな声も編集部に寄せられている。

〈新型コロナウイルスが初声死してイベントなどを控えなくてはいけないのに、都営地下鉄はまだ地下鉄のイベントをやめていない〉(読者のメールより)

事実、以下のようなイベントが告知されていた。

https://blacklabel.takarush.jp/promo/tetsutan6/

では、これに対しどう答えるのか。

東京都交通局 そうですね、現状、行っている状態ですね。

......と、新型コロナウイルスで混乱している状態で、都営地下鉄内でのイベント開催について、東京都交通局は何も疑問に思っていない様子でしたが、イベント期間は3月22日までであったので、何もやらずに放置後"自然終了"といった状態だったのです。

しかも、これだけではありません。

〈テレビなどで小池百合子さんが、新型コロナ対策として花見の自粛の声明を出しているのに、都営地下鉄の駅に花見のポスターが貼っているのはなぜ?〉(読者のメールより)

東京都交通局 場所やポスターの場所が分からないので......。場所さえわかれば......。

......というので、この件についても編集部では調査を敢行しました。すると、瞬間的に都営大江戸線の飯田橋駅で花見のポスターを何種類も発見。そのポスターには貼り出し期間が3月31日とのこと。以下が証拠写真です。

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(いずれも3月13日、都営地下鉄大江戸線・飯田橋駅通路で撮影)

連日連夜、小池知事が新型コロナ関連の声明を発表している中で、この有り様はいかがなものでしょうか。このポスター群も、都営地下鉄職員が誰も気づかないまま、期限の3月31日まで貼り続けられるのでしょう。それもこれもすべて、東京都庁の「お役所仕事」の一端と言えそうです。

ちなみに、4月1日発売の5月号の「新あきれた広報実話」では、この間の東京都交通局のいい加減な取材対応をレポートしておりますので、そちらもぜひご覧ください!

なお、本誌では東京都営地下鉄をはじめ、公共サービスに関する情報提供を以下の公式サイトフォームおよびメールアドレスで募集しております。なお、情報源の秘匿については絶対ですので、その点についてはご信頼ください。

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【記事無料公開】青木功・日本ゴルフツアー機構で「クーデター」勃発の背後

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昨日、一部夕刊紙が報じた日本ゴルフツアー機構(JGTO)の"内紛問題"。その詳細は「日刊ゲンダイ」(電子版)の記事《男子ゴルフツアーでクーデター 大量41人が青木体制に"NO"》をご覧頂きたいが、JGTOの問題を巡って本誌「ZAITEN」は、その会長に君臨するプロゴルファー、青木功氏の機構トップとしての資質をはじめ、ガバナンス問題を再三にわたって問題視してきた。そして、ここにきて青木JGTOが"破綻"の瀬戸際に立っているのは、本誌の指摘通りの展開と言える。

実際、青木執行部が青木氏の"お友だち内閣"に堕し、理事などの幹部たちがまさに我田引水のような機構運営に終始してきたのは本誌既報の通り。そこで今回、日刊ゲンダイ記事でもコメントを寄せているゴルフ評論家の宮崎紘一氏寄稿の本誌2020年3月号(2月1日発売)記事《JGTOが名門・岐阜関CCにもたらした 「2020ツアー日程」の災厄》を特別に無料公開したい。同記事で報じられる青木体制の姿は、まさにJGTOがゴルフ界の発展はもちろん、選手たちのために資することのない我利我欲の有り様に他ならない。

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「2020年のJGTO(日本ゴルフツアー機構)のスローガンは〝感動〟〝歓喜〟〝感謝〟です」

 昨年1224日、都内ホテルで開かれた今年のツアー日程の発表でJGTOの青木功会長がこう発した。その言葉からは、青木氏自身がトップに立っても一向に低迷脱出の糸口も掴めない現状を何とか打開したいという焦りが伝わってくる。

 だが、発表された20年の日程を見る限り、昨年とほぼ同様。それどころか、その裏には岐阜の名門コースを愚弄する由々しき問題が内包されていた。

 20年の男子ツアー日程は2試合増えて2試合減少(2増2減)で、昨年と同じ25試合が組まれている。

 新設された大会は、7月8日から12日までの「ゴルフパートナー・プロアマトーナメント」(茨城県・取手国際GC=賞金総額5千万円)と、1029日から11月1日までの「THE TOP(ザ・トップ)」(開催コース未定=賞金総額1億円)で、消滅した大会は、昨年米PGAツアーの日本初開催となった「ZOZOチャンピオンシップ」(賞金総額約11億円)と、「HEIWA・PGMチャンピオンシップ」の2試合。

 ただし、2増2減とは言っても、若手登竜門のチャレンジツアーである「AbemaTVツアー」は、昨年の15試合から12試合に減少しているため、全体的には後退しているのが実情だ。

顔に泥を塗られた岐阜の名門コース

 冒頭で指摘した由々しき問題は、新設されたザ・トップの開催を巡ってのことである。

 日程の中で、韓国PGAと共催の「Shinhan Donghae Open」(昨年は韓国で開催)を除いて、国内大会で唯一、開催コースが未定なのはザ・トップだけ。そこにJGTOの重大な〝失策〟が隠されている。

 ザ・トップは、愛知県名古屋市に本社を置くトップホールディングス(小田悟社長)が冠スポンサーとなる大会。同社は通信・OA機器の販売・工事・保守やエコ関連事業、旅行業、リサイクル事業など、6つのグループ会社で構成され、昨年の売上高は233億3千万円、中部・東海地区では知られた企業である。

 実は、同社が男子ツアーに関与したのは今年からではない。

 14年から昨年まで、歴史ある大会で知られる「東海クラシック」に特別協賛会社として名を連ね、その間、大会名も「トップ杯東海クラシック」とされていた。

 だが、同グループの小田社長は、「自分たちの目指していることを実現するには、自らが『主催者』になり、もっと新しいチャレンジをしていかなければならないと考え、このたび、20年での新規男子ゴルフトーナメントの主催大会を目指し、具体的な行動を起こすことにしました」と大会主催の主旨を語り、東海クラシックからの離脱に踏み切ったのだ。

 同大会は発足以来、東海テレビ放送と、東海ラジオ放送が主となって運営してきた。だが、どうせ大金を拠出するなら脇役ではなく、前面に出たい。小田社長がそう考えても不自然ではない。

 ただ、その実現に向けたJGTOとの動きが中部地区で大きな批判に晒されている。

 もともと、小田社長は本社のある中部地区エリアでの大会開催を望んでいた。そこで白羽の矢を立てたのが、岐阜県の名門コース「岐阜関カントリー倶楽部」(岐阜県関市)である。

 同CCは、名匠・上田治設計で1964年に開場、本オープンの66年には高松宮・同妃殿下が参列したという由緒あるコースで、これまで男女のメジャー大会をはじめ、多くのビッグゲームが開催されてきた。73年に開催された日本プロでは現役だった青木会長が見事に優勝を果たしている。

 トップの小田社長が名指しで開催を希望するのも頷ける名門コースであり、小田社長の要請を受けた同CCでは、「中部地区のゴルフの活性化」も考え合わせて、昨年1014日の理事会で検討、開催を承諾した。

 翌日の15日には、トップが小田社長による署名と印鑑捺印した「開催申込書」をJGTOに提出、受理されている。

 この開催申込書受理に至るまでは、トップの依頼を受けた大手広告代理店やJGTO担当者による綿密なミーティングが毎月のように行われ、小田社長との打ち合わせ、岐阜関CCへの数度の訪問も行われてきた。そして開催申込書受理後の1023日には、JGTOと広告代理店担当者と岐阜関CC側とで契約に関する最終確認まで行っている。さらに、1111日、JGTO会議室では、青木会長、上田昌孝専務理事、佐々木孝悦常務理事(事務局長)、村田一治理事、佐藤信人理事らに加え、代理店幹部や担当者が集まり、実施要項、岐阜関CC理事長訪問の調整、同CCとの契約案などについて、綿密なミーティングが行われた。

 およそ半年後の6月開催に向けてすべてが動き出していたのだ。

皇族参加イベントにごり押し依頼

 ところが、事態は一変する。

 1128日、トップから6月から11月への日程変更の通知書(提出済みの申込書の取消書を含む)がJGTOに提出された。

 JGTOはトップの要望に応えて、1週間後の12月6日、開催登録承諾書を返送している。だが、この間、岐阜関CCには何の相談も報告もなされていない。開催コースでありながら完全に蚊帳の外で話が進んでいた。

 本来なら、直ちに開催コースに相談すべき事案だが、青木会長はそんな常識すら持ち合わせていないようだ。開催コースの日程変更など「オレが電話を入れれば簡単にクリアできる」と思っていたに違いない。

 実際、日程変更了承後、青木会長は、岐阜関CCの関谷均常務理事(同コース所属の森口祐子プロの夫)に再三にわたって日程調整(変更の)依頼の連絡を入れている。

 連絡を受けた関谷常務理事はこの勝手な変更に、「6月の開催がすでに主催者(トップ)、JGTO、当該ゴルフ場において了解済み。そもそも、変更予定という期日はすでに別の予定が入っており、当倶楽部としては、ただただ困惑するばかり」とJGTOサイドに伝えた。

