ZAITEN2022年04月号
【永田町ヒショヒショ話】
【永田町ヒショヒショ話】2022年04月号
カテゴリ:政治・国際
2月10日の首相の動静
2月10日の「首相動静」は非常に興味深かった。この日、岸田文雄首相は午前10時28分に(衆院第2)議員会館内の菅義偉前首相事務所を訪問、2人だけで約30分間にわたり会談しました。両氏の面会は、昨年の11月11日以来で、その後、岸田首相は「新型コロナ対策や外交、このあたりの話をしてきた」と記者団に述べました。しかし、コロナ対策はともかく、菅さんと外交問題の話は、無いでしょう(笑)。
ドメスティック政治家(国内派)の最たる菅さんが、外交に詳しいなど永田町で誰も聞いたことありません。 岸田さんは首相としてのメンツもあり、本当の面会理由と目的を隠したいのでしょう。翌日の新聞各紙を見ても、このタイミングでの会談を深掘りした報道は見当たりませんでした。 当日の岸田首相のその後の動静を追います。菅さんとの面会の後、13時17分に自民党本部で麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長と面会(約40分間会談)。その後、14時47分に遠藤利明選対委員長とも面会。「菅→麻生・茂木→遠藤」の3者との面会ラインが示すのは、ズバリ、今や岸田内閣のアキレス腱となりつつある〝公明党問題とその打開策〟の擦り合わせでしょう。 現在、参院選を控え、自公間の選挙協力体制は過去最悪状態に陥っています。
1月下旬の『聖教新聞』では〈選挙は人物本位を支援基準とする〉との異例の報道もありました。このままでは、参院1人区で自民党候補は公明党推薦が得られず軒並み苦戦は必至です。参院選に敗れると岸田首相の求心力は失墜、首相退陣につながります。 今回、その窮地を打開するために、岸田首相は、茂木‐遠藤ラインでの自公調整は最早タイムリミットと諦め、「最後の切り札である〝菅さんの公明党のパイプ〟を頼るしかない!」との結論に至ったのでしょう。岸田さんが政敵の菅さんに頭を下げお願いした......というのが、おそらく〝2月10日の真相〟です。 最近、菅前首相のマスコミへの露出が増え、活動が活発化しています。公明党と維新との太いパイプを握る菅さんが、参院選を前に政敵である岸田首相に揺さぶりをかけるのか。はたまた、政界再編のキーパーソンとして岸田内閣を支えるのか。菅さんの動きから目が離せません。
キーとなる創価学会副会長
菅さんの創価学会のカウンターパートである〝剛腕〟佐藤浩副会長は、遠山問題の責任を取り、一時失脚したとの情報が流れましたが、昨秋の衆院選では広島3区でもその姿は目撃されており、原田稔創価学会会長の威光をバックに、政治担当責任者として組織内で復活を遂げたようです。最近の公明党、創価学会の岸田内閣に対する強硬姿勢は、その佐藤副会長主導の深謀遠慮とも推測され、自民党反主流派である菅さんとの連係プレーの一環と見る向きもあります。 なお、意外ですが、佐藤副会長が岸田内閣で最も親しい政治家が林芳正外相。自民党が野党時代からの付き合いで、趣味の音楽で意気投合したのだとか。佐藤副会長は、個人的には林氏を総理にするのが悲願だとか......。