経産省では“参与”にも就任
「小泉進次郎」を操るGPIFの水野弘道元CIO
カテゴリ:企業・経済
小泉進次郎(環境省HPより)
進次郎のスピーチライター
「悪運の強い奴だ」「まるで政商だな」―。霞が関でこんな後ろ指を指されている男がいる。国民の虎の子の公的年金約160兆円を運用する世界最大級の機関投資家「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」で今年3月まで最高投資責任者(CIO)を務めた水野弘道(55)のことだ。
英コラーキャピタル元パートナーの水野は「二線級の外資ファンドマネージャー」(メガバンク幹部)出身ながら、前首相安倍晋三の側近を自認する世耕弘成(現自民党参院幹事長)が官房副長官だった2015年、「セコ友(世耕のお友だち)」の誼もあってGPIFナンバー2のCIOポストを手に入れた御仁。使命は無論、巨額の年金マネーを操ってアベノミクスの生命線である株価吊り上げに貢献することだった。ただ、何かと官邸の威を借る水野は、理事長だった農林中央金庫出身の高橋則広とソリが合わず、醜悪な内紛劇が表面化。「喧嘩両成敗」(農中幹部)でCIOをクビになったことは記憶に新しい。
安倍政権も幕を閉じ、流石の水野の成り上がり人生も〝ジ・エンド〟と思いきや、今度は「ESG(環境、社会、ガバナンス)投資のエバンジェリスト(宣教者)」に姿を変え、永田町や霞が関を行脚。菅義偉内閣でも環境相にとどまった小泉進次郎に巧みに取り入り、ブレーン役に。環境省筋によると、水野は昨年12月にスペイン・マドリードで開かれた国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)にも進次郎に同行、環境相演説の原稿に手を入れるほどの蜜月ぶりだったという。
石炭火力発電所の廃止など脱炭素化や、地球温暖化防止の国際的な枠組み「パリ条約」での日本の温室効果ガス削減目標の大幅な引き上げなど、進次郎が繰り出す環境政策のスタンドプレーも「すべて水野の入れ知恵」(資源エネルギー庁幹部)とされる。
端倪すべきは、水野がそれほど進次郎の脱炭素熱を煽りながら、今年5月には〝天敵〟と言える経産省の参与にも収まったことだろう。正式には「参与兼グリーン・イノベーション&ファイナンスアドバイザー兼TCFD(気候関連財務情報開示)サミットアンバサダー」という長ったらしい肩書で、産業技術環境局内に席を持ち、週1回のペースで登庁しているという。進次郎だけでなく、経産省からも頼られて得意絶頂なのか、水野はエリート官僚たちを前にEU(欧州連合)の新型コロナ禍からの経済復興計画「グリーン・リカバリー」の内容や、世界的なESG投資の流れなどについて長広舌を振るっている。