ZAITEN2022年010月号

〝兄貴分〟葛西敬之死去の陰で―

西武HD後藤高志社長「無能のディスカウントセール」

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「自分の会社の鉄道経営もままならないのに宇宙ロケットのお目付け役が務まるのか」―。8月4日、西武ホールディングス(HD)社長の後藤高志(73)が政府の宇宙政策委員会の新たな委員長に選ばれたとNHKが報道。そのニュースを耳にしたある外資系証券のアナリストは吐き捨てるように呟いた。  

 宇宙政策委は新型ロケット「H3」の打ち上げをはじめ、国の宇宙政策に関する重要事項を審議する。2012年にそれまで文部科学省の審議会だった宇宙開発委員会を廃し、内閣府に置く首相所掌の組織として発足。初代委員長として10年間君臨したJR東海名誉会長、葛西敬之が今年5月に死去、16年から委員を務めていた後藤が後釜に座ったという構図だ。  後藤は葛西や7月に射殺された元首相、安倍晋三らに連なる右派人脈。葛西を宇宙政策委の初代委員長に選んだのは民主党政権だったが、その後10年にもわたって国の宇宙開発の先導役を任せたのは「安倍のナニー(養育母)役」と言われた葛西と安倍の蜜月なくしてはあり得ない人事だった。  

 その葛西に晩年、経済界の〝舎弟〟として寵愛されたのが後藤だった。とはいえ、葛西も後藤も財界の本流からは「異質な人たち」(財界筋)として白眼視されてきた経営者。葛西は、後藤が西武HD社長就任後の07年に一度は締結したグランドプリンスホテル新高輪(東京・港)での日教組教研集会の会場契約を「右翼団体の宣伝活動が宿泊客や周辺住民への危険が予想される」として一方的に破棄した「会場使用拒否事件」を高く評価。以後、後藤が西武HDの筆頭株主だった米投資ファンドのサーベラスと対立した際も救いの手を差し伸べた。  

 後藤にとって、宇宙政策委の委員長ポストは将来の叙勲ランクにもプラスに働くことは確実で、喉から手が出るほど羨望していたに違いない。だが、現実は「ロケットどころではない」はず。本業の西武HDの台所事情はまさに火の車なのだ。

31施設売却も株価続落

 今夏、「第7波」が猛威を振るった新型コロナウイルスのダメージは鉄道会社にとって依然重篤だ。22年3月期連結決算は、営業損失は132億円、経常損失は174億円といずれも2期連続の赤字。最終損益は前の期の723億円の赤字から106億円の黒字に転換したが、これは子会社だった西武建設を電気工事会社のミライトHDに約620億円で譲渡したことなどによる子会社株式売却益約374億円を計上した結果である。子会社株式売却がなければ、単純計算で260億円超の赤字だったことになる。  

......続きはZAITEN10月号で。

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