2021年10月号
本誌発売前に読売は報告記事掲載の“高等戦術”
ダブル不倫「読売新聞」検察記者"乱行"の末にメモ漏洩【10/1公開】
カテゴリ:事件・社会
【2021年10月1日編集部注】
記事全文を公開します。
同問題の顛末を記載した記事を2021年11月号で展開しています(下記をクリックしてください)
・【2021年11月号掲載レポート】情報漏洩を詫びた「読売新聞」の読者不在
【2021年9月1日編集部注】
読売新聞の検察担当記者に関する本誌『ZAITEN』2021年10月号(9月1日発売)記事を巡って、発売前から喧しい。
記事本文は本日9月1日発売の本誌をご覧頂きたいが、要旨はタイトルの通り、読売新聞の30代検察担当記者Xがフジテレビ所属の女性記者とダブル不倫を繰り広げた挙げ句、取材情報をその女性記者に漏洩。しかも、それだけでは飽き足らず、新聞、テレビの他社の女性記者、さらには週刊誌の女性記者にも不適切な関係を迫った上、それを週刊誌記者から拒否され咎められると一転、"口封じ"とばかりにこちらでも取材情報を漏洩していたという疑惑を報じたもの。実際、件のX記者は今春、社会部の花形である検察担当から『中高生新聞』なる、お世辞にも陽の当たるポジションとは言えない部署に異動になっていた――。
上記記事に関し、本誌編集部は8月中旬に読売新聞グループ本社に取材を申し込み、同月20日の段階で「現段階では調査中」と、Xの所属の事実だけを認め、その余の質問については回答を差し控えた。しかし......27日金曜日朝刊に突如、《本紙記者が情報漏えい 週刊誌女性記者らに》なる社内調査報告の記事を掲載したのだ。27日と言えば、本誌10月号が刷り上がった配本日。まだ本誌は流通していない段階で、本誌発売に先んじて社内の不祥事を自ら発表した体裁をとったと言えるタイミングである。いずれにせよ、1週間かけて読売社内の調査は終わったということなのだろう。
ただ、不可解かつ唐突な読売の記事に他媒体が反応。結果、明日9月2日発売の『週刊文春』(9月9日)が記事を掲載するに至った。本誌ZAITENにおける上記のような取材プロセスについても触れられているようだ。詳細は明日発売の文春をご覧頂きたいが(週刊文春電子版では読めるようです)、本誌記事を無価値化する読売新聞の「高等戦術」が要らぬ"延焼"を招いたとは言えまいか......。
加えて、文春記事では問題視していないようだが、読売のXに関する告知記事は、タイトルのみならず、記事内容も読み様によっては、Xから情報を得たとされる週刊誌女性記者側に"加害性"があるようなものとなっているが、そもそも、新聞・テレビが検察情報を独占・寡占する正当性はどのように担保されているのか。そして、この告知記事は誰に向けられて発しているものなのか。
いずれにせよ、ゲスな男記者の"乱行"を発端にした騒動ながら、図らずも、大手マスコミの記者クラブ問題を浮き彫りにしたとも言える。なお、本誌記事本文については、発売中のため、現時点では以下のさわりだけでお許し頂きたい。
読売新聞グループ本社・山口寿一社長
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読売新聞社会部に所属する検察担当の30代男性記者Xが記者クラブから忽然と姿を消した。Xは当初周囲に「コロナの濃厚接触者になった」と説明していたが、欠勤は数カ月に及んだ。長すぎるXの欠勤と時を同じくして、フジテレビ社会部の女性記者Yも、突然姿を見せなくなった。
「昨年冬、XとYとの不倫関係が両社の社会部長に報告されたのです。XもYも既婚者で、二人はダブル不倫の関係でした」と語るのは、さるフジ関係者である。
ところで、読売の検察担当が記者の数と情報の質において他社を凌駕するのは衆目の一致するところ。昨年末には「桜を見る会」を巡って前首相の安倍晋三が任意聴取されたことをスクープした。ただ、ライバル社の記者は「読売の特報で他社が浮足立つ時も、フジが後続のネタをすぐに出してくることがあり不思議に思った」という。先のフジ関係者が解説する。
「Yは不倫相手のXから、社内では他の誰も知らない情報を仕入れ、周囲を驚かせていた。ところが、YとXが取材後に二人で姿を消す様子が噂されるようになり、両者の関係を訝しんだYの同僚がフジ社会部長に報告したのです」
程なくして二人は不倫関係にあることが発覚。Xは読売の社会部長の〝取り調べ〟を受け、その素行が明らかになっていく。
XはYとの不倫だけでなく、複数の女性記者に対しネタの提供をエサにセクハラ行為を行っていたのだ。「情報交換しましょう」といった文句で女性記者を酒席に呼び出し、酔った体でその身体を触るなどの行為を繰り返していたという。読売関係者が証言する。
「調査の結果、新聞やテレビの記者だけでなく週刊誌の女性記者に対してもセクハラを行っていたことが分かりました。しかし、彼女が怒ると、Xは〝口止め料〟とばかりに情報が書かれたメモを彼女に提供したのです。そのメモは、Xの先輩記者が独自に掴んでいた検察内部のスキャンダルでした」
つまり、自らの乱行の口封じのため、先輩が掴んでいたスクープを漏洩させたというわけだ。
社会部の検察担当記者といえば、読売社内でも精鋭のエリート集団と言われている。現社長の山口寿一も、若かりし頃は検察担当で腕を磨き、そのキャリアで読売を襲ったトラブルを鎮圧し今の地位を得たとされる。言わば、「エリート街道」のど真ん中である。
「Xは初任地である東北地方の支社にいた頃から、検察担当への配属を切望していた。晴れて検察担当になった彼を、周囲が『出世コースだね』などと褒めそやすと、鼻の穴をぷくりと膨らませ、まんざらでもない様子でした」(同)
しかし、Xの「華の検察担当時代」はそう長くは続かなかった。とりわけメモ流出の一件には、他の社会部記者たちも怒り心頭。本人は関与を否定したものの、事態を重く見た社会部上層部はXの自宅謹慎と異動を決定する。
「社会部の理想は、Xを部外に永久追放することだった。ところが、部外への異動となると法務部管轄の人事となり、社内外で大事になりかねない。結局、社会部の上層部はXを社会部管轄の『中高生新聞』に配属しました」(同)
読売はご丁寧にも事の顛末を報告書にしているというが、グループ本社広報部は本誌取材に対し、Xの所属は認めたものの、事実関係については「8月20日現在、調査中」としか回答しなかった。
エリート集団の〝威光〟を守るため、表舞台から抹殺されたXだが、当の本人は知らぬが仏か、「『社会部に残ることができて、温情人事に感謝してます!』と周囲に触れ回っている」(前出の読売関係者)。片や、不倫相手のYは会社を去ったといい、それぞれの道を歩み出したようだ。(敬称略、肩書等は掲載当時)