ZAITEN2021年9月号

パワハラ常習者たちも次々と出世――

大分銀行「浮貸し幹部」出世に行員怒り

カテゴリ:企業・経済

 地方金融機関の厳しい経営環境が指摘されて久しい。地方銀行では各地で経営基盤強化のための地銀再編が進んでおり、今年3月期の決算では全国の上場地銀の半数近くが減益となった。そうした状況下、厳しい経営環境に加え、6月に発表された人事に対しても重苦しい空気が流れている地銀がある。大分県大分市に本店を置く第一地銀、大分銀行である。

 大分銀行員は、こう嘆く。

「こんな人事があっていいのかと思いました。普通の感覚で考えれば昇進することはないはずの人物が、管理職である推進役に昇進したのです。多くの行員がおかしいと思っています」

 行内で疑問が噴出しているのは推進役人事。推進役は支店長クラスにあたる管理職であり、約1200人の行員の中でも上位200人に入る幹部である。その推進役に昇進した行員の中に、出向先からさらに別の子会社に出向し、前年に本店に戻ってきた人物がいた。40代のAだ。定年前でもないのに出向先からさらに出向する人事も異例だが、そこから戻ってきて管理職に昇進する人事も前代未聞だという。しかも、多くの行員が不審に思っているのは、Aに「浮貸し」疑惑があるからだ。

疑惑の調査中に全額返済

 浮貸しとは、金融機関の役員や職員がその地位を利用し、自分や第三者の利益を図るために、正式な手続きを取らずに帳簿をごまかして預金を貸し付けること。いわゆる出資法違反にあたり、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科される犯罪行為である。近年は低金利で資金調達がしやすいことからあまり注目されていないというが、以前は大きな問題になっていた。

 大分銀の関係者によると、大分県内のある支店で浮貸しの疑惑が持ち上がったのは2016年。その3年前、支店からある企業に千数百万円を融資していたが、その企業の決算書に貸付金が計上されていなかった。調べてみると、その企業には別の企業の口座から毎月一定額が入金されていたという。つまり、融資を受けた金を別の企業に貸して、返済を受けていた可能性がある。

......続きは「ZAITEN」9月号で。

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