“店舗軽視”に取引先も見捨てる――
三越伊勢丹「謀反人」杉江社長のジリ貧
カテゴリ:企業・経済
「杉江は、日本橋や銀座の店を潰すつもりなのか! 何を考えてるんだ、あいつは!」
今年7月、流通専門紙に掲載された三越伊勢丹ホールディングス(HD)社長の杉江俊彦のインタビューを見て、取引先の社長は怒りを露わにした。そこには「20~30年後に百貨店らしい百貨店というのは新宿伊勢丹しか残ってないと思う」と書かれていた―。
この取引先は、数十年にわたり三越伊勢丹を最優先に商品を納入してきた。当初は三越との取引が中心だったが、2008年に伊勢丹と経営統合してからも、その付き合いは続いていたという。
取引先の社長は「伊勢丹と一緒になって冷遇されるかと心配していたが、大西(洋・前)社長時代はわれわれ取引先を大事にしてくれたし、どんな百貨店にしたいのか明確だったため、対応しやすかった」と振り返った上で、現在の杉江体制に対してはこう続けた。
「(杉江が社長に)就任してやったことと言えば、店を閉めることだけ。そんな状況で新宿伊勢丹しか残らないなんて、優良顧客を抱える日本橋や銀座の三越まで見捨てるつもりなのか」
さすがの杉江も現時点ではそこまでは言い切っていない。だが、17年に就任以来、伊勢丹府中店と伊勢丹相模原店、そして新潟三越を相次いで閉店。恵比寿三越についても21年の閉店を予定している。恵比寿三越は、三越日本橋店の分店という位置付けで、規模が小さく業績も芳しくなかった。とはいえ、地方・郊外店だけでなく、都心店舗にまで手をつけ始めたことを受けて、取引先社長のように「今後、基幹店にまでメスを入れるのではないか」と不安を抱える関係者が少なくないのだ。
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