 トップが突然、日程変更を言い出したのには理由がある。開催申込ギリギリの11月になって、「HEIWA・PGMチャンピオンシップ」の大会中止の情報が飛び込んできたからだ。

 小田社長は、かねてより秋口開催を望んでおり、この空白になる期間の後釜に飛びついたのだ。

 小田社長にこの情報をもたらしたのは青木シンパの理事の1人。本来なら、主催者と開催コースの間に入って調整をしなければならない立場のJGTOの人間が、主催者の言い分のみを聞き入れ、自ら混乱を招くきっかけをつくったのだ。

 一方、岐阜関CCには、小田社長が望む11月の日程に応じられない重要な予定が入っていた。

 この期間、岐阜県が県を挙げて取り組む「ねんりんピック」(全国健康福祉祭)のイベントが開催されるのだ。

 ねんりんピックとは、高齢者を中心とするスポーツや文化、健康と福祉の総合的な祭典で、厚生省(現・厚生労働省)創立50周年を記念して88年にスタート。開会式には皇族も列席する、いわば「国民的行事」である。毎年各県で持ち回り、高齢者を中心とする国民の健康の保持・増進、社会参加、生きがいの高揚等を図り、ふれあいと活力のある長寿社会の形成に寄与することを目的としている。

 今年は岐阜県の開催で、県知事以下、県総出で準備を進めている。そのイベントの中にはゴルフ大会もあり、岐阜関CCが会場に選出されているのだ。

 皇族も並ぶ催しに、プロゴルフのトーナメントが割り込むことなど到底許されない。

 そこにJGTOが強引に大会を押し込もうとしたわけだ。岐阜関CCが困惑、怒るのも当然である。岐阜県は今年のNHK大河ドラマの舞台でもあり、国家的イベントのねんりんピックと併せ、新設トーナメントの開催で県のPRと振興をしていくと、ゴルフ場ばかりか、県全体が盛り上がっていた。そんな上げ潮ムードをトップとJGTOは無情に踏みにじったことになる。

 おそらく岐阜関CCは、トーナメント開催の要請は二度と受け付けないだろうと関係者は見ている。

日程発表の場で筆者についた大ウソ

 日程発表の会場で、筆者はこの件について質問した。するとJGTOの浦山豊競技運営部部長から驚くべきコメントが発せられた。

「まず断っておきますが、第1回目の開催申込書はあくまで確認書に過ぎず、効力があるわけではありません。また岐阜関CCさんでは、変更期日が『ねんりんピック』と重なっているそうですが、ゴルフ大会が行われるのは11月2日の月曜日であり、日曜日は練習指定日。それを止めればトーナメント(ザ・トップ)を開催するのも可能と思われます」

 つまり、岐阜関CC側が融通を利かせろと言うわけだ。

 だが、開催申込書が確認書に過ぎないというのは明らかなウソである。主催者の正式な署名と印鑑まで押されているものであり、これまでのすべてのトーナメントは開催申込書が受理された時点で開催決定となってきたのだ。

 こんなとぼけた回答をしているにもかかわらず、そばにいる青木会長は一言も発言しなかった。

〝被害者〟は、岐阜関CCだけではない。半年以上もかけて、大会実現に奔走した大手広告代理店も契約を外され、JGTOの大会窓口で動いた担当者の努力も水泡に帰した。

 すべての責任は青木会長とシンパの理事の面々にある。

 この騒動は、中部地区のゴルフ場全体やゴルファーに伝わり、猛反発が起きているという。

 それでも、主催者のトップは、中部地区のゴルフ場での開催を希望している。だが、名門・岐阜関CCに対しての非情な行為があるだけに、新たに開催に手を上げるコースはなかなかないだろうという見方が強い。

 JGTOと青木会長は本当に男子ツアーの復興を考えているのだろうか。

 今年の日程を見ると、昨年、米PGAツアーが日本で初めて開催し大成功を収めた「ZOZOチャンピオンシップ」も日程から外された。そのため、今季の賞金総額は約11億円減となった。ZOZOで獲得した賞金の50%を賞金ランキングに加算するという約束も反故されたことになる。

 石川遼選手会長は、「選手に夢を与える機会をなぜ奪ったのか」と、この時、反論したそうだが、それに対する明確な返答もないという。

 このように、ツアー発展への明確な政策がない青木会長とJGTO執行部に選手の大半が愛想を尽かして、辞任に追い込む機運も充満しているという。

 青木会長が発した言葉は、「感動」を与えるのではなく、自身が男子プロたちから「勘当」されるということなのか。

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【記事無料公開】ワタミ渡辺美樹「会長復帰」に異議あり

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かつて「ブラック経営者」の称号を欲しいままにしたワタミ創業者の渡辺美樹氏。2019年10月7日に会見を開き、再びワタミ会長に復帰した。しかし、参議院議員生活6年間で歳費を貪り食った無責任男の現場復帰は会社経営に暗い影を落とす――。2020年3月号で掲載した《ワタミ渡辺美樹「会長復帰」に異議あり》を無料公開します。

なお、本誌編集部ではワタミに関する情報を広く募集しております。些細な情報とお感じのことでも結構ですので、以下の公式サイト情報提供フォームおよび編集部メールアドレスなどで情報をお寄せください。情報源の秘匿については絶対ですので、その点についてはご信頼頂ければ幸甚です。

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 居酒屋チェーン「ワタミ」創業者の渡辺美樹が参議院議員選挙に出馬し、自民党議員となったのは2013年7月。その後、『週刊東洋経済』(2015年11月28日号)インタビューでは「ワタミに戻ることは1000%ない」と公言していたはずだが、人の言葉とはかくも軽いものか。

 昨年、渡辺は「残念ながらこの6年間、公約した財政再建や原発ゼロについて何一つ力を発揮することができなかった」「政治家としての自分への評価は0点」などと総括して政界を引退し、同10月1日にはワタミの代表取締役会長兼CEO(最高経営責任者)に就任、経営トップの座に舞い戻った。

 かつて「ブラック企業」との批判を浴びて主力である外食部門の売上が不振に陥ったワタミは、14年3月期の決算で上場以来初となる49億円の赤字を計上。翌15年3月期も128億円の赤字で債務超過寸前となり、当時グループの稼ぎ頭だった介護部門売却を強いられる創業以来最大の経営危機に直面した。

 その後、16年頃から、「和民」や「わたみん家」といった既存店舗を「ミライザカ」「三代目鳥メロ」など別ブランドに衣替えする〝ワタミ隠し〟を徹底。さらにかつては一貫して存在価値を否定してきた労働組合が社内に発足するなど、体質是正のための一定の取り組みを行ったことで、19年3月期の決算では営業利益が前年同期比6割増の10億円となるなど、ようやく回復基調に乗り始めていた。

 そうした努力により払拭されつつあった負のイメージが「再燃するのでは」との懸念が渡辺の会長復帰発表以来、SNSなどで渦巻いている。昨年10月7日に東京都内で開かれた復帰会見でも、案の定記者からそうした質問が上がったが、これに渡辺は「反省すべきところは反省する。これからのことを見て欲しい。今までのことは一切振り返らない」と断言した。

ブラック批判は過労自殺から

 広辞苑で「反省」は、〈自分の行いをかえりみること。自分の過去の行為について考察し、批判的な評価を加えること〉とある。「今までのことは一切振り返らない」と言い切る人間が何をどう反省するのか甚だ疑問だが、渡辺がこの復帰会見とほぼ同時に刊行した『警鐘』なる著書を読むと、その疑念はますます強まる。

「国会議員としての卒論」と称し、政府の財政危機を憂いてみせる同書の第3章で、渡辺はワタミの経営危機を次のように語っている。

〈こうした危機はわたしが議員になったあとに起こりました。会長の職を辞して経営から退いたのはワタミがすでに確かな成長路線に乗っていたからです。実際にわたしが参議院議員になった2013年は過去最高益を記録したほど業績が好調でした。ところが、当選と時を同じくして、ワタミに対する「ブラック企業」批判が巻き起こったのです〉

 まるで自分が会長にいる間は何も問題はなく、退任後にあらゆる問題が噴出したかのような筆致だが、事実は全く異なる。そもそもワタミに対する「ブラック企業」批判は、同社の女子社員が過労自殺した08年の事件に関して、神奈川労働者災害補償保険審査官が労災適用を決定し、これに渡辺がツイッターで反論して炎上した12年2月に始まった。この時、渡辺は当然まだワタミ会長だった。

 これを口火に、「たとえ無理なことだろうと、鼻血を出そうがブッ倒れようが、無理矢理にでも一週間やらせれば、それは無理じゃなくなる」「(部下を叱る際には)ビルの8階とか9階とかで会議をしている時、『いますぐ、ここから飛び降りろ!』と平気で言います」といった過去の発言が判明。

 さらに渡辺が参院選出馬を表明して以降、『週刊文春』が〈自民党参院候補 ワタミ渡辺美樹会長は〝Mr.ブラック企業〟これだけの根拠〉と題する記事を皮切りにワタミ糾弾キャンペーンを6週連続で展開するに至ったのである。

