2021年06月号
月刊ゴルフ場批評44
「相模原ゴルフクラブ東コース」批評
カテゴリ:スポーツ・ゴルフ
この稿を進めている最中、松山英樹のマスターズ制覇というビッグニュースが飛び込んできた。
10度目となる挑戦だったが、今年は一度もトップ10入りすらかなわず、松山の前評判は高くなかった。そんな背景もあったから、ゴルフ界(だけではないが)が大騒ぎになるのも当然だ。
さて、今回取り上げるのは「相模原ゴルフクラブ東コース」だが、興奮冷めやらぬ中、思うところがあって原稿内容を再考した。オーガスタ・ナショナルGCとの比較が入っている点はご容赦を。
同コースは600㍎を超える12番の超ロングホールが名物。他には......? そう、まったく思い出せない。これまで3、4回はプレーしたが、印象に残るホールがほとんどないというのも珍しい。
オーガスタ・ナショナルGCには一度も行ったことはないが、各ホールの特長が際立っていて、ドッグレッグホールでは攻める球筋まで要求される。
相模原GC東コースの場合、神奈川県内の中で数少ないフラットな地形がウリ。しかし、激しいアップダウンのあるオーガスタを見ていると、果たしてフラットな地形が名門コースの条件なのかという疑問を抱いてしまう。
今大会ではディフェンディングチャンピオンのダスティン・ジョンソンを筆頭に、最先端のスイングといわれる選手たちが撃沈。一方でジャスティン・ローズ、ザンダー・シャウフェレなど、オーソドックスなスイングの選手の活躍が目立ったように思う。硬く仕上げた高速グリーン、随所で大きく曲げるボールを要求されるホールレイアウトに対し、曲げるテクニックに秀でた選手が持ち味を発揮し、より見応えのあるトーナメントになっていた。 結論―。相模原GC東コースは「広くて長すぎる」のだ。
250㍎以上飛ばす人間には左右の林が気になるだろうが、200㍎そこそこのアベレージヒッターにしてみれば、狙いどころを絞りきれないぐらいフェアウエーが広い。それでいて2打目が届かないのだからガッカリ。ボールをコントロールする技術なんて二の次で、少しでもグリーンに近づけた方が有利という、パワー頼みになってしまう。 2通りあるパー数(74と72)にも表れている。飛ばし屋には短すぎるロングホールを、パー4、パー5のどちらかを選択してプレーできるのだが、そんな配慮が必要なほど飛ばない人間にとっては、やはり長すぎるが故に楽しめないコースということだ。
メンテナンスは最上級で、林の中にまでしっかり芝が敷き詰められている。グリーンのコンディションも完璧。2007年の日本オープンのように、ちょっとフェアウエーを絞れば即トーナメント開催が可能な、堂々たるチャンピオンコースなのだが......。 ゴルフはターゲットスポーツ。仮にティショットを成功させても、セカンドショットでピンを狙う機会が得られないとなると、ゲームの楽しみは半減してしまう。せっかくの名コース。男のプライドを傷つけない程度のフォワードティを検討してみてはどうか?
●所在地 神奈川県相模原市南区大野台4-30-1 ●TEL. 042-776-8811 ●開場 1957(昭和32)年9月20日 ●設計者 小寺酉二(1963年村上義一により2グリーンに改造)●ヤーデージ 18ホール、6629ヤード/6442ヤード、パー74/パー72(Aグリーン使用時)