ZAITEN2022年07月号
初代デジタル監は去ってベンダー、巨大外資に弄ばれる
デジタル庁「組織崩壊」の陰で利権漁り
カテゴリ:企業・経済
日本が再び「デジタル敗戦」に見舞われようとしている。昨秋、「行政デジタル化の司令塔」を謳い文句に、鳴り物入りで発足したデジタル庁が組織崩壊の瀬戸際に立たされているからだ。4月下旬には、IT門外漢ゆえか、自らの組織運営能力のなさを思い知ったためか、初代デジタル監の石倉洋子(一橋大学名誉教授)が体調不良を理由に就任わずか8カ月で職務を放り出す事態に。メルトダウンするデジタル庁の現状は―。
〝無名〟の後任デジタル監
「当初の役割を果たせたものとして、次の世代に引き継ぎたいとの意向があった」―。4月26日の記者会見でデジタル担当相の牧島かれんは石倉の退任理由を白々しくもこう説明した。昨年9月の庁発足式で「私はデジタルの専門家でもエンジニアでもない」と言い放ち、「Python(プログラミング言語)にチャレンジしたが、今のところ挫折している」と語り、失笑を買った石倉。そもそも彼女を初代デジタル監に起用した人事そのものが誤りだった。
当時の菅義偉政権は、石倉が日本学術会議副会長などの公職のほか、双日や富士通、資生堂などの有力企業の社外取締役を歴任してきたことを挙げ「公共心の高さやマネジメント能力に秀でている」などとしきりに持ち上げた。しかし、実際は本命候補だったDeNA会長の南場智子に断られ、次善の策と当て込んだ元米マサチューセッツ工科大学メディアラボ所長の伊藤穣一も金銭スキャンダルが発覚して起用できなくなった末の窮余の人事だった。「インターネット業界のドン」でデジタル庁顧問を務める慶応大学教授の村井純や、一橋大卒でつながりが深い〝学者政商〟竹中平蔵らが石倉起用を菅に入れ知恵したとされる。2人は「デジタル素人を操って政府のIT利権に絡もうという魂胆だった」(総務省幹部)というから開いた口が塞がらない。
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