 渡辺は自分が会長だった13年3月期の決算を根拠に、経営危機は自分が議員になった後に起きたとしらばっくれるが、「ワタミ批判」とは、即ち渡辺個人への批判とほぼ同義であり、14年3月期決算での赤字転落も、世間が渡辺個人に浴びせた鉄槌に他ならない。渡辺が会長を辞任した13年6月末時点のワタミは、〈確かな成長路線に乗っていた〉どころか、トップ自身の手で破滅させられかけていたのだ。

いまだ過労死への謝罪なし

 第三者から見れば明白な経緯がありながら、渡辺はあくまで元部下への責任転嫁に余念がない。

〈2014年に業績が悪化したとき、自分が選んで任せた桑原豊社長を代えるかどうか悩みに悩みました。なんとか事業承継を成功させようと思い、必死になって桑原社長を支えてきたからです。しかし、事業承継なんて考えていたら、会社がつぶれてしまいかねませんでした〉(前出『警鐘』)

 このグロテスクな言い草には既視感がある。渡辺は参院選出馬表明後の13年8月2日の朝日新聞のインタビューで過労死について問われ、〈なぜ(自殺した社員を)採用したのか。なぜ入社1カ月の研修中に適性、不適性を見極められなかったのか。なぜ寄り添えなかったのか。本当に命がけの反省をしている〉と、一見反省するかのような態度を示しつつ、被害者を侮辱したのだ。そもそも渡辺は「批判を浴びたこと」への反省はたびたび述べる一方、過労死させた従業員やその遺族への謝罪の言葉は著書には一言もない。要するにこの男は、自分が悪かったとは思っていないし、自らの傲慢さがワタミを潰しかけたという事実をいまだに認められずにいるのだ。

 渡辺はかつて、自らが理事長を務める郁文館夢学園において教員への成果報酬を導入し、「いじめが起きたクラスの担任教師は給与を下げる」(『SAPIO』12年8月22・29日合併号)などと述べ、実際に生徒からの評価の低い教員の給与を下げている。この成果主義原則に従うなら、参院議員としての任期で「政治家として0点」を自認する渡辺は、6年間で受け取った議員歳費を返納すべきだ。

 また、自らの言葉に責任を持つ気が少しでもあるのなら、今からでも会長兼CEOを退くのが最低限の良心であろう。また、ワタミに対し、いくつかの質問を送ったが、同社広報は「取材はお受けしません」と回答した。(敬称略、肩書等は掲載当時のまま)

【記事無料公開】百十四銀行「情報漏洩」元行員逮捕の衝撃

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記事掲載から4カ月――。ようやくの逮捕劇だった。本誌「ZAITEN」2020年12月号(19年11月1日発売)で報じた四国・香川県最大の地銀、百十四銀行の顧客情報漏洩"事件"のことである。

逮捕された"元"若手行員たちの所業もさることながら、さらに度し難いのが、百十四銀の対応だった。

本誌掲載号の発売直前の昨年10月末に、30代元行員(当時は現役)が9月中旬に警察の事情聴取を受けていたことを"不祥事"として発表。本誌取材後の10月下旬にその行員を懲戒解雇に......。しかし、本誌記事の掲載が確定的になった後の駆け込み的な処分だったばかりか、実際は「懲戒解雇」と言えども、情報漏洩した当該行員には退職金まで支払っていたといい、およそ石もて追い出したわけではなかったのだ。

そして、ここにきての逮捕だったわけだが、現時点(20年3月5日18時現在)で百十四銀は何らの発表を行っていない。そこで今回、事件の第一報となった20年12月号記事《"行内文書"が流出していた疑いが...... 百十四銀行「行員が任意同行」隠蔽疑惑》を特別に無料公開したい。

百十四銀について本誌はこれまでたびたび報じてきましたが、同行に関する情報提供を以下の公式サイトフォームおよびメールアドレスで募集しております。なお、情報源の秘匿については絶対ですので、その点についてはご信頼ください。

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小誌ブログでは百十四銀について、過去、以下のような記事もアップしています。

・19年11月10日公開
【記事無料公開】セクハラ百十四銀行「色情と暗黒の10年」(1)

・19年10月31日公開
百十四銀行「情報漏洩で行員が警察に事情聴取」会見の姑息

114_ayata.jpg"似非創業家"三代目の頭取、綾田裕次郎

 四国・香川県最大の地銀である百十四銀行。昨春、20代の女性行員に対するセクハラ事件が起き、当時の会長、渡辺智樹が関与していたことを小誌が報じたのは、ちょうど1年前だった。取引先の地元ゼネコン最大手、合田工務店との会食の席上、同社社長の森田紘一(現在も社長在任)によるセクハラ行為を「制止できなかった」として処理されたが、渡辺自身も破廉恥行為に手を染めていた疑いは晴れていない。

 創業140周年という記念すべき年に起きた代表権者のセクハラ不祥事。渡辺は、当該記事を掲載した小誌18年12月号発売前日の昨年10月末、会長を辞任。銀行トップのセクハラ辞任は、前代未聞のスキャンダルとなった。

 渡辺はそれでも相談役に居座ったものの、小誌(19年1月号)が百十四銀の病巣の内幕を続報しコンプライアンスの欠如やガバナンスの不全を徹底追及。すると、金融当局や世論の厳しい批判に耐えきれないと判断したのか、百十四銀は渡辺相談役を今年3月末で退任させるとともに、相談役制度の廃止を決めた。これにより、渡辺の前任の元頭取、竹崎克彦も相談役から去ることになった。

 その結果、会長・相談役不在のまま、「創業家」を僭称する綾田家出身の3代目(初代=整治、2代目=修作)の綾田裕次郎が頭取として名実ともにトップに君臨するワンマン体制が現出している。

任意同行された若手行員

 それから半年――。百十四銀関係者は行内の状況をこう明かす。

「慶大卒で1982年入行の裕次郎は、若くして頭取を約束されていたボンボンですが、修作から特に帝王学を受けたわけではない。17年4月の頭取就任時、慣例を破って〝使用人〟の渡辺会長に代表権を与えた時から、両者はズブズブの関係で、同じ穴の狢。今も上を忖度する行内風土は変わっていませんし、役員室との距離で決まる人事も相変わらずです」

 組織の腐敗は続き、人心の荒廃も進んでいるというわけだ。しかも、そんな行内風土を象徴するかのような〝事件〟が今秋になって起きていたというのである。

 舞台となったのは、大阪府東大阪市にある、県外中規模支店の東大阪支店。白昼堂々、警察の捜査員が支店を訪れ、勤務中の若手行員に任意同行を求めたのは、まだ暑さが残る9月のことだった。

「突然の出来事で、現場に居合わせた行員は何が起きたのか分からず、呆気にとられていたそうです。無論、事情説明などはありませんが、あらぬ噂をSNSなどで拡散しないようにという趣旨の通達が唐突に出されました。その若手行員は現在、人事部付で本店ビルに出勤しているようで、そのうち何らかの懲戒処分が下される予定です」(別の百十四銀関係者)

 任意とはいえ、金融機関の現職行員が警察に連行されるのは、極めて異例。一体何があったのか。

「今夏に起きた、ある詐欺事件に絡んだ捜査の一環と見られています。その関連で、香川県警は高松市内に住む男ら3人を逮捕している。直接の容疑は、3容疑者のうちの1人が親類からカネを詐取した疑いですが、捜査段階で〝ある文書〟が出てきたため、若手行員が事情を聞かれたようです。もっとも、警察発表では3容疑者は否認しているようですが」

 事情通はこう解説する。

 この事件は香川県内の地元紙でさえベタ記事扱い。記事を素直に読む限り、単なる仲間内の揉め事という印象が強いのも確かだ。

元支店長「逮捕」の過去も...

 しかし、ある地元関係者は、事件の背景についてこう解説する。

「逮捕された3人のうち、主犯格の1人は、地元の一部では知られた元暴力団員。この男は10年ほど前にも、香川県内の民家に拳銃を持った男が押し入った事件に絡んで、殺人未遂や銃刀法違反などの疑いで逮捕されています」

 何やらキナ臭い話だが、さらに取材を進めると、任意同行された百十四銀の若手行員と元暴力団員とを結びつける新たな事実が浮かび上がってきた。

「実は、この事件に極めて近い関係者の息子が百十四銀の元行員だったのです。現在は辞めていますが、任意同行された若手行員とは同期入行組で、2人とも東大阪支店の勤務経験があり、仲が良かった。〝ある文書〟がその関係者周辺から出てきたとすれば、警察が詐欺事件の捜査に絡んで百十四銀の現職行員に事情を聞いたのは、その息子との接点を疑ったからではないか」(別の関係者)

 即ち、「ある文書」とは百十四銀の顧客・取引先名簿である疑いが濃厚だというのだ。

「仮に、百十四銀の顧客名簿を現職行員が外部に持ち出し、その個人情報が漏洩しただけでも一大不祥事ですが、それで終わる話ではない。元暴力団員の手に渡り、裏社会に流出して、振り込め詐欺などの特殊詐欺に使われた可能性を考えると、ゾッとします」(同)

