「アクリル板」設置は9月5日という例を見ない対応の遅さ
富士ゴルフコース"取材"に慌てて「コロナ対策」
カテゴリ:クレーム・広報
慌てて付けたアクリル板を強調して感染予防対策をアピール(富士ゴルフコースのレストラン)
屋外でプレーするゴルフはソーシャルディスタンスが確保され、「3密」を回避できるとして、コロナ禍の中でも愛好者たちで賑わいを見せている。スポーツとしては新型コロナウイルス感染症とは縁遠いといわれているのだ。
それでも、各コースは、入場の際の除菌スプレーの設置や検温、レストランでソーシャルディスタンスやアクリル板による飛沫防止など、独自の感染予防対策を徹底させている。ところが、ほとんど予防措置を取らない杜撰なコースがあった。
杜撰なコロナ対策
今回、投書を寄せてくれたゴルファー氏は8月中旬、酷暑から逃れ、山梨県・山中湖そばの「富士ゴルフコース」を友人らと訪れた。この富士ゴルフコースこそ、新型コロナウイルス感染予防対策にまったく無頓着なゴルフコースだったという。
〈御誌は他のゴルフ雑誌にはない、ストレートで小気味の良いゴルフ関連記事を掲載されていますが、先日、どうにも許せないことがあったので、ぜひとも御誌で取り上げていただきたく連絡しました。
8月半ば、私は東京の暑さから逃れるべく、山中湖そばの富士ゴルフコースへ友人たちと出かけて行きました。
コロナ禍ということもあって、どこのゴルフ場でもできる限りの感染予防対策を講じているのが当たり前の状況にありますが、なんと、このコースではコロナ対策がなされていませんでした。
また、こうしたことがまかり通るコースだからか、従業員の教育もまったくなっておらず、後ろの組がボールを打ち込んできたのに、打ち込んだプレーヤーに詫びさせることもしませんでした。
以下、問題点を説明します。
① カート置き場の異常な密
このコースではキャディバッグ置き場のそばに2人乗りのカートを並べています。クラブハウスの設計の問題でもありますが、いつでも〝渋滞〟状況で、プレーヤー同士が非常に近い状態でスタートを待っています。また、カートを移動させる従業員の運転が乱暴で非常に危険です。
② レストランの対応
レストランは、他のコースのように卓数を減らしてソーシャルディスタンスを保ったり、アクリル板を立てて飛沫防止策を取ったりすることをまったくしておりません。
③ テラスの利用禁止
私たちは屋外テラス席を使わせてもらおうと考えて、従業員にそう申し出ましたが、空席があるにもかかわらず、「使えません」の一点張り。
④ 後続組の打ち込み
私たちがラウンドしていると、途中、後ろの組のプレーヤーが打ち込んできました。ボールはすぐ近くに落ち、すごく危険でした。ところが、謝りに来たのはキャディだけ。しかも、こちらが大声で危ないと知らせ、しばらくたってからです。プレーヤーの資質の問題もありますが、一言詫びを入れさせるのもキャディの仕事のひとつです。
細かいことかもしれませんが、こういうことの積み重ねがコースの信用問題につながります。気持ちよくプレーをしたくて行ったのに、1日が台無しになりました。高級別荘地にある人気コースだけに残念でなりません〉
富士GCの回答に唖然
早速、富士ゴルフコースを経営する富士急行へ連絡を入れた。返答をしてきたのはコースを直接運営する子会社のハイランドリゾートの松村武明専務だった。
松村氏が調査期間を経て答えてきた内容はこうだ。まずはレストランについて。
〈レストランは全面を使用し、20卓で営業しています(間隔は2㍍以上確保)。コロナ以前は要員削減の為、間仕切りをして12卓で営業。納品が遅れたため、9月5日よりアクリル板を設置。テラス席については、8月8日~15日の夜間営業(BBQ)で使用、オペレーション上、日中の営業については、レストラン内に空席があるときにはテラス席へのご案内はしておりませんでした〉とのこと。
カート置き場の密状態については、〈繁忙日に混乱することは承知しており、スタッフを通常4名から5名に増員して対応していたものの、混雑を緩和するに至りませんでした。構造上の課題と捉え、今後の運営計画に付加してまいります〉と密状態を認めた。
危険な打ち込みに関しては、〈お客様のマナー違反に対して、セルフプレーの増加に伴い、お客様間のトラブルが発生しているのは事実です。8月の打球事故はないと認識しておりますが、マナー違反については、以下を徹底してまいります。①チェックインされるお客様への注意喚起、②キャディからの報告・伝達の迅速化を徹底する〉
この回答をゴルファー氏に伝えると、「とんでもない。ウソばかりだ」とボルテージが上がった。
〈私が訪れた8月半ば、レストランのテーブル間隔は2㍍などなかった。テラス席にしても、他の客が利用しており、空席があったから申し出たのです。
打ち込みについても、打球事故が起きなければいっさい問題にしないゴルフ場だということを認めているわけで、マナーなど関係なく、入場者が増えればいいとしか思っていない証左です〉
と手厳しい。
たしかに、避暑地にあるコースだけに繁忙期は7、8月に違いない。その頃、コロナ禍は第二波により深刻な事態になっていたはずなのに、アクリル板を設置したのは9月5日だという。納品が遅れたという主張は詭弁にしか聞こえず、本誌の問い合わせに慌てて設置したのだろう。
マナーについても、客同士のトラブルが発生していることを認めていながら、利用者への(マナーの)注意喚起の徹底がなされていなかった。
富士ゴルフコースのような感染予防対策も運営も杜撰なコースが「クラスター」と「ゴルフ人気の低下」を招くのである。