2020年12月号
遮二無二のリストラと「孫正義との抱き合い心中」懸念が…
みずほFG「20年」の奈落の底
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旧日本興業銀行、旧富士銀行、旧第一勧業銀行の3行を統合した、みずほフィナンシャルグループ(FG)が誕生して20年の節目を迎えた。しかし、旧3行間の内紛に明け暮れ、まともな経営戦略を打ってこなかったツケが重く圧しかかり、業績は3メガバンク中で「圧倒的な最下位」に沈んだまま。旧興銀勢による経営支配が続く中、「構造改革」の美名の下に繰り出される手を替え品を替えてのリストラ策にグループ社員の人心は荒廃を極め、祝福ムードとは程遠い状況だ。
「金融メガ再編の嚆矢。画期的だった」―。FG社長の坂井辰史(1984年旧興銀)はみずほ発足20年となった9月29日、社内サイトにこんな感慨を書き込んだ。ところが、「ポストコロナの社会や経済を展望し、業務のあり方を抜本的に変えることが重要だ」と、お決まりの社員に構造改革を厳しく迫る言葉で締め括られたメッセージは社員の胸には全く響かず、士気を低下させるだけだった。東大時代に同人誌『駒場文学』に執筆し、〝文学青年〟を自認する坂井。それなら記念日くらいもっと気の利いたメッセージを出しても良さそうなものだが、中期経営計画で掲げた利益目標の達成が早くも危ぶまれる中、市場や株主からの批判を恐れて保身に汲々とする今の坂井には、そんな余裕はなかったらしい。
実際、約8年に及ぶ時間と約4500億円もの巨費を費やして旧3行のシステムをようやく統合し、グループ社員約1万9000人の〝生首〟を斬る苛烈なリストラを進めているにもかかわらず、みずほの収益力は一向に上がっていない。本業の儲けを示す連結業務純益は今や三菱UFJFG(MUFG)と三井住友FG(SMFG)の上位2行の6割前後に沈み、水を開けられるばかりだ。
坂井は一昨年春、旧3行による権力闘争を巧みな謀略戦で生き抜き、FG社長に7年もの間君臨した佐藤康博(現会長、76年旧興銀)から禅譲されてみずほトップの座に就いた。だが、経営戦略の根幹となる中経(2019~23年度)は通常の3年の期間では成長の絵姿をどうしても描けず、苦肉の策として5年間に伸ばして最終年度に連結業務純益をライバルの2メガ並みの9000億円に引き上げる目標をでっち上げたもの。しかし、コロナショックも重なってその綻びは早くも露呈し、追い詰められ坂井はさらなるリストラにのめり込もうとしている。
......続きは「ZAITEN」2020年12月号で