 反社会的勢力と言えば、百十四銀は09年に大阪・九条支店で起きた元組員への不正融資事件で、元支店長ら2人が逮捕され、有罪判決を受けた過去がある。この事件で業務改善命令を受け、再発防止を誓ったはずだった。今回と性格は異なるものの、10年経って再び反社会的勢力との関係を疑われるようでは、事件の教訓は何も活かされていなかったと言わざるを得ない。

 では、百十四銀はどう答えるのか。これまで小誌取材を頑なに拒否し続けてきた百十四銀広報。当の東大阪支店長を直撃すると、当初は10月に赴任してきたばかりとして、行員の任意同行は「把握していない」と答えていたものの、追及に一転、「お答えしかねる」と事実関係を否定しなかった。

 疑似創業家の威光を背に、今や「現役幹部はもちろん、初代・2代目に恩顧のあるOBたちも、渡辺頭取時代とは違い、裕次郎頭取には全く物申せない状況」(有力OB)。実際、綾田との距離を頼みに、パワハラをしてもお咎めなしで主要店舗の支店長などに出世する輩が跋扈し、まるで「3代目が支配する北朝鮮さながら」(同)の有り様という。一方で若手・中堅の退職は相次ぎ、金融当局も綾田家支配に苦り切っている。  もはや自浄作用は望むべくもない百十四銀。正常化には〝外圧〟しかないようである。(敬称略、肩書等は掲載当時のまま

これまでも報じてきた通り、もはや"不祥事"発覚が年中行事となった感のある百十四銀。しかし、トップや行員の素行のみならず、不祥事案を隠蔽、さらには上層部との"距離"によって処分の軽重を差配する、そのガバナンス危機にこそ、問題の所在があると言える。

なぜ逮捕された元行員に退職金を支払ったのか――。本来であれば、本誌のような東京所在の媒体ではなく、地域に密着した地元メディアこそ、追及の狼煙を上げるべきだが、どうやら香川ではそのような自浄作用は望めないようだ。腐敗する傲慢地銀に、切り込めないメディア......香川県民に自らが"蚊帳の外"であるという自覚はあるのだろうか。

【記事無料公開】大幸薬品「クレベリン」 の新型コロナウイルス"便乗商法"

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連日連夜、ネットやテレビで流される新型コロナウイルス関連ニュース。ドラッグストアに行ってもマスクが1枚も買えない状態が今もなお続いています。安倍政権の唐突なコロナ対応についても一言いいたいところですが、それよりもマスクが必要な状況下で空っぽのマスク売り場を見て、不安が急に募った人も多いのではないでしょうか。

ネット上には新型コロナウイルス対策グッズを紹介するページも乱立しており、中には"便乗商法"としか思えない内容のものもあり、商品特性をよく理解せず焦って購入してしまったという話もよく耳にするようになっていますので、みなさん注意しましょう。

そんな中、新型コロナウイルス関連商品の中で、かなりの頻度で紹介されている「クレベリン」という商品があるのですが、みなさんご存知ですか? あの「正露丸」で有名な大幸薬品の商品ですが、マスク売り場の空きスペースに陳列されているようです。しかし、「クレベリン」は医薬品ではなく、あくまでも「雑品」なのです。

ここでは、現在発売中の20204月号(32日発売)で掲載している記事《大幸薬品「クレベリン」新型コロナウイルスに便乗の"沈黙商法"》を特別に無料公開いたしますので読んでください!

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〈私は日頃から業務上、マスクは原則NGになっている接客業の職場で働いている者です。新型コロナウイルスが取り沙汰された当初、上司から予防したい人は、マスクの代わりに「クレベリン」スティックなどの除菌剤を各自で買いなさいと指導を受けたので、購入しました。ちなみに、現在はマスク着用が許されるようになりましたが......。

 私が買ったのは、ペンのような容器に入っており、首から下げる専用ケースがついているもので、1箱1000円以上しました。

 すでに数日間使用しましたが、コロナウイルス対策として効果があるのか疑問です。どのウイルスや菌を除去できるのかも、分からないし、何のために首から下げているのか、と首を傾げる日々でした〉(読者のメールより)

クレベリンは薬ではない!

 新型コロナウイルスが上陸した後、瞬く間にドラッグストアからマスクが消えた。連日連夜テレビで流されるダイヤモンド・プリンセス号での集団感染報道に煽られる中、街中では人々がマスクを手に入れることができない状態に陥っていた。

 多くのドラッグストアでは売り場に〈本日マスク入荷なし〉という内容の貼り紙がされ、マスク売り場の棚はどこも空っぽ状態。

 しかし、その空の棚に「クレベリン」を陳列している店があった。この売り場ではマスク目当てに来店した多くの消費者が「マスクの代わりになれば」とクレベリンを購入していた。

 クレベリンは、正露丸で有名な大幸薬品が出している商品だ。そのパッケージには「空間に浮遊するウイルス・菌を除去」とある。スティック状のもののほか、スプレーや置き型の製品がある。

 ネット上には新型コロナウイルス対策グッズを紹介するページも乱立しているが、クレベリンはかなりの頻度で紹介され、注目度も高い。その一方で対策グッズの商品特性をよく理解せず購入するケースも増えているようだ。

 早速、編集部では大幸薬品広報部の高梨氏に取材を申し込んだ。 

 大幸薬品では2005年から業務用クレベリンを販売、今では連結売上高の6割をクレベリン関係が占め、正露丸をも上回る。

「クレベリンは二酸化塩素の作用に着目したウイルス除去・除菌・消臭のための雑品のブランドです。主成分である二酸化塩素ガスの酸化作用により、空間に浮遊したり壁面などに付着するウイルス・細菌・カビのたんぱく質や悪臭物質を働かせなくさせます」(高梨氏)

 とはいえ、ナントこの商品は〝薬品〟ではなく〝雑品〟なのであるでは、どのようなウイルスや菌を除去するのか。

 高梨氏は「クレベリンは雑品のため、特定のウイルス・菌に対する効能・効果を謳うことは薬機法に抵触するため、一般の方々に当該情報のご提供はできません」と回答。

 つまり、消費者に何を除菌、除去しているのかも明示できないような非常に曖昧な商品なのだ。

 しかも驚くことに、これらのクレベリン製品は14年3月、消費者庁より、製品紹介ページや新聞広告の表現について、景品表示法の優良誤認に該当すると措置命令を受けた過去があるのだ。パッケージの後ろに小さく記載されている「ご利用環境により、成分の広がりは異なります」という文言は消費者庁の指導で追加されたという。

 クレベリンにエビデンスはあるのだろうか。高梨氏に確認したところ、除菌の根拠としての二酸化塩素に関する実験データや成果があるとしたが、閉鎖空間での試験結果で、もちろん新型コロナウイルスに対する二酸化塩素の試験データはない。

 ネットには〝お守り代わり〟に下げるものだと書き込まれていたが、言い得て妙である。

新型コロナウイルスに便乗?

 ネットなどではクレベリンがあたかも新型コロナウイルス対策として使えるように書かれているし、店ではマスクの代用品のように陳列されているケースは今後も増えてくるだろう。

 そして、読者のように会社でコロナウイルス対策にクレベリンを使えと間違った指示を受けるケースも出始めている。

 大幸薬品はこうした状況を把握し、いち早く消費者に向け分かりやすい商品情報を発信するべきではないか。それとも〝コロナウイルス特需〟だとでも思っているのだろうか。現に、クレベリンの売り上げは大幅に増え、2月12日には株価がストップ高に。20年3月期連結純利益予想も30・3%上方修正し、過去最高を狙う。

 高梨氏は「新型コロナウイルスに関するネットを含めたメディアでの一般的な報道や政府発表の情報は適時収集し、販売従事者を対象に適時、製品に関する説明会や情報提供等を行っています」と言うが、大幸薬品の公式ホームページなどを見る限りでは、一般消費者の誤認を防ぐような努力は特に行っていない様子。

 こうした状態を放置するのは便乗商法ではないか。そうではないと言うのなら、今すぐ「クレベリンの新型コロナウイルスに対する効果は確認されていません」と広報すべきだ。

なお、本誌編集部では読者のみなさんの「これはちょっとおかしいのではないか?」「企業倫理はどうなっているの?」という素朴な声を企業へダイレクトに問いかけ、日々取材を行っています。些細な情報とお感じのことでも結構ですので、以下の公式サイト情報提供フォームおよび編集部メールアドレスなどで情報をお寄せください。情報源の秘匿については絶対ですので、その点についてはご信頼頂ければ幸いです。

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日本経済新聞朝刊に「ZAITEN」4月号の告知が掲載されています

本日3月3日の「日本経済新聞」朝刊5面に、発売中の本誌「ZAITEN」2020年4月号の告知が掲載されております。
是非とも全国書店や弊社に直接ご注文の上、ご購入くださいませ。

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【記事無料公開】みずほFGで進む「バブル入社組リストラ」の実態

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メガバンクをはじめ、金融機関のビジネスモデルが崩壊する中、「メガ万年3位」が定着するみずほフィナンシャルグループ。銀行はじめ、傘下各社でリストラが進む。

