2021年03月号
コロナ禍で躍進する企業がある一方……
【特集・コロナ便乗企業】コロナ禍で増える消費者庁案件
カテゴリ:クレーム・広報
新型コロナの猛威が世界を襲った2020年、感染予防のための消毒液やマスクが市場から一時消え、これらを扱う企業に注文が殺到したことは多くの人が知るところである。だが、新型コロナの恩恵を受けたのは感染予防グッズを扱う企業だけではない。
16年に日本に進出したものの、長く商圏が首都圏など大都市のみに限られていた飲食宅配サービス「ウーバーイーツ」は、政府が全都道府県に緊急事態宣言を出し、外出自粛要請を出した昨年春以降、一気にエリアを拡大した。また、この機を逃すまいとばかり、LINEの持分法適用会社である日本最大級の出前ポータルサイト「出前館」が「ダウンタウン」の浜田雅功を起用したCMは、20年中で見ない日はないほど繰り返し放映された。
そしてコロナ禍のめぐり合わせにより、従来から開発していた技術に想定以上の注目が集まったのが、鳥インフルエンザウイルスやノロウイルスなどの有害物質を酸化分解する「ストリーマ放電」技術の開発に04年から取り組んでいたダイキンである。同社は昨年7月、この技術が新型コロナウイルスの不活化にも効果があることを大学との実証実験で確認したと発表。このストリーマを搭載した同社の空気清浄機は、昨年4~7月の売り上げが前年同期比2倍超となるヒット商品になった。
しかし、地道な企業努力の積み重ねが結果的にコロナ禍で報われた企業があった一方で、科学的根拠などお構いなしに、人々の不安につけこむことのみに徹して暴利を貪った「便乗企業」は、もっと多かったかもしれない。
消費者庁は昨年2月末から3月初めにかけて、インターネット広告において、新型コロナウイルスへの感染予防効果を標榜するウイルス予防商品の表示について緊急監視を実施。6月5日までに99事業者が販売していた125商品に対して、景品表示法が禁じる「優良誤認表示」や健康増進法が禁じる「食品の虚偽・誇大表示」に当たるとして表示の改善を要請し、同時に一般消費者への注意喚起を行った。
これ以外にも消費者庁では、「細菌やウイルスを太陽の光で分解する」という触れ込みの「吸着分解マスク」を製造販売していた「玉川衛材」(東京都)に対し、7月に景表法違反であるとして課徴金708万円の納付を命令。さらに12月にはカード型の携帯除菌グッズ「イオニアカードPLUS」と称する商品を製造販売していた大阪市の「サルーテラボ」に対しても、同様の理由から、表示が景表法違反であったことを一般消費者に周知徹底するとともに再発防止策を講じるよう命じる措置命令を出している――。
......続きは「ZAITEN」2021年3月号で。