2021年12月号
【タケ小山の「ゴルフ言いたい放題」】第33回
史上5人目の快挙! アマの活躍はいいが、 そもそもそれって......
カテゴリ:スポーツ・ゴルフ
食欲の秋―。松茸の芳醇な香りを楽しむ「土瓶蒸し」や、新米を使ったホクホクの「栗ごはん」はその代表で、この味を創り出すのが〝職人〟である料理人。だが、デフレとコロナ禍により打撃を被る飲食業では、コスト削減のために職人を排除し、アマチュアであるアルバイトが厨房に立つ。調理済みの冷凍食品にシャリを握るロボット。決して美味くはないが、いけなくなくもない。 「食レポですかっ」(担当編集)
ゴメン、ゴメン。言いたいことは〝職人〟、ゴルフ界のプロとアマチュアについてなのだ。 男女プロツアー〝秋の陣〟は、賞金額がハネ上がり、「賞金王(賞金女王)」、来期への「シード権争い」などで盛り上がる。だが、そんな矢先の「パナソニックオープン」でアマの中島啓太(日体大3年)が優勝、翌日の新聞には、〈快挙! 史上5人目〉の活字が躍った。男子では、1980年の「中四国オープン」で現PGA会長の倉本昌弘がアマ優勝。27年後の07年に当時高校生だった石川遼が「マンシングウェアオープンKSBカップ」で史上2人目、11年、松山英樹が「三井住友VISA太平洋マスターズ」、19年に同大会で金谷拓実が優勝した。そして今年、5人目の誕生だが、これはアマが強くなったのか、プロが弱くなったのか。 倉本がアマ優勝した80年の男子ツアーのスケジュールを見ると、「中四国オープン」と同じ週に北海道、九州、関東など各地で地区オープンが開かれ、しかもそれが「日本オープン」の予選であり、アマも出場できるオープン競技だった。しかし、80年代から90年代にかけて、AON(青木功、尾崎将司、中嶋常幸)らベテラン勢と、倉本、羽川豊、湯原信光などの学生ゴルファー出身プロによる新旧入り乱れた〝戦国時代〟を迎え、日本のツアーは世界第2位の規模を誇るツアーに成長、同時にアマの出る幕はほぼなく、真のプロツアー時代と言えた。
海外はどうか。現在の米PGAツアー創立前の1945年の「ノース&サウスオープン」でのケリー・ミドルコフから56年の「カナダオープン」のダグ・サンダースまで5人のアマチュアが優勝している。68年に現在のツアーが創設され、85年の「ウエスタンオープン」で29年振りにオクラホマ州立大4年のスコット・バープランクが優勝、91年にはアリゾナ州立大2年のフィル・ミケルソンが「ノーザン・テレコム・オープン」で優勝した。米ツアーでさえ、68年以降、優勝したアマは2人しかいない。しかも、両試合ともオープン競技だ。 本誌8月号で〝賞金稼ぎ№1〟を決める「日本ゴルフツアー選手権」でのアマチュア枠について取り上げたが、今回の中島の試合も、松山、金谷が勝った試合も、さらに石川の試合もオープン競技ではなく、アマは主催者推薦で出場。プロとアマの壁を取り除きすぎだし、そもそも学業優先の学生を推薦するのも理解に苦しむ。それ以上にアマに負けるプロって......。
......続きはZAITEN12月号で。