一方、3月2日月曜日発売の本誌「ZAITEN」2020年4月号では坂井辰史FG社長の出身、みずほ証券で発生した"ある不祥事"を取り上げている。そこで今回、特別に20年2月号(19年12月26日発売)で掲載した記事《みずほFG「バブル入社組リストラ」の凄惨》を特別に無料公開したい。

なお、本誌編集部ではみずほFGに関する情報を広く募集しております。些細な情報とお感じのことでも結構ですので、以下の公式サイト情報提供フォームおよび編集部メールアドレスなどで情報をお寄せください。情報源の秘匿については絶対ですので、その点についてはご信頼頂ければ幸甚です。

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 年金減額、管理職の昇給廃止、希望退職募集......。みずほフィナンシャルグループ(FG)でバブル入社組を狙い撃ちにした〝首切り〟作戦が苛烈化している。2026年度末までに1万9千人の人員削減を行う計画を打ち出すみずほだが、直近の19年4~9月期の連結純利益が3メガバンクで唯一2ケタ減益に陥るなど、「目も当てられない状況」(元役員)。

 株価下落などで保身を焦る社長の坂井辰史(1984年旧日本興業銀行入行)は「改革のスピードを上げろ」と、FG執行役専務の石井哲(86年旧興銀)や、グループ傘下のみずほ銀行頭取の藤原弘治(85年旧第一勧業銀行)、みずほ証券社長の飯田浩一(86年旧興銀)ら中枢幹部に大号令を掛けているという。だが、「改革」とは名ばかりで、実態は給与が高い中高年社員の首切り加速で業績不振を糊塗する魂胆が見え見えだ。

 一方で、収益底上げ策はお寒い限り。FG社長就任から2年を迎える坂井が「成長戦略」の名のもとに打ち出した施策は、世の流行に迎合した社員への副業解禁や、他行を後追いしただけの銀行のノルマ営業廃止、一向に普及しないキャッシュレス決済サービスなどの「際物ばかり」(FG幹部)。

「若者層らアプリユーザー8千万人を取り込む」とぶち上げたLINEと合弁のスマートフォン銀行も先行きは不透明で、坂井が「次世代金融への転換」による収益回復を掲げた中期経営計画(19~23年度)は初年度からドン詰まりの状態に陥っている。中計の年限を従来の3年から5年に延ばした坂井は「あと4年はトップに居座るつもり」(FG幹部)。無能な経営がこれ以上続けば、「みずほの収益・人材基盤を完全に崩壊させる」(中堅幹部)だけだろう。

「企業年金減額」で追い込み

「改革のスピードが今のままでいいとは思わない」―。みずほFGが東京・日本橋の日銀記者クラブで11月14日に開いた19年度上期決算発表会見。坂井は神妙な面持ちでこう語り、構造改革を加速する方針を強調した。今や恒例となった3メガ決算でのみずほの「独り負け」。19年度上期の連結純利益も、三菱UFJFGが前年同期比約6%減の6099億円、三井住友FGが同9%減の4319億円と踏ん張ったのに対し、みずほFGは同約20%減の2876億円。業績不振が際立った。

 深刻なのはみずほ銀の経営実態を示す総資金利ザヤがマイナス0・18%と「逆ザヤ」に陥ったことだ。総資金利ザヤは、資金運用利回り(貸出金や有価証券運用の利回り)から資金調達原価(預金利回りや経費など)を差し引いて算出する銀行経営の代表的な指標。逆ザヤということは、銀行業務を続けるほど、赤字が膨らみかねない危機的な状況を示す。

 しかし、新たな収益源を見出してこなかった坂井に出来るのは、構造改革と称した大規模な人員削減にドライブを掛けることだけ。このため、バブル入行組の大量首切りを加速させようとしている。そこで打ち出したのが企業年金の減額だ。みずほ銀とみずほ信託銀行を中心とする約3万5千人の社員のうち、53歳以下が対象で、48~53歳の社員が20年度中に会社を辞めれば、年金を減額しない特例を設けたが、これがミソ。

「超低金利環境の長期化を踏まえた年金制度の安定化が目的」と嘯くが、実際は「バブル入社組を自己退職に追い込む姑息な仕掛け」(みずほ銀50代行員)に他ならない。さらに、坂井みずほは「能力主義の徹底」を口実に人事・給与制度も見直し、21年7月には管理職約5千人の自動昇給を廃止する。管理職は前身の旧3行統合で苦労させられた受難の世代。にもかかわらず、坂井はお荷物として切り捨てようというわけだ。

 また、坂井がかつて社長を務めたみずほ証券は、「人生100年時代」を掛け声に20年1月から50歳以上の社員を対象に規模を定めない早期退職を募集。グループを挙げたバブル入社組追い出し作戦の一環なのは明らかだ。それでも、証券マンは早期退職に伴い割増退職金が支払われる分、年金減額という真綿で首を絞めるようなやり方で追い出される銀行マンよりはマシかも知れない。銀行の早期退職募集を避けたのは「坂井が世間体を気にしたから」(周辺筋)というから呆れ果てる。

思い付きの「ノルマ廃止」

 他の2メガもリストラを進めるが、一方で海外業務の拡大やリース事業強化など前向きな戦略にも注力している。翻って、みずほは旧3行系列で乱立する上場リース会社の再編構想は頓挫し、海外進出も出遅れたままだ。経営失策こそが独り負けの元凶だが、坂井がこの2年弱で打ち出したのは「フィンテックなどの看板を掲げた浮ついた施策ばかり」(元役員)。背景には、長期政権を築いた前FG社長の佐藤康博(現会長、76年旧興銀)の〝傀儡〟イメージを払拭しようと世間受けに躍起な坂井の習癖も影響しているという。

 例えば、鳴り物入りで19年3月から始めたQRコードによるキャッシュレス決済サービス「Jコインペイ」。「地銀とも連携しオールジャパンで決済革命を起こす」と嘯いたが、有力地銀や加盟店が思うように集められず、会員数は19年度内の目標(184万人)の1割にも満たない10数万人。

 また、坂井が「働き方改革」を御旗に19年4月に導入したみずほ銀の「ノルマ営業廃止」も、19年度上半期の投資信託収益が前年同期比で3割も落ち込む悲惨な結果を招いた。関係筋によると、坂井がノルマ営業廃止を言い出したのは「改革者のイメージを守るため、ライバルの三井住友FGに後れを取りたくなかったから」。だが、もともと行員の営業力が強く、4年がかりで準備を進めた三井住友と異なり、みずほは坂井の思い付きに過ぎなかった。

 坂井が期待するLINEと合弁の「LINE Bank」(20年度中に開業予定)も、同社がZホールディングス(HD、旧ヤフー)と経営統合することで先行きが怪しくなっている。ZHD傘下にネット銀行があるためで、重複事業を整理する過程で、みずほとの合弁もどうなるか分からない。

 自らの無能経営を棚に上げ、業績不振のしわ寄せを現場に押し付ける坂井。佐藤とともに自身がトップの座から一日も早く退くのが改革の第一歩である。(敬称略、肩書等は掲載当時のまま)

繰り返しになりますが、3月2日発売の本誌4月号の「みずほ証券不祥事」については近く告知しますので、是非ともご購読のほど、よろしくお願いいたします。

【緊急・記事無料公開】レオパレス「オーナー」を襲う悪魔のシナリオ

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 2月7日、2020年3月期第3四半期決算で241億円の最終損失を発表したレオパレス21。この日、同社の宮尾文也社長は日本経済新聞のインタビューなどに応じ、村上世彰氏が事実上率いる大株主の投資会社、レノの株主提案などに対し「短期的な色彩が強い」などと、今さらながら、対決の姿勢を鮮明にした。

 しかし、村上ファンドなどの動きは置くとしても、現在の惨状を招いたのはレオパレスの現在を含む経営陣に他らない。今月2月27日に臨時株主総会が開催される運びだが、議決権行使を巡っては今週が山場となる。

 そこで本誌では、現在発売中の「ZAITEN」2020年3月号(2月1日発売)《レオパレス「オーナー」を襲う悪魔のシナリオ》記事を急遽、無料公開したい。なお、本レポートについては、校了期間から2月1日までの発売期間の間に情勢が変化している内容があるが、「本誌ガバナンス問題取材班」の原文を尊重し、そのままで掲載する。その点、予めご了承ください。ちなみに、副題は《前門に村上ファンド、後門には電通出身役員や共同ピーアールの"獅子身中の虫"》というものである。今もなお、彼ら"獅子身中の虫"は現役員としてのさばっている。

 また、本レポートの掲載を受けて、本誌編集部には関係各所からレオパレスの内情についての情報提供ももたらされています。些細な情報とお感じのことでも結構ですので、以下の公式サイト情報提供フォームおよび編集部メールアドレスなどで情報をお寄せください。情報源の秘匿については絶対ですので、その点についてはご信頼頂ければ幸甚です。

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深山英世前社長(右)と宮尾文也社長(2019年5月、社長交代発表会見にて)

 村上世彰とレオパレス21の対立がついに表面化した。レオパレスは昨年12月、同社株14%を保有する村上率いるレノ等から、取締役全員の解任と村上が推す役員選任を議題とする臨時株主総会の招集請求を受けていた。1月17日、レオパレスは臨総招集が「株主の権利濫用」として反対を表明、昨年4月頃から、村上側から「当社の解体や減資を示唆する発言があった」と明かした。一方、村上側は同日、レノのホームページで、賃貸事業などの主力事業を譲渡するといった独自の再建策を公表し、株主に賛同を求めた。

