ZAITEN2021年12月号
企業に続いて個人顧客も…
みずほ「外貨建て保険」乱売で顧客離反
カテゴリ:企業・経済
「2度と起こしませんと言っているのに、毎月かのように起きている。顧客にとっては極めて迷惑な話だ」―。今年に入って合計8回ものシステム障害を引き起こし、前財務相の麻生太郎からそう切って捨てられたみずほ銀行。中でも、9月30日に引き起こした外国為替取引での障害は、何ともバツが悪かった。
浮き彫りになる顧客軽視
不具合が出たのは、外為取引をサポートする「統合決済管理システム」の電文処理。2019年に全面稼働させたみずほの新勘定系システム「MINORI(ミノリ)」とは別系統のもので、企業などの送金処理に影響が出たのは387件と、障害の規模としては比較的小さかった。
しかしながら、9月30日は年度ベースでの上半期末にあたり、企業の送金や決済の集中日。半期末のタイミングを控えて、関係者が「何もなければ良いが......」と気を揉んでいた最中で、またもや障害を起こしてしまった。
さらに言えば、その1週間余り前には度重なる障害発生を踏まえて、金融庁から業務改善命令を受けたばかりというタイミングでもあったわけだ。 「この期に及んでまだ危機感が足りていないとは......。本当に情けない」。金融庁の幹部は首を振りながら、みずほについてそう吐き捨てる。それは行政処分直後に障害を起こしたから、というだけではない。みずほ銀の役員が「単純に8回目(の障害)と言われてもねえ。今回の障害は、本来なら公表するような規模のものではないですから」などと周囲に嘯いていることが、金融庁幹部の耳にも入っていたのである。
みずほは今年2月以降、全国にあるATMの7割強が一時使えなくなるという大規模な障害を起こしてからというもの、取引先企業などにそうした言い訳を繰り返してきた。
いったん大規模な障害を起こしてしまうと、軽微なものでも当面は公表しないと「隠そうとしていたのでは」などといたずらに疑われてしまう。そのため、みずほとしては仕方なく公表している部分があると言いたいわけだ。 「従来基準で言えば、対外公表が必要だったシステム障害は実質2回だな」(みずほ幹部)などと吹聴する輩もいる有り様で、みずほという組織に「顧客軽視」の風土がいかに染み付いているのかがよく分かるだろう。
そうして顧客からの信用を失っていったことの影響は、決して小さくない。
......続きはZAITEN12月号で。