ZAITEN2021年10月号
安倍晋三を「永久追放」せよ
【特集】倉山満インタビュー 最長政権でも「何も出来なかった無能」 安倍晋三は政界引退すべし
カテゴリ:政治・国際
憲政史研究家 倉山 満氏
先日、『救国のアーカイブ 公文書管理が日本を救う』(ワニブックス)を上梓しました。
アーカイブとは文書管理のやり方を研究する技術です。きちんとした文書管理は、ミサイルよりも有益な国を守る武器であるということを、日本の歴史を軸に論じています。俄かに注目が集まっている文書管理を語る上で、やはり、第2次安倍晋三政権で続発した複数の問題に触れないわけにはいきません。改めて振り返りましょう。
財務省の文書改竄で自殺者を出してしまった森友学園問題。防衛省が破棄したと説明していた南スーダンPKOの日報が実は保管されていた自衛隊日報問題。愛媛県の学校法人の獣医学部新設に関し、県が存在しないとしていた「総理のご意向」文書が後に国会に提出された加計学園問題。政権末期の検察人事を巡る、いわゆる「黒川(広務)騒動」でも公文書の管理が問題視され、大臣の答弁が崩壊していきました。
こうした結果だけを見ても、安倍内閣の公文書管理は極めて杜撰だったと言わざるを得ません。実際、文書管理における「整理」をおろそかにすると、国が滅びかねない。それは歴史が証明しています。詳しくは拙著を読んでいただきたいのですが、明治維新で意図的にアーカイブを捨てた明治政府は、日露戦争の勝利後の明治40(1907)年、元老筆頭の伊藤博文がまとめた「公式令」を発布し、その再構築を試みました。 しかし、陸軍を代表する山縣有朋は、軍事機密については首相はじめ他大臣に見せなくてもよいとする軍令で対抗。軍は統帥権独立を確保し、昭和の軍部暴走の悲劇へと繋がっていきます。文書管理失敗の悲劇です。
つまり、明治40年以降のアーカイブの歪みそのものが、近現代日本の転落の歴史と言えます。安倍政権で起きた数々の公文書を巡る問題も、単に政権批判の材料にするのでなく、こうした国益的・歴史的観点で考えるべきでしょう。その上で、第2次安倍政権をいかに評価するか、になります。
◆プロフィール◆
くらやま・みつる―憲政史研究家。1973年生まれ。一般社団法人「救国シンクタンク」理事長・所長。著書に、『検証 検察庁の近現代史』(光文社新書)『嘘だらけの日米近現代史』をはじめとする「嘘だらけシリーズ」(扶桑社新書)など多数。