ZAITEN2022年09月号
大崎洋体制で進む〝政商化〟の裏側
【特集】〝政商〟吉本「増殖する公共利権」演出のキーマン
カテゴリ:企業・経済
ここ10年あまりの吉本興業ホールディングス(HD)の経営状況は謎に包まれている。1949年から株式を上場していた吉本興業は2009年、元ソニーCEO(最高経営責任者)の出井伸之(22年6月没)が代表のファンド会社クオンタム・エンターテイメントをつくって株式公開買い付け(TOB)を実施、翌10年に非上場化した。社名は2度の変更を経て19年に吉本興業HDとなり、事業会社として吉本興業、よしもとデベロップメンツ、よしもとミュージックパブリッシングなど多くの会社を傘下に持つ。非上場化により決算内容は公表されなくなった。
さらに15年には、資本金を124億450万円減少し、1億円とした。この際、15年3月期の決算が明らかになった。営業収益は31億円を計上し、12億3800万円の営業利益を確保。経常利益は10億2000万円となったものの、47億1600万円の特別損失の計上などによって32億1000万円の赤字となっていた。また、18年3月期については、資本準備金の額を20億円減少させることが公告され、官報に貸借対照表の要旨が公表されており、純利益は7億1000万円だった。
このように乏しい情報しかなかったのだが、今年7月、久しぶりに経営状況の一端を垣間見ることができる機会があった。資本準備金を10億円減少し、106億円とする公告が官報に掲載され、同時に22年3月期の貸借対照表の要旨が公表されたのだ。 主要な項目を15年3月期と比べてみると、負債合計は、230億4700万円から180億円に減少。純資産合計は112億4100万円から118億1300万円へと若干増えている。自己資本比率は32・7%から39・6%へとわずかではあるが、改善した。
......続きはZAITEN9月号で。