ZAITEN2022年09月号
月刊ゴルフ場批評59
「丘の公園清里ゴルフコース」批評
カテゴリ:月刊ゴルフ場批評
異例の早い梅雨明けにより夏に突入。こりゃたまらんと、高原リゾートコースに行ってみた。山梨県北杜市清里高原の「丘の公園清里ゴルフコース」だ。 八ヶ岳の南麓に位置する清里高原といえば、1970~80年代に「アンノン族」の聖地としてペンションやタレントショップが林立。軽井沢を凌駕するほどの賑わいを見せたが、今はだいぶ落ち着いている。
中でも県の肝煎りで造られたのが「清里丘の公園」。ゴルフ場やオートキャンプ場、温浴施設、レストランなどが広大な高原に広がる一大総合リゾートで、大自然を満喫できる人気スポットだ。
もともと27ホールのパブリックコースとして運営していたが、19年に八ヶ岳コース9ホールをクローズし、天然芝で遊べる「まきば公園」として整備、一般開放している。そんなに経営難だったとは思えないし、今ならゴルフブームに乗って27ホールを存続できたかもしれない。
クラブハウスは木造で天井が高い山小屋風。壁には高原に咲く花々の紹介パネルが展示され、リゾート気分を盛り上げる。ロッカーにも地元で植林されたカラマツ材が使用されていて、質素だが、なんとも癒やされる。
ハウスを一歩出ると、カラマツや白樺の合間から真っ青な空と深緑のフェアウエーがくっきりと浮かび上がり、プレー前の高揚感がさらにアップ。
コースは林間丘陵。美しい林にセパレートされたフェアウエーはまずまずの広さで、ティショットを思いきり振っていける。標高1160㍍と気圧が低いため、1割ほどボールがよく飛ぶので飛ばし屋になった気分だ。
設計は「山梨県企業局」とあったが、コースはドッグレッグが多く攻略に頭を使う。
クロスバンカーの配置が絶妙だし、グリーン周りも地形をうまく生かしたバンカーが適度なスパイスになっている。決して難コースではないが、攻め甲斐があって楽しめる。
コンディションも上々、グリーンも極端なクセがないからストレスが少ない。これなら人気なのも分かるが、コロナ対策は過剰じゃないか?
レストランは全席が横並びになっていて、壁には〈対面座りは1ペナルティ〉の表示。いきなりイラっとした上に、オーダーはメニューが書かれた紙にマークをして手渡す仕組み。スタッフとの接触を少なくする意図だろうが、ゴルフ場でこんなの初めてだ。メニューは豊富で味も良かったが、リゾート地に来てまで4人横並びじゃ会話もままならない。黙食ってヤツだろうけどな。
トイレはいまだに間引いてあるし、風呂場では脱衣カゴを全撤去。カゴを間引くなら分かるが、使わせない意味が分からない。広い浴室も20人以内の人数制限だ。
県からの指定管理者による運営だろうが、そろそろ〝お役所仕事〟もシチュエーションによって使い分けないと、コロナとの共存なんて永遠に無理だぞ。経済復興を損なわない対応と配慮を切に求めます!
●所在地 山梨県北杜市高根町清里3545-5 ●TEL. 0551-48-3456 ●開場 1986(昭和61)年7月1日 ●設計者 山梨県企業局 ●ヤーデージ 18ホール、6865ヤード、パー72