ZAITEN2021年12月号
なぜ岸田文雄は右派に配慮するのか? 岸田政権が「ネトウヨに忖度」する台所事情
古谷経衡が斬る「『ネトウヨ』に忖度する岸田政権」
カテゴリ:政治・国際
高市早苗氏(写真は公式サイトより)
岸田文雄政権の船出を見ていると、異様なほど右派に配慮していることが伺える。総裁選挙で辛うじて存在していた宏池会色は後退し、衆院選挙の公約では高市早苗ばりの〝敵基地攻撃能力保有〟を盛り込み、衆院選では高市が各候補の応援演説に入り八面六臂の活躍となった。間髪を入れず岸田は靖国神社に真榊を奉納。これは菅義偉内閣でも同様のことを行ったものの(菅は10月17日に靖国参拝して、右派から喝采を浴びた)、明らかに右派配慮である。池田勇人から続く、ひいては吉田学校直系の宏池会の伝統や誇りというものを岸田は捨て去ったのか。そもそも最初からそんな品格などなかったのか。
では、当の「右」は岸田をどう評価しているかというと、まずまずといったところ。しかしそのほぼ全てが高市政調会長を通じた評価であり、岸田単体への評価はまだ微弱だ。岸田政権にあっては、ネット右翼(ネトウヨ)から熱狂的な支持を受けた高市をどう処遇するかで意見が割れた。高市を官房長官ないし党幹事長、と安倍晋三が要求したらしいが、岸田はこれを拒否。第2次安倍政権下で高市が一度就いた政調会長に起用した。
この処遇に対してネトウヨは、「政調会長は閑職」という意味不明な言説を展開して呪詛したが、現実的に政調会長は党の要職であり閑職などではない。ネトウヨとしてはやはり高市を重要閣僚(官房長官など)として遇するのが当然だと思っていたのだろうが、岸田新政権が発足してみると、まず政調会長としての高市の露出に納得しているようである。とにかく、岸田政権へのネトウヨの評価は、必ず「高市を経由したもの」になっており、来夏の参院選挙までに改造があり、高市が本当に〝閑職〟に遇されるとネトウヨからの岸田への評価はゼロになることは間違いなかろう。
......続きは「ZAITEN」2021年12月号で。