ZAITEN2022年3月号
マザーズ上場企業のダメダメ広報
あきれた広報実話 GMOフィナンシャルゲート
カテゴリ:クレーム・広報
投資家向け広報(IR)担当者は、株主や投資家に向け、企業の経営状態や財務状況、業績実績や来期予測などを分かりやすく情報開示するための特別職である。
IR取材時には、質問状を精査し、有価証券報告書を読み込むなどきちんと準備をした上で、敬意を持って取材依頼を行っている。
今回は、本号特集の最低投資金額が高い企業に、考え方をリサーチするために取材を慣行した。質問は上場企業であるなら正式回答するべきものばかりであったのだが―。
その中でもっとも酷い対応をしたのが、GMOフィナンシャルゲートのIR担当・榎本氏だ。
GMOフィナンシャルゲートは、GMOインターネットグループのクレジットカード、デビットカード、電子マネー等のキャッシュレス決済のインフラ提供企業で、2020年7月にマザーズに上場したばかりだったので、どんな企業なのか楽しみにしていたが、正直裏切られた気分だ。
編集部 割高単位株の上場企業各社に回答していただく企画です。
榎本IR もし回答しない場合はどうなるんですか?
編集部 上場企業なら回答できる質問ばかりです。
榎本IR 開示している内容以上に取材にお答えすることはできません。
編集部 無回答でも正式なら構いませんが、質問状を読まないで無回答とされるのですか?
榎本IR 社として必要なディスクローズはしているという認識です。業務過多なので、ちょっと受けられません。忙しいんで。
編集部 最低限、質問状をお受け取りいただくのが望ましいです。通常この手の取材をお受けにならない場合は、親会社に問い合わせたりすることになります。
榎本IR 別にいいですよ。親会社は「子会社のことなんて知りません、以上」ってなると思いますが。(質問状を送ってもらっても)忙しいので無視しちゃうかもしれませんが、それはそれでよろしいですか?
―結局、回答は来なかった。
IR担当者がメディアに対してこんなやる気のない対応をする上場企業はありえない。ただでさえ、割高単位株は投資家を軽視していると言われかねない時代に、一体このIRは何を考えているんだ。こんな話をIRからされたら親会社との関係も心配になってしまうではないか。
編集部が最後まで食らいついて質問状を受け取るよう榎本氏を説得したのは、マザーズ上場企業のIR担当者として恥ずかしくない広報対応をしてもらいたかったからに他ならない。
しかし、その思いは榎本氏にはまったく伝わらなかった。GMOフィナンシャルゲートは、質問状は受け取ったが、平気で回答をすっ飛ばした〝ダメ企業〟になってしまった。こんなことで、株式市場で生き残っていくことができるのか。
IR対応がこんな有り様では、GMOフィナンシャルゲートの将来性は期待薄。投資家もメディアも、こうした企業にはより厳しい目を向けていただきたい。
......続きはZAITEN2022年3月号で。