ZAITEN2021年11月号
早くも“利権の巣窟”の様相
竹中平蔵たちが巣食う「デジタル庁」
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デジタル監人事の背後に竹中平蔵らの深謀遠慮(写真は公式サイトより)
首相菅義偉の「置き土産」とも言えるデジタル庁が発足した。「国民生活の利便性向上」「行政の効率化」という表看板とは裏腹に、実態は年間7000億円超に上る国のIT関連予算を一元管理する〝巨大利権官庁〟の誕生。政治家や官僚、学者、業界は利権に何とかありつこうと血眼の体だ。
東京五輪・パラリンピック向けの新型コロナウイルス対策アプリの不透明な発注や、事務方トップのデジタル監人事の迷走など、発足前に相次いだトラブルも全てはその前哨戦と言える。発足後は経済産業省と総務省を中心に関係省庁が組織運営の主導権を巡る暗闘を展開し、政府IT調達の約7割を握ってきた大手ベンダーは出向社員を操って利権死守に虎視眈々だ。果ては、「菅にデジタル庁創設を進言した」と喧伝する"学者政商"の竹中平蔵まで利権漁りに参戦し、百鬼夜行さながらの様相となっている。
五輪アプリ開発巡り和泉首相補佐官と対立
「各省庁や(民間IT業界など)多くのステークホルダーの協力を得てデジタル庁を育て、世界のデジタルランキングで27位という低迷状況を何としても脱したい」 東京・赤坂の大型複合ビル「東京ガーデンテラス紀尾井町」20階の大会議室で9月1日、デジタル相の平井卓也は約600人のデジタル庁職員にこう発足の訓示を述べた。だが、行政のデジタル化を巡っては、すべての地方自治体の情報システムを25年度までに共通化・標準化し「全国統一のデジタル基盤をつくる」とする壮大な目標は掲げたものの、肝心の工程表はまったくできていない。また、霞が関の中央省庁のIT調達予算を一元的に管理する強大な権限を与えられた一方で、公正かつ効率的な調達手続きを担保するルールもいまだ定まっていない。
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