ZAITEN2022年07月号
月刊ゴルフ場批評57
キングフィールズゴルフクラブ(千葉県) 批評
カテゴリ:月刊ゴルフ場批評
トーナメント開催コースの〝日常〟はスーパー接待コースだった
「キングフィールズゴルフクラブ」といえば、千葉県でも数々のトーナメントの舞台として使われてきたチャンピオンコースだ。 筆者が初めて訪れたのは、1991年の「第2回サントリーレディスオープン」の時だった。後に賞金女王にもなった村口史子プロが、涙のツアー初優勝を飾ったのを覚えている。
その後も06~11年の「日立3ツアーズ」、11年の公式戦「日本女子プロゴルフ選手権」を開催。ティショットからグリーンまで池が絡むスリリングな最終ホールは、記憶に残っているゴルフファンも多いだろう。 設計はカレドニアンGCや富里GCを設計した、名匠マイケル・ポーレットの流れを汲むベンツ&ポーレット社。開場当時は数少なかった、水と緑のアクセントが際立つアメリカンスタイルのコースとして話題になった。 地形はほぼフラットだが、少し高台に位置していて、コース周辺には風力発電のプロペラが林立している。これはこれで風情があって良い。
もともと各ホールのフェアウエーは広い上、風が強い地形のせいか、開場して40年近く経つのにホールをセパレートする木々が密集していない。開放感があることもあって、ドライバーは振り放題だし、OBゾーンも少ないから曲げ放題だ(苦笑)。
グリーンは大きなワングリーンだが、それほど激しい傾斜は多くない。最終ホールを除けば厳しいレイアウトは少なく、比較的スコアはまとめやすいはずだ。 フェアウエーにディボットなど見当たらず、メンテナンスはほぼ完璧。練習場やアプローチエリアも広々として使いやすく、施設には欠点が見当たらない。
01年、経営母体が神奈川の名門「磯子カンツリークラブ」に移った。磯子CCといえば地元・横浜の中華街にちなんだ広東料理が名物だが、ここも中華が名物。レストランの料理はもちろん、土産品として用意されているシュウマイなどの点心も好評だ。 有名設計家が手掛けたクラブハウス内も落ち着いた内装で居心地が良く、従業員の応対も申し訳ないほど丁寧。明らかに一分の隙もない「接待コース」だ。 コロナ禍で企業の接待ゴルフも激減したせいか、「接待コース」という名前さえ忘れていた。
とかくトーナメント開催コースは敷居が高く、ビジターには冷たいイメージが先行しがちだが、この日ついたキャディの「接待ぶり」には驚かされた。スタートホールのドライバーショットを曲げ、ボールはカート道に止まったが、キャディは素早くボールを拾い上げ、「どうぞこちらから」とフェアウエーに。いやいや、今日は一応コンペだし、プレーヤー自身によるドロップだろ。しかもそのキャディ、やさしい場所に......。
池に打ち込んだ時は、さらにびっくり。ボールを拾ってくれたのはいいが、池を越えたグリーンサイドにボールを投げた。 これではルールも何もない。メジャーまで開催したコースだけに、ゴルフやサービスの本質をはき違えるのはいかがなものか。
●所在地 千葉県市原市新巻377 ●TEL. 0436-36-6111 ●開場 1985(昭和60)年11月1日 ●設計者 ベンツ&ポーレット(改造設計:大久保昌)●ヤーデージ 18ホール、7133ヤード(ブラックティ)、パー72
......続きはZAITEN7月号で。