『ダントン』（1983年 アンジェイ・ワイダ監督）
『さらば愛しの大統領』（2010年 柴田大輔／世界のナベアツ監督）

「朕は国家なり」という言葉を残したフランスの太陽王に例えて揶揄された安倍首相は、国会審議で「私はルイ16世ではない」と答弁しました。ルイ14世（太陽王）と16世を間違えたのですね。悪名高い王妃と共に処刑されたルイ16世に自ら例えてしまうあたり、何をかいわんや...です。フランス革命を主導したジョルジュ・ダントンはロベスピエールとの政局争いに敗れ、ルイ16世同様断頭台の露と消えます。バカな王と王妃が死んでも、その後に来たのは王政時代以上に死屍累々の恐怖政治だった...という話です。でもそれをそのまま描いても陰惨なイラストにしかならないので、タイトルが本誌特集に合致した『さらば愛しの大統領』の安倍バージョンをプラスして。アンジェイ・ワイダと世界のナベアツが合体するのはこの連載だけ！

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澤井健（さわい・けん）イラストレーター。漫画家。現在、週刊文春『言霊U.S.A』でイラスト担当、月刊映画秘宝でイラスト、コラムを連載中。2018年9月、コミック『イオナ』電子版が文藝春秋から復刻。