2020年11月号
何て答えるの?
龍角散「コロナに効く」を連想させるテレビCM
カテゴリ:クレーム・広報
「龍角散ダイレクトスティック」テレビCMより
〈80代の母が〝コロナに効く〟と、「龍角散ダイレクトスティック」を薬屋で買ってきて飲んでいる。気になったので、CMをネットで見たところ、新型コロナウイルスにそっくりな形状のばい菌が出てくる。何だかコロナ便乗商法みたい〉(読書のメールより)
編集部でも龍角散ダイレクトスティックのCMを視聴した。内容は、龍角散を服用すると、ウイルス状のものがどんどん小さくなり、消えてなくなるイメージだ。問題は、それがあの〝新型コロナウイルス〟にそっくりだということ。龍角散はどのような認識でこのCMを流しているのか。
この件につき龍角散広報の渡辺氏にメールで問い合わせた。渡辺氏には以前、「藤井隆太社長のヘタすぎるサイン」について取材を申し込んだことがあるのだが、藤井社長の怒りに触れるのを恐れてか、取材に消極的であった。
しかし、今回は商品やCMについての問い合わせである。龍角散は「薬」なので、今回のようなケースでは回答拒否はまず許されない。だが、渡辺氏からは連絡がこなかった。
龍角散本社へ電話をしたところ、エサカという女性が「渡辺は在宅勤務中です」と言い、連絡があったことを伝えると約束してくれたが、その後も一向に連絡はなく、そんな状態が1週間以上続いた。
編集部が質問した内容は、商品概要やどのような効能があるか、CMに出てくるウイルスには何か名前があるのか、また、コロナウイルスと関係あるのか、コロナ禍であえてこのCMを流し続けている理由などなど、龍角散社員なら誰でもすぐに答えられるような質問であった。この程度の質問に答えないのは、自宅でサボっているからではないか。
渡辺氏に伝えると約束したエサカ氏も、「申し訳ございませ~ん。(渡辺氏に)言ったんですけど~」「私担当ではございませんので~」と、昭和の腰かけOLのような対応で、編集部の質問に我関せずを貫いている。そこでエサカ氏に質問内容を口頭で伝え、メモして欲しいと依頼したところ、「まだ、あるんですか~」とそれすら拒否。エサカ氏によると、藤井社長も不在とのことだが、きっとこの取材の一件も知らされず、自宅で自慢のフルートを吹いていることだろう。
そんなことから広報に見切りをつけ、商品パッケージに記載されているお客様相談室の水島氏に聞いてみた。答えは、龍角散ダイレクトは特定の菌やウイルスに対応するものではなく、あくまでも咳や痰による喉の炎症を鎮めたり、喉の不快感を取り除く薬で、「ウイルスを撃退するものではない」とのこと。ただし、CMの問い合わせは広報しか回答できないということで、水島氏にも「広報から連絡させる」と言われた。やれやれまたタライ回しか。
それにしても、広報担当には渡辺氏より水島氏の方が適任なのではないか。
結局、この件につき渡辺氏からは一切説明がなかった。しかし、龍角散がウイルスを撃退する薬でないのなら、コロナに似せたウイルスはCMで使うべきではない。
渡辺氏が答えられないのは、龍角散がコロナに便乗してこのCMを流していたからなのだろう。