ZAITEN2022年3月号
大学所有の不可解な土地の隣は“理事長妻”の実家だった……
帝京大学グループ「巨額資産」と謎の土地
カテゴリ:事件・社会
冲永佳史理事長(写真は公式HPより)
国内の大学で総資産全国一を誇る日本大学では、前理事長の田中英寿が脱税容疑で逮捕され失脚した。一方で、グループ全体では日大をしのぐ資産を保有するのが帝京大学である。過去には〝創業家〟である冲永一族の不祥事が問題になったが、巨額の資産を抱える学校法人や公益財団法人のトップは現在も一族が中心だ。今回検証してみると、学校法人が不審な土地を所有していることが分かった。謎が多い「帝京グループ」の現状を検証していきたい。
理事長夫妻のグループ支配
「帝京グループが保有する総資産は、学校法人としては考えられない規模です。帝京大学が約6000億円、帝京平成大学が約2000億円。その他の学校法人も多額の資産を有しているほか、創業者の冲永家の一族がトップを務める公益財団法人が多数あります。多額の有価証券を所有している学校法人も多く、これらの資産は帝京大学本部で一括管理されていると見られています。学校法人には国からの補助金が入り、公益財団法人も含め、税制優遇を受けています。この仕組みの中で財産運用によって巨額の利益を得ていることが適切なのか、疑問です」 こう解説するのは、帝京グループをよく知る関係者である。
帝京大のホームページで確認すると、3つの大学をはじめ、複数の短期大学、専門学校、高等学校、中学校・小学校、幼稚園・保育園に加えて、医学部附属病院などの病院・クリニック、特別養護老人ホームを運営。さらには海外キャンパスまで持つ巨大な組織であることが分かる。しかし、帝京グループを形成しているのはそれだけではない。さらに5つの学校法人と、多数の公益財団法人などがある。傘下の学校法人と公益財団法人の一部については、代表者と資産額を表にまとめた。 帝京大と帝京平成大の理事長であり、多くの公益財団法人のトップに名を連ねているのが、グループ総帥の冲永佳史。
帝京大創設者の冲永荘一(故人)の次男として1973年に生まれる。慶応義塾中等部・高等学校、慶応大理工学部を卒業。荘一の退任に伴って、2002年に20代の若さで帝京大理事長と学長に就任しグループを率いている。
冲永学園理事長の冲永寛子は、佳史の妻。74年生まれで、神戸女学院中等部・高等学部から東京大医学部に進学。医学博士の学位を持つ。07年から帝京平成大学長に就任している。
佳史と寛子の2人で、グループの法人の役職を多く兼職しているわけだが、1つの法人に夫妻で要職に就くケースも多い。寛子は帝京大では常務理事と副学長、帝京平成大では学長と副理事長を兼ねている。寛子が理事長を務める冲永学園は帝京短期大や帝京八王子高等学校、帝京めぐみ幼稚園などを運営しており、ここでは佳史が常務理事に就く。同じように、公益財団法人でも、夫妻で役員に名を連ねている。冲永荘八は荘一の長男で佳史の兄だが、帝京グループは次男の佳史夫妻を中心としたガバナンス体制を確立していると言える。
多くの法人の役員を務めるということは、各法人から報酬を受け取ることになる。帝京大の「役員の報酬等の支給に関する規程」によると、役員報酬の最高額は年額2000万円。最高額であれば、夫妻で4000万円だ。寛子は医学部教授などの報酬も得ているかもしれない。帝京平成大の役員報酬等規程と冲永学園役員報酬等規程も同様で、役員報酬の最高額は2000万円。この3法人だけでも1人最高6000万円、2人で1億2000万円となる。
......続きはZAITEN2022年3月号で。