 レオパレス問題の発端は、2018年5月にテレビ東京『ガイアの夜明け』がアパートオーナーの協力を受け、一部物件に界壁がないことなどを報じたことだ。村上は、レオパレスがさらなる施工不備を公表し、19年3月期の予想を最大400億円の赤字に下方修正した昨年2月頃、暴落後の200円台で株式を買い集めていた。

 レノが明らかにしたレオパレスとの交渉経過によると、村上らは昨年4月から当時社長だった深山英世と面談。深山とはウマが合ったようだが、同年5月に後任社長に就任した宮尾文也とは決裂したようだ。いずれにせよ、レオパレスは今、空前の経営危機にある。

資本市場を騙した過去

 レオパレスの賃貸事業のアパート入居率は昨年10月から3カ月連続で80%を割り込み、賃料収入がオーナーに支払うサブリース料金を下回る状態が続く。レオパレスは改修が必要な物件の入居者を別の管理物件に斡旋しているが、転居がスムーズに進んでいるとは考えられず、この入居率も信頼の置ける数字とは言えないだろう。

 物件の改修も遅々として進んでいない。約3万9千棟ある全棟調査は昨年10月末時点でほぼ終了したが、12月時点で改修が終わったのはわずか924棟。なお、昨年5月末時点の改修物件は826棟だから、進捗はあまりに遅い。

 そして関係者の懸念が集中するのが、資金繰りだ。レオパレスのバランスシートには19年9月末で688億円の現金が計上されている。同年4~9月の営業キャッシュフローは250億円の赤字。10月にはホテルと賃貸物件を合計305億円で売却したが、運転資金はいつまで持つか。

 レオパレスの希望的観測を信じる金融関係者は少ない。

 例えば施工不備問題が報じられた18年5月、同社は1棟当たりの補修費用を60万円と見積もり、19年3月期の利益予想を115億円としていた。しかし18年10月、一転して70億円の赤字に予想を下方修正。そして前述の通り、翌19年2月には赤字幅を拡大した。20年3月期も最終利益を1億円としていたが、昨年11月に273億円の赤字と予想を修正。いかにレオパレス経営陣の見積もりや認識が甘いかが分かる。

 ところで、レオパレスは過去に資本市場を騙した〝前科〟がある。12年12月26日付で、社内部署の家賃改定事務局が「××氏訴訟案件現状及び今後の方向性に関するレポート」と題する文書を作成していた。これは兵庫県の物件オーナー××が、サブリース契約解除の無効を申し立てた訴訟で、界壁の不備を争点化させたことへの対応を報告したものだ。その中で、和解金として「建築修繕費見合い1050万円」を提示することを検討していたのである。

 この時点で、当時社長の深山以下レオパレス経営陣は、自社の物件に施工不備があり、補修費が1棟当たり1千万円するという認識を持っていたことの〝傍証〟と言える。しかし、その件は明らかにされず、13年11月、SMBC日興証券を主幹事とする公募増資で300億円超を調達したのだ。

今も巣食う〝問題人物〟たち

 深山は昨年の社長・取締役退任後も、顧問として事実上の院政を敷いていると見られる。昨年7月に『週刊文春』でパワーハラスメントを告発された広報部長も深山の子飼いだったように、幹部にも深山の息のかかった者が多い。

 そればかりではない。レオパレス役員にも〝問題人物〟が存在する。昨年6月に社外取締役に就任した古賀尚文はその一人だ。現在の肩書は共同ピーアール(PR)会長だが、社団法人共同通信社の営利子会社「株式会社共同通信社」の社長を務めた元新聞記者。社会部長などを歴任し、その経験から共同通信の渉外業務を担って社内外で睨みを利かせたものの、結局は社団のトップになれなかった。

 結果、共同通信時代のコネで求めた再就職先が共同PR(共同通信社とは無関係)だった。そして同社こそ、一連の不祥事発覚時にレオパレスの広報業務を受注していたPR会社で、失策の〝戦犯〟と言えるが、その会長を新たに役員に迎え入れているのである。

 ちなみに、現在は利益相反の問題から、レオパレスは共同PRとの契約を解除したようだが、同じく社外取締役を務める元国税庁次長の村上喜堂(72年旧大蔵省入省)も、古賀の〝引き〟という。

 さらに、本誌19年3月号で報じた電通の営業担当出身の広報担当執行役員、福島範仁も共同通信時代から古賀と昵懇の間柄。「福島兼馬」と改名してもなお同職に居座るところを見ると、レオパレスを〝終の棲家〟にしたようだ。

 村上側の全取締役解任要求も頷けるが、村上こそがレオパレスの救世主となるのか―。話はそう単純ではなさそうだ。村上の基本戦略は自己株式の取得や配当などの株主還元策の要求である。レオパレス経営陣によれば、村上は同社に対し「減資」を示唆したようだが、利益剰余金がマイナスであるから、これを減資して、配当や自社株買いができるようにしようという目論見の可能性が高い。

 村上系が経営権を握ったら真っ先に手を付けると思われるのが、「終了プロジェクト」だろう。レオパレスの賃貸事業は09年頃の不況により、10年および11年3月期が原価割れする逆ザヤ状態に陥ったが、同じ頃、サブリース契約解除をオーナーに談じ込む終了プロジェクトを断行し、12年3月期に再び原価率を黒字化させた。村上としては、収益性の悪い物件は同契約を解除し、良い物件は売却して配当原資を確保する考えと思われる。これで損をするのは、サブリースオーナーである。

 レオパレス問題の深層は、バブル崩壊で経営危機にあった頃、「30年間一括借り上げ」を餌に安い建材の杜撰な物件を地方の土地持ちに買わせたことだ。矛盾はここから始まり、2度目の危機でオーナーを終了プロジェクトで裏切ったことで、屋根裏界壁の不備というパンドラの箱が開いてしまった。ところが、株価の暴落に目を付けた村上に会社は解体され、オーナーも泣く悪魔的シナリオが現実味を帯びてきた。
(敬称略、肩書等は掲載当時のまま)

 誰が「割り」を喰うのか――。オーナーたちは自覚すべきである。

【記事無料公開】三菱UFJ「平野会長・三毛頭取」の東大粛清支配

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 本誌「ZAITEN」2020年1月号(19年12月1日発売)から3月号にわたって報じてきた三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のガバナンス危機問題。MUFGの平野信行会長と、その"子飼い"で三菱UFJ銀行(MUBK)頭取の三毛兼承MUFG社長(4月から副会長、頭取は続投)が結託、旧三菱銀行時代から保守本流を占めてきた「東京大卒・企画部門出身者」を次々と排除し、平野・三毛両氏ら"非主流派"による恐怖支配が強まっているMUFGの異様な内部状況をお伝えしてきた。

 そして、ここにきて年明け早々の20年1月17日、MUFGは亀沢宏規副社長の社長昇格を正式発表した(4月1日付就任)。各メディアは、亀沢氏の東大理学系修士課程修了(数学専攻)の経歴をして「メガバンク初の理系トップ」「デジタル化の切り札」などと持て囃しているものの、その抜擢人事はそんな戦略や美談に満ちたものではない――。その舞台裏については、現在発売中の3月号(2月1日発売)の《三菱UFJ「亀沢社長誕生」に平野-三毛の謀略》レポートで詳報しているが、亀沢新社長誕生の背景には、MUFG社内を壟断する平野-三毛コンビによる"権力死守"を目的とした悪だくみが巡らされている。

 権力欲に憑かれたトップが招来した、わが国トップバンクの知られざるガバナンス危機――。即ち、そんな無道の経営は金融界のモラルハザード(倫理崩壊)を強めこそすれ、弱めることがないのは確かである。そこで本誌では、MUFGにおける異常事態を解析する一助として頂くべく、急遽、20年1月号の特集記事《三菱UFJ「東大出身」粛清支配》を以下に無料公開する。

 なお、現在、MUFG内部ではモラルハザードは言うに及ばず、不条理な降格人事などが横行しているとの情報が本誌に多く寄せられています。つきましては、MUFGについて、些細な情報とお感じのことでも結構ですので、以下の公式サイト情報提供フォームおよび編集部メールアドレスなどで情報をお寄せください。情報源の秘匿については絶対ですので、その点についてはご信頼頂ければ幸甚です。

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 権力が長く続けば続くほど組織は倦む。権力者の周りに強固な取り巻きがつくられ、自分の地位を脅かしたり、異論を呈したりする者を徹底的に排除する"負の自己増殖"が止まらなくなるからだ。永田町では首相在職日数が歴代最長となった安倍晋三政権でそんな弊害が顕著だが、丸の内に本拠を置くメガバンクグループ首位の三菱東京フィナンシャル・グループ(MUFG)でも院政を敷く会長の平野信行(1974年旧三菱銀行入行、京都大学法学部卒)と、その傀儡でMUFG社長兼三菱UFJ銀行(MUBK)頭取の三毛兼承(79年同、慶応義塾大学経済学部卒)による歪な「一強支配」の矛盾が噴出している。

