ZAITEN2021年11月号
実績不明の“炎上男”しかいないのか――
規制改革会議にチーママ「夏野剛」抜擢の愚
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夏野剛氏(写真は公式サイトより)
8月23日、政府は有識者で構成する規制改革推進会議を開き、小林喜光・東京電力ホールディングス会長に代わる新議長にKADOKAWA社長の夏野剛(56)を選んだ。しかしこの御仁、直前に東京五輪の無観客開催を巡る不適切発言で批判が殺到。当の夏野は直言居士を気取っているようだが、周辺は「計算高い太鼓持ち」(本人を知る関係者)と、そのポジショントークぶりを見抜いているというから、底が浅い。そんな男に曲がりなりにも〝公職〟の箔付けをしたことは、菅政権の最後っ屁の一発と言えよう。
変わり身の早い"チーママ"
「公平感? そんなクソなピアノの発表会なんかどうでもいいでしょ、オリンピックに比べれば。一緒にするアホな国民感情に今年選挙があるから乗らざるを得ない」 ネットテレビ局ABEMAが7月21日に放送したニュースショー番組で夏野はこう言い放った。ツイッターはじめSNSなどで大炎上。同23日に夏野は「アホとかクソという言葉を使ったのは番組の雰囲気に甘えて極めて不適切な発言だった」と謝罪し、10月までの3カ月間、役員報酬の月額20%を返上することも発表した。
ところが菅政権は、国民感情を「アホ」や「クソ」と貶める人物を1カ月後に首相の諮問機関である規制会議のトップに据えた。新体制でメンバーは従来の19人から10人へ半減。「夏野以外の有名人といえば、気仙沼ニッティングの御手洗瑞子くらい」と内閣府関係者は溜息をつく。首相の菅義偉は委員の人選を規制改革担当相の河野太郎に任せたものの、「嫌われ者で友達の少ない河野大臣だから人が集まらなかったことも影響した」(同)という。要は、なり手がいなかったわけだ。
それでも、《夏野氏、企業改革に手腕》と規制会議の新議長就任を囃したのが日本経済新聞(8月24日付)。記事は夏野がKADOKAWA子会社のドワンゴの社長(2019年2月就任)として「ニコニコ動画」の再建やスマホゲームなど不採算事業の整理で実績を上げたと持ち上げている。だが、証券アナリストによると、「KADOKAWAの角川歴彦会長が睨みを効かしたからこそ黒字化した」「夏野社長はドコモ時代から〝チーママ〟のまま」と夏野の貢献度を讃える向きは少ない。
......続きは「ZAITEN」11月号で。