2022年3月号
月刊ゴルフ場批評53
「大多喜カントリークラブ」批評
カテゴリ:月刊ゴルフ場批評
気がつけば令和の世も4年。今年こそは「普通」の年になるようにと願っていたが、年始から寒波に襲われ、関東の平地では3年ぶりとなる大規模な積雪が発生。暖かい土地に出掛けたいところだが、コロナ第6波でそれもままならない。
そんなわけでピックアップしたのが、比較的温暖な千葉エリアの「大多喜カントリークラブ」。千葉県夷隅郡大多喜町は房総半島のほぼ中央部にあり、関東でも南寄りだから冬でもグリーンやティーイングエリアの凍結は少ない。
コロナ以降、この房総エリアの人気は凄まじい。ここ10年ほどはアコーディア系を中心とした大衆コースは価格競争に晒されてきたが、首都圏のゴルファー増加によって多くのコースが価格面で強気にシフトした。それでも予約が取れないゴルフ場が続出している。
大多喜CCもそのひとつだが、歴史を紐解くと法人系高級コースとして名高いレイクウッドグループ傘下の「レイクウッド大多喜カントリークラブ」として運営されてきた。しかし、2018年にPGMグループが買収したことで、大衆コースの仲間入りとなるのか、注目されてきた。
27ホールの割に手狭な印象のクラブハウスだったが、PGMになってフロント周りのショップが充実し、モノが溢れていて窮屈感が増大してしまった。
その一方、ハウス前はやたらと広々していて、手入れの行き届いた松の低木に囲まれた庭園風のスペースに、広大な練習グリーンやアプローチエリアが広がり、高級コースの面影がかろうじて残されている。
スタッフもベテランが多く、常連客と軽口を交わす姿がちらほら。ひと言でいうなら、古き良き会員制クラブのアットホームな雰囲気がある。ゴルファーもシニア層の割合が多く、キラキラ系のギャルやオラオラ系のあんちゃんは皆無だ。地味だけどホッとするのはそのせいか。
平日にもかかわらず、ハウス前には3列に分けられた乗用カートの列が入り乱れ、やはり房総エリアの盛況ぶりを感じる。自分のカートを探すのも一苦労だ。
コースは3コースで少しずつ趣が異なるが、フェアウエーは広めでフラット。ブラインドも少なくて回りやすい。池もプレーに関係するものは少なく、刺激がなく単調といえる。基本的にはスコアをまとめやすい接待系だ。
コースメンテナンスはPGMになってから良くなったという声が多い。しかし、連日の賑わいのせいか、さほど大きくなく凍結もしないグリーンは、ボールマークだらけでディボットも無数。
予想通りプレーの進行はノロノロで、毎ホール、毎ショット待ちがあってハーフ2時間45分ペースだった。いかに温暖な土地でも、これだけ待ち時間があるとカラダは冷えるばかり。
渋滞の一因はシニア客のプレーペースにあるようだ。特に、グリーン上でやたらと時間がかかる。完全にニギリゴルフの悪弊だ。アットホームな雰囲気はいいが、仲間内での度が過ぎたダラダラプレーは勘弁してほしい。
●所在地 千葉県夷隅郡大多喜町下大多喜2419 ●TEL. 0470-82-3011 ●開場 1976(昭和51)年11月20日 ●設計者 間野貞吉 ●ヤーデージ 27ホール、1万79ヤード(バックティ使用時)、パー108
......続きはZAITEN2022年03月号で。