ZAITEN2022年05月号
建設現場で横行する〝滅茶苦茶な契約〟の実態
日立プラントの「詐欺的契約」に下請け"悲憤"の告発
カテゴリ:事件・社会
「日立プラントサービスに1億4800万円で工事の見積書を出していましたが、9000万円で注文書が来ました。この金額ではできませんと拒否したのですが、調達部長から不足分は客からもらって後から支払うからと言われ、『表紙だけでいいから』と注文請書に9000万円の金額を入れさせられて契約しました。調達部長にそこまで言われれば、信じるじゃないですか。けれども、不足分の埋め合わせは今に至るまでされていません。完全に赤字の工事で、他の業者への支払いも滞っている状態です」
頭を抱えているのは、関東にある配管設備会社の経営者A氏。この会社は2018年、広島県東広島市で半導体を製造するマイクロンメモリジャパン工場の空調配管工事を、元請けの日立プラントサービスから1次下請けとして受注した。建物の1~4階に配管を設置する工事だった。ところが、経営者が明かしたように、日立プラントの調達本部西部調達部の部長から、見積書の1億4800万円よりも大幅に低い、9000万円で発注された。しかも、1億4800万円という金額自体も、元々の見積書から大幅に値引きした金額だったという。
「最初に2億円を超える金額で出したところ、高すぎると言われ、約1億9000万円の見積書を出しました。それでも、もっと下げてくれと言われたのです。長年日立プラントから受注してきましたので、ギリギリまで落としました。1億4800万円以下でできる仕事ではありません」(A氏) にもかかわらず、西部調達部長はマイクロンメモリジャパンから不足分をもらって支払うからと説明し、「表紙だけでいいから」と9000万円で請書を作らせ発注した。1億4800万円から9000万円を差し引いた不足分は、まもなく4年が経とうとしている現在も支払われていない。
「ネタ」をもらってくれ
A氏は、何度も西部調達部長に支払いを求めてきたが、応じてもらえなかったと言う。 「何度催促しても、もう少し待ってくれと言われ続けてきました。さらには、日立プラントの現場の所長に『ネタ』をもらってくれと言われました」 「ネタ」とは、架空の工事件名のことを指す。そのようなことができるはずはなく、現場の所長が「ネタ」を出すことはなかった。
......続きはZAITEN5月号で。