2022年06月号

インタビュー

プチ鹿島インタビュー「公文書が破棄されるなら『お笑い公文書』を残したい」

カテゴリ:インタビュー

プチ鹿島_サイト用.jpgプチ鹿島氏

ぷち・かしま―1970年、長野県出身。「時事芸人」として各メディアで活動中。新聞14紙を購読しての読み比べが趣味。コラム連載は月間17本、TBSラジオ『東京ポッド許可局』、『プチ鹿島のラジオ19XX』などに出演中。著書に『芸人式新聞の読み方』(幻冬舎)、『教養としてのプロレス』(双葉社)などがある。

『お笑い公文書2022』という新刊を上梓しました。新聞読み比べをテーマにした『文春オンライン』での連載が元になっており、あらためて読み直したら、第2次安倍晋三政権から岸田文雄政権の間、本当にいろんなことがあったなあと、自分でも驚きました。


 僕は趣味で毎日14紙の新聞を読んでいます。同じ事柄を報じる時も『日刊ゲンダイ』と『夕刊フジ』では真逆のことを書くし、全国紙も論調が異なるのが面白いです。例えば球場での野球観戦では、ホーム球団に声援を送る一塁側とビジター球団を応援する三塁側では、風景が全然違いますよね。僕はどちらからも見てみたい性格なので、メディアリテラシー云々ではなく、読み比べを始めたのはある種の野次馬精神です。


 しかし、第2次安倍政権の途中からはゴキゲンに新聞を読み比べるというよりも、報じられるニュース自体がギョッとするものばかりになっていきました。それこそ政府が公文書を破棄したり、記録を改竄したり、総理大臣が会見でまともに説明しない......底が抜けた感じです。なので、この間のことを記録する意味はあるのではないか。偉い人が公文書を残さないのなら、せめて「お笑い公文書」として残しておきたい。もちろん、改竄も黒塗りもナシ。今回の本のタイトルには、そんな思いが込められています。


岸田政権で固まる〝一強〟


 そうこうして連載する中で、安倍さんが2年前に突然辞任して、後任の菅義偉さんは昨年の総裁選で出馬を断念し、それまで優柔不断でフニャフニャしている人だと思っていた岸田さんが総理大臣に。新聞各紙も変わっていきました。


 例えば安倍政権の頃は、安倍さん自身も朝日に対して挑発的だったし、産経や読売といった支持者を煽っていたので、メディアは一塁側と三塁側にはっきりと分かれていました。


 しかし、岸田政権では一塁側からの野次が大きくなっています。確かに、宏池会の領袖である岸田さんは自民党内ではハト派。安倍さんを推す人たちからは「中国に甘い」とか「ひ弱だ」と攻撃されています。かといって、三塁側・レフトスタンドはいつもどおり政権に批判的ですから、要はどっちからも叩かれる。


 けれども、それが岸田さんにとってピンチかと言えば、興味深いことにそうはなってない。むしろ、立憲民主党などの野党が埋没し、結果的に自民党が観客の目線を独り占めしています。

......続きはZAITEN6月号で。

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