2021年11月号
月刊ゴルフ場批評49
「ノーザンカントリークラブ錦ヶ原コース」批評
カテゴリ:月刊ゴルフ場批評
コロナ禍によるゴルファー増加で、かなりバブル状態のゴルフ場業界。それにもかかわらず埼玉県南部、荒川流域に点在する河川敷コースが、縮小、消滅の危機にあるというのだからビックリだ。
治水事業がその理由で、人口が密集する荒川下流域の防災のため、河川敷コースの土地を国に返還してもらって調整池を作り、河川の氾濫に備えるという。
これによって影響が出るのは、「ノーザンカントリークラブ錦ヶ原ゴルフ場(43H)」、「大宮カントリークラブ(27H)」、「大宮国際カントリークラブ(45H)」、「川越グリーンクロス(27H)」の4コース。どこも首都圏からアクセスがよく、屈指の集客力を誇る。
ゴルフ初心者の受け皿ともなってきた河川敷コースが、このブームの中で縮小を余儀なくされるとは何とも残念。なかでも最も早く返還を迫られ、2021年9月1日より縮小した新コースで営業を始めたのが、アコーディア系列のノーザンCC錦ヶ原G場だ。
もともとは「なの花コース(18H)」、「さくら草コース(18H)」、「れんげ草コース(7H)」というレイアウトだったが、荒川東岸に位置するさくら草9Hとなの花11Hを返還。残ったさくら草9Hに、練習場をつぶして2ホールを新設したれんげ草9Hを合わせて18ホールとし、なの花は7Hを2周する形になった。
メンバーシップながら誰でもプレーでき、〝草ゴルファー〟の聖地である同コースを、リニューアル直後の9月上旬に訪れた。
クラブハウスは土手の外側の田んぼのど真ん中にあり、コースへは専用バスで土手を越えていく。河川敷に広がる緑のフィールド。生活圏から唐突にゴルフ場が現れる不思議な感覚がたまらない。
確かに練習場があった辺りが、れんげ草の新設2ホールになっている。しかし、大きな池を挟むようにして造られた新設ホールは、見るからに窮屈そうだ。錦ヶ原は総じてフェアウエーがゆったりしているだけに、「無理やり造った感」は否めない。
この日は午後スタートで、なの花コース2周プランをチョイス。平日だというのにスタートホールにはカートがずらりと並んでいる。人気コースにもかかわらずホール数が減ったためか、どのコースも満杯だ。
コースは真っ平で樹木もまばらな典型的なリンクスタイプ。なの花コースはティフトンのフェアウエーに、バミューダと高麗の2グリーンという、比較的メンテナンスが容易な芝をチョイスしているせいもあって、コンディションは申し分ない。
しかし、この日はショットごとに待ち待ちで、7ホールに2時間半近くもかかる始末。平日でこれだから、週末はどれほど待たされることになるのか。
23年にはさらなるコース返還が決まっており、今以上の縮小の危機が迫っている。「詰め込みすぎ!」と怒り心頭で言いたいところだが、矛先は温暖化による異常気象か。とにかくゴルファーの楽しみが奪われるのは残念なので、今更ながらエコバッグを持つことにしたよ。
●所在地 埼玉県さいたま市西区塚本町2-22-1 ●TEL. 048-624-5651 ●開場 1963(昭和38)年9月27日 ●設計者 前原多助 ●ヤーデージ 25ホール、8946ヤード、パー103