2021年11月号
【タケ小山の「ゴルフ言いたい放題」】 第32回 欧米とは大違い!いつまで続くのかビジョンなき「無能施策」
欧米とは大違い!いつまで続くのかビジョンなき「無能施策」
カテゴリ:スポーツ・ゴルフ
コロナ禍でも密にならないゴルフに人気が集中するのも頷ける。クラブの売れ行きも好調で、あるメーカーは生産量を昨年比8割増と見込んでいるという。 ゴルフ人口が増えれば道具もウェアも売れるが、一方でゴルフ場では予約が取れないケースが出てきている。とくに低料金でカジュアルなコースが人気で、若者がかなり来場しているという。だが先日、タケが見かけた若者3人は明らかにコースのドレスコードを違反。すかさず注意すると素直に従ってくれたが、彼らはゴルフのTPOを理解できても、学ぶ場所がないのかもしれない。
10年ほど前、世界のゴルフ業界では「2015年問題」が叫ばれていた。それまで牽引していたゴルファーが高齢で引退、ゴルフ人口が急激に減少するとされていた。日本も例外ではなく、団塊世代のビジネスマンがゴルフを辞めるのではと危惧されていた。ゴルフの総本山であるJGA(日本ゴルフ協会)は〝ゴルフをみんなのスポーツへ〟というスローガンを掲げたが、とくに効果的な施策は出せず、ゴルフが注目される好機の東京五輪でも〝みんな〟がプレーできないコースを選び、相変わらず特権階級のスポーツという姿勢を崩していない。
一方、米国はナショナルオープン競技(男女全米オープン)をパブリックやムニシパル(公営)コースで開催して身近なスポーツをアピールし続けている。ではゴルフの本場、英国の総本山「R&A(全英ゴルフ協会)」はどうだろう。
R&Aは、グラスゴーのムニシパルのゴルフ場の所有権を取得し、新しいゴルフのコミュニティの中核となる施設建設に乗り出している。現在は18ホール、パー71、5838㍎のコースだが、9ホール、パー3コース、パッティンググリーン、ショートゲームエリア、アドベンチャーゴルフ、練習場が改造や増設され、さらにカフェ、フィットネスジム、シュミレーションゴルフに映画館、会議室も併設、ゴルフを核にしたコミュニティが誕生する。R&AのCEO、マーティン・スランバース氏は、「この施設を通じ、人々が外へ出て楽しめることができ、家族や友人たちと健康的で生涯楽しめるゴルフを提供できることに興奮している」と語り、10年、30年、50年後のゴルフの在り方をイメージしている。 欧米のゴルフ関係者が目指すゴルフの在り方は、「シーディング」(種まき)と言われるゴルファーの創出と育成。一方、我が国のゴルフは相変わらず既存ゴルファーへの「お・も・て・な・し」で、ビジョンなしの無能な施策ばかりだ。
生涯スポーツと言いながら、いまだ高度経済成長期の接待ゴルフ、娯楽ゴルフの域を越えられない。親や上司から教えを乞うゴルフではなく、ゴルフを学べる場の創出こそ重要ではないのか。世界第2位のゴルフ大国のリーダーたちは50年後の未来図が見えているのだろうか。「知ったこっちゃない」との声が聞こえてきそうだ。