2022年06月号
維新牛耳る大阪市の〝杜撰発注〟にもつけ込んで……
トッパン「役所の無知」に群がる官公庁ビジネス
カテゴリ:事件・社会
大日本印刷(DNP)と並ぶ2大印刷ガリバーの一角、トッパン印刷(トッパン)。疑似創業家の北島家による支配が続く体育会系のDNPに対し、業界ではスマートな印象で知られるトッパンは、大株主に講談社が名を連ね、『週刊文春』の印刷も行っている。最近では、なぜか俳優を起用したテレビCMを流し、一般への認知度向上にも努めているようだ。
ところが、そんなトッパングループの別の一面が表れたのが、先日発覚した日本年金機構の発注業務を巡る談合だろう。公正取引委員会は今年3月、「ねんきん定期便」の印刷や発注などの入札で印刷会社26社が談合を100件以上繰り返したとして、独占禁止法に基づき再発防止を求める排除措置命令を出した。このうちトッパンの子会社トッパン・フォームズをはじめとする24社には計17億円超の課徴金の納付を命じた。
この談合で際立つのは、年金機構の杜撰な発注方法や事なかれ主義と、そこにつけ込む業者側の狡猾さだ。公取委の発表によると、年金機構は2016年1月、匿名の談合情報を得たことから入札を中止。参加業者の聞き取り調査を実施したものの、「談合の事実は確認できなかった」として同年5月に入札を再開した。
ところが、年金機構はこうした事実を公取委に通報していなかった。おざなりな聞き取り調査で終わらず、通報によって公取委が早い段階で把握できていれば談合を防げた可能性がある。というのも、年金機構は参加希望業者を対象とした事前説明会を開いていたからだ。入札前に参加業者が他の参加業者を把握できる仕組みとなっており、公取委は年金機構に是正を要請した。
......続きはZAITEN6月号で。