ZAITEN2022年1月号
憎悪を煽るデマゴーグの寄り集まり
適菜収が警鐘「維新栄えて国滅ぶ」
カテゴリ:政治・国際
吉村洋文(公式サイトから)
2021年10月に行われた衆議院議員選挙で、自民党の補完勢力でもある日本維新の会(維新)が改選前からおよそ4倍の41議席を獲得。これは社会、国家に致命的な損害を与えることになるだろう。維新を支持するのは人間の尊厳に対する冒瀆であり、もっと言えば「人類に対する罪」である。なぜ、そこまで断言することが出来るのか。以下、維新を支持している人間にも、理解していただけるように説明する。
維新拡大の要因はいくつかあるが、ひとつは関連メディアに洗脳され、実態に目を向けない人が多いことが挙げられる。これは各種データで確認できる。 例えば20年、維新が仕掛けた「都構想」という名の大阪市解体の住民投票(2度目)の直前に共同通信社が世論調査を行ったところ、賛成は43・3%、反対が43・6%と拮抗した。注目すべきは、大阪府と市の説明に関し70%が「十分ではない」と回答していたことだ。つまり、何が発生しているのかよく分からないまま賛成したり反対したりする人たちが相当数いたということだ。
これは維新が確信犯的に大阪の人間を騙してきた結果である。後述するように、維新は真実を隠蔽し、嘘とデマ、プロパンガンダにより拡大してきた。私はナチスと絡めて政治家を批判するのは好きではない。レッテルを貼ればそこで思考が停止してしまう。その上で言うが、維新は過去の悪霊が復活したものであり、政治からもっとも遠ざけなければならない存在である。ナチスの宣伝相ゲッベルスは、「嘘も100回言えば真実になる」と言ったが、連中は最初から言葉の価値など信用していない。彼らの行動原理は勝つか負けるかであり、そこにモラルは介在しない。
共同体から切断され都市部で発生した「大衆」は、不安に支配され、新しい生き方を提示してくれる疑似共同体に接近していく。いかがわしい勢力は、こうした人々の負の感情に火をつけ拡大する。選挙後の維新と国民民主党の接近といった流れも、あるいは反共を利用する手法の危うさも過去の歴史が証明している。 その時々において敵を設定し、大衆のルサンチマンを煽り、「改革」を唱えながら、社会を分断する。こうした運動を支えるのが社会科学の知見である。人間の心の闇、脆弱な部分を狙い撃ちにしたテクノロジーが発達すれば、ニヒリストは算盤をはじきながらそれを利用する。反社会的な人間が維新の会に集まるのも、構造的な問題だ。
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