2022年06月号
ブリヂストン「事業譲渡」手口の無法
ブリヂストン「8000人事業売却」手口の無法
カテゴリ:企業・経済
ブリヂストン石橋秀一グローバルCEO
「記事は事実です。上司や他部門の人たちから聞いている情報と全く同じ。本当に丁寧に取材されているなと感心しました」
タイヤ国内最大手、ブリヂストンの中堅社員はこう語る。
本誌4月号で報じた「8000人転籍」問題。ブリヂストンは昨年12月10日、非タイヤ事業である防振ゴムと自動車用シート部材などの化成品ソリューションの2事業をそれぞれ中国企業と投資ファンドに売却すると発表した。売却に伴い、実に約8000人もの現役社員が転籍対象となる事実上の「大リストラ」。会社側が処遇等の詳細を明らかにしないまま、今夏の売却期限を前に対象社員は転籍するか、退職するかの選択を迫られる社内事情を特集した。
その後、会社側は説明会を1、2、4月の3回開催したが、新たな情報は出ていない。
「出席したのは主に労務、人事などの本部長レベル。12月の説明を繰り返すだけで、なぜ転籍なのかという根幹部分の説明は一切ありません。転籍後の処遇についての質問に対しては『新会社が決めること』『新会社に任せる』の一点張りです。彼らは会社に残る人間ですから、発言の節々に他人事という印象が強い」(中堅社員)
4月1日に行われたオンライン説明会の質疑では、グローバルCEO(最高経営責任者)である石橋秀一の経営責任を問う質問が相次ぐ異例の展開となった。常務役員の辻将仁が「経営者はその時々で最善の判断をしている。誰に責任があるとは言えない」などと発言すると、「結果で判断されるのが経営者だろ!」といった怒りの声が上がるなど、現場は異様な雰囲気に包まれたという。
......続きはZAITEN6月号で。