ZAITEN2022年05月号
マレリ、昭和電工、ソフトバンクグループ…
木原みずほを襲う「3つの不良債権爆弾」
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みずほ木原正裕FG社長
「まさに泣きっ面にハチ」
みずほ銀行のメインバンク先である自動車部品大手、マレリホールディングス(旧カルソニックカンセイ)が自力再建を断念し、私的整理の一種である事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)の利用を申請した3月1日、みずほフィナンシャルグループ(FG)内では1カ月前に社長に就いたばかりの木原正裕への同情と哀れみがない混じった声が広がった。 マレリの負債総額は1兆円超に上り、みずほ銀は実にその3分の1を貸し込む。「最低5割、悪くすれば9割の債権カットが必要」(金融界筋)とされるこのADRで、みずほ銀が巨額損失を被るのは必至。深刻なのは、マレリ以外にもそれぞれ8000億円前後もの融資残高のある昭和電工とソフトバンクグループ(SBG)という2つの大型爆弾まで控えていることだろう。システム障害を巡って、弟の誠二が首相最側近の官房副長官という「政治カード」を悪用し、金融当局や世論の風圧をまんまとかわした木原みずほ。だが、残る2つの爆弾にも火が付けば、みずほの屋台骨も揺らぐ。
無為無策のマレリ破綻危機
マレリのADRはKKRが主導する。2017年、日産自動車が手放した旧カルソニックカンセイ株などを総額5000億円で取得して傘下に収めた米大手投資ファンドだ。メインのみずほ銀は融資銀行団との債務再編交渉の取りまとめ役を任されている。 「ウチの分はすでに21年10~12月期決算で処置している」 4月にみずほ銀行頭取に昇格した副頭取の加藤勝彦周辺筋はこう明かし、冷静さを装う。マレリ向け融資残高(約3600億円)の7割に当たる2600億円を貸倒引当金として計上済みであることを強調したものだ。3月7日に開かれた第1回債権者集会で、融資全26行がADRを進める方向で一致したことから、みずほ銀幹部は安堵感を高めているようだ。
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