2021年1月号
東証トラブル発生の陰で〝院政支配〟の萌芽も……
富士通"壊し屋ジーパン社長"時田社長の陥穽
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時田隆仁社長(富士通資料より)
東証システム障害の戦犯と名指しされる富士通だが、最近の同社のイメージは異なっていた。ノーネクタイの社長、時田隆仁による〝猪突猛進〟の改革のお陰だが、その真意や如何に―。
「多くのみなさまに多大なるご迷惑をおかけしたことを心よりお詫びする」―。10月1日に東京証券取引所で発生したシステム障害について、その4日後に開かれたオンライン事業説明会で、富士通社長の時田隆仁(58)はこう謝罪した。時にジーンズ履きという、いつもはラフな私服姿に軽いノリで話す時田も、さすがにこの時ばかりはネクタイを締め、緊張した面持ちで頭を下げた。
それもそのはず。障害の原因は富士通側のお粗末な単純ミスだった。この影響で東証は終日、株式の売買停止を余儀なくされたのだから、弁明の余地はない。
東証の株式売買システム「アローヘッド」は外部記憶装置が故障した場合、自動で必ず切り替わる仕様となっている―はずだった。それが2015年9月の全面刷新の際、富士通は米国企業に生産委託したが、製品の仕様とマニュアルに記載されている内容が変わっていた。実に5年以上にわたり、装置の故障が発生した際に自動で切り替わらない状況にあったことを見逃してきたわけだ。
富士通が原因の東証のシステム障害は今回で3度目。システムエンジニア(SE)として、東証のシステムにも関わったことがある時田にとって、今回の失態で面目は丸潰れ、信用は地に落ちたと言っても過言ではない。
一方、東証のシステム障害を受けて、富士通社内では時田が進めるドラスティックな働き方改革を懸念する声が出始めている。ある幹部は「一気に変えようとする余り、猪突猛進の感がある。テレワークの常態化などで社員の気が緩み、次のトラブルを招くリスクがある」と改革の反動を警戒する。
英国赴任で〝海外かぶれ〟
19年6月に社長に就任した時田は、歴代のトップを否定するかのように〝自己破壊〟ともいえる社内改革へと突き進んでいる。社長就任後の『日経ビジネス』のインタビューでは、「引き受けたからには、今までの仕事の仕方やプロセスをひっくり返す」と宣言し、社内に衝撃が走った。
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