ZAITEN2021年08月号
2021年8月号【連載36】
【澤井健のZAITEN戯画36】怪僧・池口恵観と安倍晋三たちの〝仏道修行〟
カテゴリ:澤井健のZAITEN戯画
『空海』(1984年 佐藤純彌監督)
小泉純一郎、安倍晋三、二階俊博、竹中平蔵、櫻井よしこ......といったそうそうたる顔ぶれが発起人となる1000人規模のパーティーが、緊急事態宣言下の6月にホテルニューオータニで開催されるという一部報道がありましたが、その後の情報はありません。祝賀会の主役は池口恵観大僧正。8年前に競売にかけられた朝鮮総連中央本部を45億円で落札したことで話題となった「永田町の怪僧」です。会場では真言密教の秘儀「疫病退散の祈祷」が披露されるとのこと。イラストのモチーフとなった弘法大師空海は平安時代の朝廷で絶大な影響力を誇った真言密教の開祖。84年の映画版は、空海が解脱するまでの修業時代を描いた前半に『ドクター・ストレンジ』と見紛うようなシュールでサイケな映像が連続します(特に富士山の噴火でパニックになる村人を落ち着かせようとして乱交に導くシークエンスが白眉)。何が言いたいかというと、日本の政治と政治家のあり様は平安時代から何ひとつ変わってないという現実です。
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澤井健(さわい・けん)イラストレーター。漫画家。現在、週刊文春『言霊U.S.A.』でイラスト担当、月刊映画秘宝でイラスト、コラムを連載中。2018年9月、コミック『イオナ』電子版が文藝春秋から復刻。
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