2021年05月号
創業4兄弟を継ぐ「第2世代」の無能と暴走
カシオ「パワハラ和宏社長」で潰える同族支配
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写真週刊誌『フライデー』で、社長の樫尾和宏のパワハラを報じられたカシオ。トップを巡る驚愕の醜聞だが、告発を無視した上、社長自ら釈明にもならない反論を打つなど、事程左様に同社の経営は迷走している。特報した写真週刊誌『フライデー』では語られない、その内実とは......。
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カシオ計算機の経営が迷走している。電卓やデジタルカメラ、デジタル腕時計などの〝元祖〟として「CASIO」は世界で知られる有名ブランドだが、一方で「樫尾商店」と皮肉られてきたように経営体質は旧態依然。「創業4兄弟」が順番に経営の中枢を担った後、6年前に子どもたちの世代に代替わりしたが、「第2世代」の現社長に求心力はない。折からのコロナ禍もあり業績が急降下すると、焦りが高じた社長自らパワーハラスメントを乱発。前途を見限った人材の流出が加速している。
もはや〝奇行〟の域に...
「『なめんなよ』『なめてんのか』『ふざけんな』まるでケンカを売られているよう」
「稟議に対して『絶対やらねぇ、一生見ねぇから』と投げられる」
「『レベルが低い。(人事部は)全員交代してもらいます。その話を後でしましょう』と私たちを退任させる事を取締役に告げて会議を抜ける」
ここに紹介しているのはカシオ計算機の人事部課長が昨春以降、社長の樫尾和宏(55)から浴びせられた罵詈雑言の一部である。
関係者によると、同課長は2019年4月に和宏から、経営改革の一環で子会社のカシオ情報機器とカシオ電子工業への転籍制度に関するミッションを与えられ、1年後の昨年4月にその制度を開始する方向で準備を進めていた。
ところが、開始直前の昨年3月末に和宏の態度が一変。「1年前のことは忘れた」と言い放ち、白紙に戻すようにとの指示が下る。しかし、すでに社内の組織人事委員会の承認を得た案件であり、経営会議の場でも進捗状況や内容について何度も報告が成されていた。社長の独断で「はい、止めます」で済む問題ではなかった。
白紙撤回について、和宏は「私は認めていませんでした。彼(同課長)が勝手にやったこと」と開き直り、俄かに制度変更を指示。昨年の大型連休中の5月1日、和宏は同課長に突如、こう命じる。
「5月5日の会議までに死んでもやってください。できていなければ7日以降、話もしませんから」
とても間に合わない日程だったが、人事部のメンバー数人とともに同課長は連休期間中、打ち合わせや資料作りに追われる。コロナ禍の在宅勤務とはいえ、睡眠時間は平均1〜2時間。次第にキーボードを打つ手が震え出し、食べ物を吐いてしまうこともあった。そんな父の様子を見た娘から「パパ、死なないで」と言われた時、同課長は和宏による一連のパワハラ行為を公にする決断をした。
......続きは「ZAITEN」2021年5月号で。