ZAITEN2022年03月号
好待遇で働きやすいが男社会、早期退職募集には「恨み節と若手の期待」
【職場ウォッチング第52回】アステラス製薬
カテゴリ:企業・経済
アステラス製薬は、武田薬品工業、大塚ホールディングスに次ぐ国内製薬メーカー3位。2021年度売上高は1兆3230億円。
05年に山之内製薬と藤沢薬品工業が合併し発足した。法人格上は山之内製薬を存続会社とする吸収合併の形態をとっているが、あくまで対等合併という建前をとり、社名も古いブランドを捨てて新しいブランドを名乗っている。
社名の由来は「星」を表すラテン語「stella」、ギリシャ語「aster」、英語「stellar」などからの造語で、「先進の星」「大志の星」を表現し、また「明日を照らす」という意味を掛けている。星をイメージしたデザインの社章は、山之内の「山」とフジサワの「フ」を合わせた意匠である。
国内最大規模の営業体制と、両社の強みを融合した研究陣を擁し、旧山之内製薬から引き継いだ泌尿器領域の医薬(ハルナール・ベシケア)、旧藤沢薬品から引き継いだ免疫抑制剤(プログラフ)などを主力商品とする。日経平均株価およびTOPIX Core30、JPX日経インデックス400の構成銘柄でもある。
国内大手ながら、世界的には20位前後とまだ小規模であることに加え、主力医薬品の特許期限が切れることで大幅な減収も危惧されることから、有望な新薬特許や技術を持つ海外の製薬企業を買収する動きを加速させている。
19年に次世代癌免疫療法の研究開発加速のために米国のザイフォス、20年に遺伝子治療分野で強みを持つ米バイオテクノロジー企業オーデンテス、ミトコンドリア関連疾患の創薬研究のために英ナンナ、極小の体内埋込型医療機器を用いた新たな治療手段の実現を目指して米イオタを買収した。
アステラスは「プレミアムフライデー」に先んじた取り組みとして、金曜日に16時退社できる「ファミリーフライデー制度」を09年から開始。18年には口コミサイト「キャリコネ」による「医薬品業界の働きやすい企業ランキング」では1位を記録しており、労働時間、やりがい、ホワイト度の満足度が高いとされている。昨年発表された「OpenWork」による「働きがいのある企業ランキング」では製薬業界トップの21位につけるなど、労働環境面で評価が高い。そんなアステラスの実情とはどのようなものか。
新田龍の働き方改革総合研究所
にった・りょう―ブラック企業問題の専門家。大学卒業後、複数の企業で事業企画、営業管理職、人事採用担当を歴任。仕事柄、数多くの企業と関わりを持つなかで事業運営手法にまつわる知見を深める。
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