ZAITEN2021年10月号
安倍晋三を「永久追放」せよ
【特集】立川談四楼インタビュー 東京五輪開会式を欠席した "出たがり男"の下心
カテゴリ:政治・国際
落語家 立川談四楼
コロナ禍で開催された東京オリンピックが閉会し、安倍晋三前首相は8月9日に〈感動をありがとう〉とツイートしました。出席する予定だった開会式をドタキャンし、SNS上で「トンズラした」などと大ブーイングを浴びた人物が、何をか言わんやです。
そもそも、東京五輪は安倍による福島原発事故の「アンダーコントロール」発言から始まったものです。東京開催決定時の首相であり、今も大会組織委員会の名誉最高顧問でもある安倍が開会式に欠席するのは本来ならあり得ません。ですが、安倍は自身の危機管理能力だけは高いとも言えます。
表向きの欠席理由は「無観客開催なので遠慮した」でしたが、出席してヘラヘラしている自分の姿を国民に見られるのは"マズい"と判断したのかもしれません。そういう姑息な感覚だけは優れているのでしょう。
もちろん、本音では出席したかった。基本、出たがり屋ですから、誰よりも楽しみにしていたはずです。前回の2016年リオデジャネイロ五輪の五輪旗引き継ぎ式でスーパーマリオに扮して登場したのは安倍自身でした。今回は自国開催ですから、開会式には絶対に出たかったはず。それなのに、あえて欠席してみせたのは、穿った見方かもしれませんが、3度目の首相に返り咲くための下準備を始めたからだと言う人もいます。
事実、自民党内では「ポスト菅」に安倍待望論が燻っているようですし、本人も首相辞任後、複数の議連の最高顧問に就任するなど、目立った活動を始めています。総裁選に意欲を示す自民党議員も複数出ていますが、菅義偉首相に代わる人材が見当たらない中で、安倍本人も立候補を諦めてはいないと思います。
安倍はモリ・カケ・サクラで「丁寧に説明する」と言いながら、何も説明しなかっただけでなく、嘘の国会答弁を118回繰り返した人物です。本来なら議員辞職すべきだった人が、また首相の座を狙っている。普通の神経の持ち主ならできることではありません。
◆プロフィール◆
たてかわ・だんしろう――落語家。1951年生まれ。70年立川談志に入門。83年立川流落語会第一期真打。新聞や雑誌にエッセイや小説を多数執筆。代表作は『ファイティング寿限無』(ちくま文庫)『石油ポンプの女』(新潮文庫)など。
......続きは「ZAITEN」10月号で。