2021年04月号
女性蔑視にパワハラ……親会社は沈黙
三井住友トラスト「日興アセット」パワハラ黙認
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【2021年3月3日追記】
本稿前編に当たる2021年2月号掲載の記事を以下URLで無料公開しました。
同記事も是非ともご覧ください。
日興アセットマネジメント「パワハラ専務」の内部告発(21年2月号)
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東京五輪組織委員会会長、森喜朗の女性蔑視発言。残念ながら、日本の企業社会のジェンダー感覚は森と同レベルである。女性も男性も働きやすい世の中に変えていくためには、発言や行為に対してきちんと〝ケジメ〟をつけていくしかない。
だが――。独立系最大の信託銀行グループ、三井住友トラスト・ホールディングスでは、パワーハラスメントや女性蔑視発言を容認し、あろうことか、逆に批判者を排除する実態があった。
本誌2月号既報の通り、三井住友トラスト傘下の大手運用会社で、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)から1兆円の運用委託を受け、日銀が10兆円を超すETF(上場投資信託)を投資している日興アセットマネジメントの専務兼最高投資責任者(CIO)辻村裕樹によるパワハラが昨年、内部通報により発覚した。
関係者によると、辻村は運用部門の男性に対して「離婚歴がある奴は必ずまた浮気を繰り返す」「子どもがいない夫婦には欠陥がある」などのハラスメント発言を、オフィシャルな食事の席で公言していたという。さらに関係者を通じて明らかになったのは、辻村が社内外で女性蔑視発言を繰り返していることだ。
「日本の女は産休が長すぎる」「女はすぐに会社を辞めるから困る」......。さらには「女は嫌いだから、中途採用するな」とも人事部門に対して述べていたようで、実際に、辻村の管轄である運用部門の女性比率は1割以下。女性管理職は皆無である。これは女性蔑視発言が辻村個人の見解ではなく、日興アセット運用部門の組織風土であることを示している。
辻村のような考えの持ち主が組織のトップにいる場合、女性は産休を取るだけで評価を下げられてしまうだろう。仮に子どもを産まずに働いていたとしても、〝欠陥品〟のような扱いを受けてしまうのは必定。詰まるところ、「女は働くな」ということだ。
ところが、日興アセットは辻村のパワハラ、女性蔑視発言が事実であったことを認識しながら、実質的な処分は行わず、内部通報者に降格処分を下す裁定を行った。
子会社で発覚した不正事案
「お子様やお孫さんのために何ができるかを、一緒に考えていきましょう」―。俳優の佐藤浩市が年配の顧客にこう語り掛ける、三井住友信託銀行のテレビCM。だが実態は、後世が極めて生き辛い価値観を持つ人間を要職に就け、擁護し続けていると言える。
(アウトサイダーズレポート主宰 半田修平)
......続きは「ZAITEN」2021年4月号で。