ZAITEN2022年07月号

「人の生活を大切にする」企業理念が聞いて呆れる

第一交通「100歳創業者」の黒い来歴

カテゴリ:企業・経済

 福岡県北九州市に本社を置き、保有台数では日本最大のタクシー会社、第一交通産業グループ。グループ会社は164の連結子会社を含めて180社に及び、その全従業員数は約1万4000名、バスなどを含めた全営業車両数は8787台(いずれも2021年3月末現在)という。  

 福岡証券取引所に単独上場する26社のうちの1社として九州地場企業のカラーが強い同社だが、今年4月、その社名が全国紙に立て続けに登場した。まずは6日、「代表取締役創業者会長」の肩書を持つ黒土始が、今年1月31日に100歳を迎えたのを期に退任し、相談役に退くと自ら会見で発表したのだ。

 13年には勲三等旭日中綬章を叙勲し、副総理の麻生太郎とも懇意なことで知られる黒土の退任会見を、メディアは総じて好意的に報道。朝日新聞は〈人の生活を大切にするという企業理念を実践し、お客様への感謝の気持ちを忘れないで欲しい〉といった会見での黒土の発言を紹介した。  

 同29日には、退任する黒土に「特別功労金」という名目で15億9400万円が支払われることも発表された。会社リリースによれば〈昭和35年創業以降、創業者として62年の長きにわたり当社グループを牽引し、日本一のタクシー保有台数を誇るタクシー事業のみならず、不動産、バスなど多角化した企業グループの礎を築いた多大な功績と、在任中の労に報いるため〉であるという。

原動力は「組合潰し」

 だが、そもそも黒土という人物は、決して朝日の記事に描写されるような好々爺ではない。62年前にわずか5台のタクシーで始めた第一交通を黒土が日本最大のタクシー会社にまでのし上げた原動力は、1967年に宮崎県のタクシー会社を吸収合併したのを皮切りに、同業他社を続々と買収してきたこと。そして買収した会社に労働組合があれば法などお構いなしに殲滅してきたことだ。  

......続きはZAITEN7月号で。

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