 平野は「非東京大学卒」「国際畑」という旧三菱銀の伝統からすれば"傍流"ながら、2012年4月にMUBK頭取に就任。グループ総帥のMUFG社長を経て、19年4月には形式上、三毛にその座を引き継ぎ会長に退いたが、依然、グループに対する専制支配を続けている。平野も首相の安倍と同じく「『オレがトップでなかったら、今頃、MUFGは大変なことになっていた』と考えている」(中堅幹部)という唯我独尊の人物だ。国際畑の手下で、自分より格下の私大卒の"二線級トップ"である三毛を走狗にして、旧三菱銀の主流を占めて来た「東大卒」の実力役員を中核のMUBKからグループ会社に追い出し、巧みに権力基盤を盤石なものにしてきた。

「東大嫌い」で共鳴する平野―三毛コンビは、最近では次期MUBK頭取ポストについても、MUFG副社長兼MUBK副頭取の亀沢宏規(86年同、東大大学院理学系修士課程修了)を充てる既定路線を覆す人事を画策しているとされる。「『トップの椅子を旧三菱銀主流の東大卒に戻せば、自分たちの経営への影響力が失われてしまう』と懸念しているため」(有力OB)というが、権力欲と猜疑心に憑かれた平野や三毛の「アンチ東大支配」に内部は憔悴。小誌編集部に遠く海外からも内部告発の封書が寄せられるなど、陰惨たる状況が現出している。

全銀協会長就任に歓喜
三毛は"自己宣伝"に邁進

「景気見通しが不透明で、下振れリスクに留意が必要」「19年度末にかけて厳しい経営環境が続く」

 11月13日に発表されたMUFGの19年7~9月期決算は連結純利益が前年同期比35%減となり、記者会見した社長の三毛はこう先行きの業績リスクを強調した。

 だが、グループ内では「三毛は本気で経営への危機感を持っているのか」との疑心暗鬼の声が渦巻く。人口減少や日銀のマイナス金利政策の長期化を背景に、市場では地銀の経営危機がクローズアップされているが、国内銀行業務の惨状は3メガバンクも同様だ。MUBKも預貸金利ザヤが縮小の一途で、収益悪化に歯止めが掛からない。さらに近年は、これまで稼ぎ頭となって来た海外部門の収益にも急ブレーキが掛かっている。

 米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ政策への転換などの影響で、MUFGの米銀行子会社では今後、主力の住宅ローンの収益が悪化するのが確実な状況だ。さらに、国内銀行業務の落ち込みをカバーしようと、資金運用部隊がハイリターンを求めて兆円単位で積み上げた欧米のローン担保証券(CLO)は、海外景気が悪化すれば、巨額損失を生み出すリスクを抱える。CLOの裏付け資産である低格付け向けローンが焦げ付くためで、「時限爆弾を抱えているようなもの」(市場関係者)。

 加えて、足元では政府の消費増税対策の後押しを受けたスマートフォンによるキャッシュレス決済が急速に普及。ヤフーやLINE、楽天といった大手IT勢に基幹の決済業務を侵食される中、MUBKも支店・人員の余剰感が一層高まり、今後、一段のリストラ強化が迫られかねない情勢だ。

 MUBK頭取を兼務する三毛はさぞ頭を悩ませているものと思いきや、周辺筋によると、本人は20年4月からの全国銀行協会(全銀協)会長就任に向けた準備に大忙し。本来の使命である国内銀行業務のテコ入れや、海外戦略の修正などは「そっちのけ」(周辺筋)で、マスコミのインタビューやシンポジウムへの参加など、自己PRに余念がない様子だという。

 もともと頭取候補の下馬評にすら挙がっていなかった三毛は、平野に引き上げられて17年6月に頭取の座を手にしたが、常に"二線級トップ"のイメージがついて回って来た。就任後も行内での自らの存在感が薄いことをしきりに気にかける三毛は、社内報にポーズ写真付きで頻繁に登場したり、支店に自らの名前を大書したポスターを掲出させたり、現場視察風景を大げさにアピールする「頭取フォトダイアリー」を社内ネットにアップしたりと、あの手この手で自己宣伝に勤しんで来た。

 それだけに「銀行界の顔」とされる全銀協会長への初登板には大張り切りといい、自らの情宣活動に拍車が掛かっているようだ。MUFGの業績不振が鮮明化しているにもかかわらず、三毛は周囲に「銀行界を代表して政府のマクロ経済政策にも積極的に注文していきたい」と語るなど、ご満悦の体という。ただ、市場やデジタル分野での経験に乏しい三毛の全銀協会長就任を巡って、周辺は「想定問答の作成などに相当な負荷が掛かるのは必至」とこぼす。

「フィンテックの急速な台頭で銀行界は生き残りを賭けた激変期に突入した」(金融庁幹部)というのに、三毛がお気楽でいられるのはアンチ東大卒支配を共有するMUFG会長の平野の威令がグループの隅々にまで行き渡っているからだろう。「平野の操り人形」と後ろ指を差されようと、三毛はこの枠組みが続く限り"御身安泰"と高を括っているに違いない。

平野を苛み続けた「田中正明」への敵愾心

 実際、京大卒で通算11年も海外に駐在した「非主流派」の平野は12年に永易克典(70年旧三菱銀入行、東大法学部卒)の後を襲ってMUBK頭取の座に就いて以降、東大出身の主流派の実力役員・幹部の掃討作戦を執拗に展開し、現在の一強支配体制を築き上げて来た。最初に手を付けたのが、MUFGトップの座を最後まで争った最大のライバル、田中正明(元MUFG副社長、77年同、東大法学部卒)に連なる東大卒一派の壊滅だ。象徴的だったのが、開成高校―東大法学部卒で旧三菱銀では企画部門など中枢を歩んでいた田中派の中核、石塚勝彦(84年同)の"憤死事件"だろう。

 当時、頭取だった平野は前任の永易に倣って国内銀行業務運営の主導権を園潔(現MUBK会長、76年旧三和銀行入行)ら旧UFJ勢に委ねて味方に取り込んでいた。一方で常務執行役員企画部長だった石塚には、歴史的な超低金利を背景に収益が悪化する国内銀行業務の再建を厳命。国内業務を「最後の牙城」とする園ら旧三和銀勢が石塚に猛反発したのは当然で、改革はあえなく頓挫した。

 その責任を独り問われた石塚は決済システムなどを担当する傍流役員に飛ばされ、失意に打ちひしがれたという。残酷なのは、「企画部長時代の最終盤は夢遊病者のように本店の廊下を彷徨していた」というほど石塚が精神的に疲弊していたにもかかわらず、頭取の平野は「旧三和銀勢の抵抗を抑えるなど、自分は一切の汗をかくことなく『収益が上がるようにしろ』と命じるだけで、石塚を見殺しにした」(田中派の元MUFG幹部)ことだろう。

 石塚への酷い仕打ちはそれだけにとどまらなかった。平野がMUFG社長専任となり、後継頭取に"旧三菱銀のプリンス"小山田隆(79年入行、東大経済学部卒)が就いた16年春の人事では、傍目にも生気を失っていた石塚を「過去の功績に見合わないポスト」(有力OB)の三菱マテリアル監査役に追放。先行きに絶望した石塚は16年12月、自ら命を絶った。

 平野はこの16年の人事で、MUFG副社長を退き上級顧問に就いた田中本人も辞任に追いやり、田中派一掃を完成させている。関係筋によると、平野は歴代頭取ら有力OBの一部の間で当時囁かれていた「平野が期待外れなら、田中をFG社長の後釜にワンポイントで据えて、その後を小山田が襲えばいい」とするクーデター構想が万が一にも実現することを恐れていたという。調査・企画畑ながら英語と独語が堪能で、提携先の米モルガン・スタンレー社外取締役も務めるなど、国際派の顔も持つ田中の存在は平野にとって最後まで脅威だったようだ。

半年前から後継人事を画策
"プリンス小山田"の自壊

 そして17年5月には、小山田が就任わずか1年で「健康問題」を理由に頭取を突如辞任した。この背景にも、東大卒の主流派潰しを図った平野の影響が指摘される。MUFG社長だった平野は、ガバナンス改革と称して「相談役・顧問制度廃止」や、当時は「三菱東京UFJ銀行」としていた行名変更を大々的にぶち上げた。

 MUFGでは長年、旧三菱銀出身の歴代頭取らが経営に対して隠然たる影響力を持ち、トップも含む現役役員が定期的に経営状況を報告するのが習わしだった。岸暁(53年入行、東大経済学部卒、19年11月死去)、三木繁光(58年同、同法学部卒)、畔柳信雄(65年同、同経済学部卒)、永易と東大出身の歴代頭取OBが経営に容喙することに「非東大のアウトサイダー」である平野は我慢ならなかったようだ。このため、各行にガバナンス強化を迫っていた金融庁の尻馬に乗り、一気に相談役・顧問制度の廃止に動いた。

