ZAITEN2022年1月号
結末は“お家騒動”に――
山口FGに喰い込んだ「日銀OB」の来歴
カテゴリ:企業・経済
山口フィナンシャルグループ(FG)は12月24日に臨時株主総会を開き、前会長兼グループCEO(最高経営責任者)の吉村猛の取締役解任を諮る。解任劇の発端は、消費者金融を専門とする新銀行設立に向けた吉村の独断専横とされる。だが、この新銀行構想の陰には、ある日銀OBの存在がある。今回、本誌編集部は山口FGの取締役会で配布された内部資料を独自入手。資料からは、さながら地銀を"食い物"にしようとした日銀OBの姿が浮かび上がる。
兄から運転手まで丸抱え
〈新銀行プロジェクトで入社する6名の報酬について〉
5月28日、山口県下関市にある山口FGの本店で開かれた取締役会で、吉村はそう題した内部資料を配布した。吉村は「全国区」の消費者金融専門の新銀行を設立する方針と併せ、新銀行のCEOとそのスタッフ計6人を6月1日付で外部から迎え入れると説明した。本誌編集部が入手した資料はその6人の報酬に関するものだ。
驚くべきは、その額である。資料には、CEOの報酬として「固定で年1億円、初年度のみ、入社に伴い現在の会社で喪失する繰延報酬分2100万円を入社一時金として上乗せ」と記された。山口FGが21年6月に提出した有価証券報告書によると、同グループには報酬総額が1億円を超える役員は存在しない。山口FGにとっては法外とも言える報酬である。
新銀行のCEOに就き、この報酬を受け取る予定だったのが、日銀OBで外資系コンサルティング会社、オリバーワイマングループの前日本代表パートナーの富樫直記だ。資料には参考として富樫の過去3年間の報酬も記載されている。それによると、過去3年間の平均で1億680万円を受け取っていたという。
......続きはZAITEN1月号で。