ZAITEN2022年06月号
日本の大学研究を阻害する予算削減の愚
【特集】米コロンビア大「知日派留学ビジネス」の黄昏
カテゴリ:企業・経済
ジャパン・アズ・ナンバーワン」はいまやすっかり昔話だが、その〝残像〟を一手に引き受け、日本の政財界との太いパイプを築いている研究機関が米コロンビア大学にある。コロンビア・ビジネススクール附属の「日本経済経営研究所」(CJEB)だ。
日本経済の研究者として知られる同大名誉教授のヒュー・パトリック氏が1986年に立ち上げた組織で、知日派のジェラルド・カーティス名誉教授も参加。これまでに多くの官僚、一流企業社員、大学の研究者、メディア関係者が組織派遣の「Visiting Scholar」、即ち「客員研究員」として在籍し、そこから得られる人脈と資金から運営費を捻出、一方で同窓会組織など一定のコミュニティを維持してきた。
CJEBのホームページ(日本語版)には〈日本経済・経営システムについての理解促進と啓蒙を目指した様々な活動を続けています〉〈北米の大学機関では、これらの分野に特化した研究を続ける唯一の研究所として、教授陣による研究活動に加え、年次カンファレンスをはじめとする日本経済・経営・金融等に関する講演会やシンポジウムをニューヨーク及び東京にて毎年開催〉とある。新型コロナウイルス禍前に開催されていたカンファレンスは多くの日本企業がスポンサーについており、過去には安倍晋三元首相や麻生太郎元財務相も登壇した。
2020年以降は世界各国の視聴者を対象としたウェブセミナーも主催。プログラムは現所長のデービッド・ワインシュタイン教授と伊藤隆俊教授が計画、金融庁長官退官後にコロンビア大で教鞭をとった森信親氏も協力している。22年以降も東京証券取引所の山路裕己COO(最高執行責任者)や、東京海上ホールディングスの小宮暁CEO(最高経営責任者)による講演などを行っている。
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