2020年10月号
GoToを"自家薬籠"にしてもなお……
JTB「JR東日本に救援要請」シナリオ
カテゴリ:企業・経済
「もうこれ以上は無理」――。
7月22日から開始されたGo Toトラベルの事務局には仕組みの複雑さから事業者および利用者からの問い合わせが相次ぎ、電話がつながらず、大混乱に陥った。観光庁はこの状況を重く見て、事務局の「ツーリズム産業共同提案体」(JTBなどによるコンソーシアム)に対してコールセンターの拡充を求め、8月3日から1050人の体制を組んだ。それにもかかわらず、一向に電話がつながらない状況に怒った事業者が永田町に苦情を持ち込み、観光庁の担当者が「無理」と叫んだという。
そもそも、GoToキャンペーンはどうして、ここまで混乱に陥ってしまったのだろうか。
二階俊博が主導したGoTo
1月28日に中国・武漢からの観光客を乗せたツアーバス運転手が感染してから間もなく、2月初めに豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号船内でクラスター(感染者集団)が発生、日本中に新型コロナウイルスの恐怖を印象づけた。
これを受け、政府がすぐに補正予算の編成に動く一方、地方創生割引以降、旅行割引クーポンを連発してきた旅行業界の動きも素早かった。大手旅行会社が中心の業界団体、日本旅行業協会(JATA)は、「業界のドン」で前会長の田川博己(JTB会長=当時、現取締役相談役)が軸となって、自民党幹事長の二階俊博に働き掛けた。なお、二階は中小旅行業者の業界団体である全国旅行業協会(ANTA)の会長を30年近く務める「運輸族議員の親玉」である。
関連記事