ZAITEN2021年12月号
経産官僚演出の傀儡政権“第二幕”
嶋田隆「岸田"経産省"政権」の悪だくみ
カテゴリ:政治・国際
嶋田隆元経産次官
格差是正を掲げる「新しい資本主義」を看板にしながら、元首相の安倍晋三の怒りを恐れてアベノミクス見直しには踏み込まない首相岸田文雄。そんな政権基盤の脆弱さに付け込み、岸田を操って安倍政権以上の「経産省内閣2・0」を実現しようとする悪い輩がいる。岸田とは日本有数の進学校、開成高校の同窓で、政務担当の首相秘書官に起用された元経済産業事務次官の嶋田隆(1982年旧通商産業省)だ。
安倍政権時代には嶋田と同期入省の盟友、今井尚哉が同じ首相秘書官ポストの威を借りて官邸を牛耳り、経済財政から安全保障・外交、社会保障に至るまで経産省に都合のいい政策を展開したことは周知の通り。嶋田もこれに倣って「岸田〝経産省〟内閣」の実現を狙っているという。具体的には、今井や親元の経産省と謀って〝軽い神輿〟の岸田政権を凌辱し、安倍政権時代に手が付けられなかった原発復権や、時代錯誤の産業統制紛いの経済安保政策を推進する構え。9月に発足したばかりのデジタル庁を経産省の出先機関にすることまで画策しているというから、その貪欲さには恐れ入る。
菅義偉前政権では菅やその側近閣僚に近い財務官僚や環境官僚らに押されて、冷や飯を食った経産省内では「再び我々が主役」(中枢幹部)との思い上がった声さえ漏れている。「省栄えて国枯れる」時代が再び到来するのか。
首相に秘書官人事を指南
「菅さんは首相になっても、官房長官時代に仕えたキャリアの浅い各省官僚を重用し事務担当の首相秘書官に持ち上げました。その結果、霞が関や永田町へのグリップが効かなくなり、退陣の一因となったのです。総理はくれぐれもその轍を踏まないよう、秘書官にはベテラン官僚を起用すべきです」
自民党総裁選に勝利し事実上、首相の座を射止めた岸田から9月末に筆頭格の政務担当の首相秘書官就任を要請された嶋田は、開口一番、岸田をこう諭したという。官僚の分際で総理に人事を指南するとは尊大とも思えるが、岸田は自慢の「聞く力」を発揮したのか、嶋田の助言をすんなりと受け入れたようだ。無論、狡猾な嶋田のこと、頭の中には自らの手足としてこき使うのに都合のいい秘書官メンバーリストがすでに出来上がっていた。自身を除く7人の秘書官のほとんどは「事実上、嶋田が差配した」(官邸筋)という。
実際、その顔触れには嶋田の狙いが透けて見える。
......続きはZAITEN12月号で。