 行名変更でも平野は当初、「三菱」という文字を消して「MUFG銀行」にする腹積もりだったとされる。「スリーダイヤ」の名を捨ててまで東大出身者が幅を利かせて来た伝統を消し去り、平野MUFGをアピールしようとしたのか。結局、三菱の名は外せなかったが、平野の「東大憎し」の執念は恐るべしと言える。

 もちろん平野改革は、畔柳ら長老たちから猛反発を食らった。だが、ここでも狡猾な平野は重鎮たちを説得する役目を小山田にもっぱら押し付けた。生真面目な小山田は取引先との商談、全銀協会長(当時)としての業界活動、記者会見なども完璧にこなそうとし、「睡眠時間が3時間という日もザラだった」(周辺筋)という。小山田にとって最も酷だったのは、若手時代から三菱銀のプリンスとして可愛がってもらった歴代頭取に対して、相談役・顧問を辞めるように引導を渡すことだった。

 FG社長の後継指名というニンジンをぶら下げられて、改革の実行を厳しく迫る平野と、「恩知らず」などと叱責する歴代頭取たちとの間で板挟みとなった小山田はとうとう心身症を来たし、頭取辞任に追い込まれた。小山田の突然の辞任にMUFG内に動揺が広がった中、独り平野だけが淡々とした様子は傍目からも不思議な光景だった。平野は頭取交代を発表した17年5月の記者会見で「2月に(小山田から)体調が万全でなく頭取の職責を果たせないとの相談を受け、その時から交代を考えていた」と事も無げに言い放ったからだが、これとて真実ではない。「自壊していく小山田を横目に、辞任半年以上も前から後継頭取の人選を進め、極秘面談も重ねていた」(周辺筋)というのである。

 MUFGには当時、ポスト小山田の最有力候補として、主流派のホープで銀行専務執行役を務めた柳井隆博(82年同、東大法学部卒)がいた。しかし、東大嫌いの平野は、一旦は三菱UFJモルガン・スタンレー(MUモルスタ)証券副社長に内定していた子飼いの三毛を急遽呼び戻し、後継頭取に就ける奇手を繰り出し「傀儡政権」をまんまとでっち上げた。

 そればかりか、執念深い平野は東大出身者掃討作戦を続行して、柳井を三菱UFJリース社長に放逐。さらに18年春の人事では、田中に連なる主流派の一角、銀行頭取の荒木三郎(81年同、東大法学部卒)をMUモルスタ証券社長に追い出した。銀行の企画や人事部門しか知らない荒木は証券ビジネスの門外漢。このため、MUモルスタ証券のディール獲得はもっぱら提携相手のモルスタチームに依存する歪な状況となっている。

 証券分野は長年、MUFGのアキレス腱とされ、主流派の間では一時、実力者の田中をMUモルスタ証券トップに据えて抜本的なテコ入れを図るアイデアも構想されたほど。しかし平野が自らの一強支配を損ねかねない、そんな案を認めるはずもなく、逆に田中派に連なる荒木を追いやる器に証券を使ったわけだ。「証券を逆に弱体化するようなもの」(有力OB)だったが、反目分子の一掃が最優先事項の平野からすれば、それでもよかったのだろう。これら一連の人事で東大卒の主流派で経営中枢に残るのは、MUBK副頭取執行役員の籔田健二(83年同)くらい。MUFG内では「籔田も20年春の人事ではグループ会社に飛ばされる」との観測がしきりだ。

「理事」から東大卒を排除
三毛は"慶応閥"を培養

「傀儡トップ」でありながら三毛もそんな平野の顰に倣ったのか、最近は幹部人事で露骨な東大卒外しを進める一方、同窓の慶応大出身者を重用する派閥培養に血道を上げているという。結果、18・19年人事では、行員の最上級資格で役員登用の登竜門となる「理事」職の新任者合計約50名のうち「東大卒がゼロ」という、前代未聞の異常事態が起きている。理事就任が年収でも大きな格差を生み出すこともあって、平野―三毛コンビによる理不尽な粛清・情実人事の嵐に人心の荒廃が止まらない有り様だ。

 実際、三毛は「三毛三田会」とでも言うべき慶大卒の取り巻き集団を形成、MUBK専務執行役員の谷口宗哉(85年同)はじめ、常務執行役員の亀田浩樹(88年同)、18年に日本人女性2人目となる執行役員に就いた元広報部長の南里彩子(92年同)などが名を連ねるという。さらに、その後輩連も軒並み第一選抜で理事に引き上げられ要路に配置。中には非公然組織である三毛三田会の威光を吹聴する者、パワハラ紛いの言動を繰り返す者なども出現し、「我が世の春」を謳歌する増長ぶりだ。

 MUFGでは旧三菱銀時代から長らく「人事畑」「調査・企画畑」「営業畑」が経営の主導権を握って、この3派からでないと理事に昇格できない人事が続き、その上で「東大法学部・経済学部」出身者が頭取を占めるヒエラルキーが形成されて来た。平野は調査・企画系ながら、その"亜流"とされる「海外企画畑」に属していたことから「10年以上も海外駐在を強いられた」という怨念を膨らませて来たことに加え、「京大出身者特有の"アンチ東大"感情に凝り固まっている」(有力OB)。

 結果、グループ内部は「非東大卒」による下剋上の様相さえ呈しているが、そんな状況では、収益反転に不可欠な組織の一体感など醸成されるはずもない。MUFG内では「みずほは母体3行役員の不毛な権力闘争で脱落したが、うちはトップの"東大コンプレックス"が大凋落のきっかけになるかも知れない」(中堅幹部)と危ぶむ声が漏れている。

 最も深刻なのは、平野の後釜を襲って"絶対支配者"になることを夢想する三毛が、次期頭取に自らの息が掛かった慶応閥の人物を据えようと画策していることだろう。次期頭取を巡っては、メガバンクでは異例の理系大学院卒の経歴を持つMUFG副社長兼MUBK副頭取の亀沢宏規(86年旧三菱銀入行)の昇格が有力視されて来た。亀沢は仮想通貨の基幹であるブロックチェーン(分散台帳技術)など、フィンテックに精通している上、MUFG米州副担当やMUBKニューヨーク支店長など海外駐在経験もこなし、「平野の覚えが目出度い」というのが定評だった。MUFGが19年春に副社長ポストを3年ぶりに復活させ、亀沢を就けたこともあり、金融界では「理系初のメガバンク頭取誕生が間近」とも取り沙汰されている。

"東大理系"の頭取候補に「慶大卒差し替え」の画策

 しかし、平野によるアンチ東大支配の下で増長する三毛は、「部下からの進講で舟を漕ぐこともしばしば」(周辺筋)というほどフィンテックに疎いことも相俟ってか、「亀沢が後継頭取になれば、自らのプレゼンスが失われかねない」と憂慮。次期頭取候補の"差し替え"に動いているという。意中の人物は、三毛三田会の中核メンバーでもあるMUBK常務執行役員の林尚見(87年同、慶大経済学部卒)。三毛の引きで18年春から経営戦略を統括するCSO(チーフ・ストラテジック・オフィサー)の要職に就いている。慶応のアメフト出身で三毛の行内宣伝活動も管掌する林は最近、「ポスト三毛」を意識してか、メディアにも積極的に登場。「フィンテック時代の銀行の生き残り策」などについてのご高説も開陳している。

 CSOの林が「銀行の生き残り」を謳うなら、他の2メガバンクに比べてコストが格段に高い営業部門改革などに取り組むのが先決のはずだ。しかし林は、今や旧三和銀勢の既得権益と化した営業部門に切り込む気配すらまったく見せない。「寝た子を起こす」ようなことをすれば、自分も三毛も損するだけと考えているためだろうが、同じ国内銀行業務の問題で東大卒の石塚を憤死に追い込んだ平野も「林のサボタージュを黙認している」(中堅幹部)という。

 それどころか、平野は最近では寵愛してきた亀沢を切って「三毛が推す林を次期頭取にする構想を受け入れる姿勢に傾いている」(有力OB)との説もある。理系とは言え、亀沢が東大出身であることが癪に障るのか。それとも、亀沢がOBも含め内外で期待を一身に集めていることに猜疑心が刺激されるのか。真相は藪の中だが、三毛を頭取に引き上げた時と同様、平野人事の最大の重点基準が「自分にとって御しやすいかどうか」にあることを考えれば、納得の行く"変心"なのかも知れない。

 MUFG内では「銀行界でもフィンテックを本当に理解する稀有な人材の亀沢を次期トップにしなければ、うちは金融のデジタル革命に乗り遅れ、将来に大きな禍根を残す」と懸念する声が出始めている。しかし、アンチ東大支配を固定化して、自らの権勢強化を図ることにしか目がない平野や三毛には、こんな悲鳴は届かないようだ。権力に憑かれた平野―三毛コンビによる倒錯した専制支配は、まさに「魚は頭から腐る」という格言を体現している。

(敬称略、肩書等は掲載当時のまま)

 なお、亀沢氏のMUFG社長昇格で、本誌1月号レポートの内容は否定されているように見えますが、然に非ず。繰り返しになりますが、現在発売中の「ZAITEN」3月号(2月1日発売)で亀沢社長誕生の恐るべき"舞台裏"を詳報していますので、最新号を是非ともご購読のほど、よろしくお願いいたします。

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