ZAITEN2022年010月号

「まちづくりガイドライン」の恣意的援用で住民を欺く

IHI・三菱地所「豊洲再開発」で騙し討ち

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 新興の富裕層が住む街、東京・江東区豊洲の不動産開発計画にタワーマンション住民から疑問と怒りの声が上がっている。  

 懸案の開発とは豊洲2丁目の4-2街区で約2・7㌶(サッカー場4面分)の土地に、A棟(100㍍)・B棟(80㍍)の2つのオフィスビルを建てる計画だ。担うのは同地に本社を置き、かつての工場用地を擁す豊洲の大地主、IHI(旧石川島播磨重工業)と不動産デベロッパーの三菱地所。

三井不タワマンは〝日照悪化〟

 そもそもオフィスビルやタワマンが建ち並ぶ豊洲2・3丁目はほとんどがIHIの造船所跡地で、かつては居住者100人ほどの街だった。それが、1988年に地下鉄有楽町線豊洲駅が開業し開発機運が高まると、2000年代に入ってから、タワマンや商業施設、オフィスビルの開業が相次ぎ、居住人口1万1000人超、就業人口3万人超の〝セレブの街〟に変貌。電柱の地下埋設化や歩道空間の確保、公園・緑地などの整備が統一的に図られ、都市整備のお手本とも評価されるまでになった。  

 成功の背景にあるのが開発事業者らが参加する団体「豊洲2・3丁目地区まちづくり協議会」が作成した「まちづくりガイドライン」。これによって建物デザインや看板の色、街路樹の選定まで厳しく制限し、野放図な開発を防ぎ、街のブランド力を高めてきた。  

 先進的な取り組みで開発されてきた豊洲エリアにあって、4-2街区は結婚式場やフットサルコートとして暫定利用されるだけで、本格的な開発が待たれていた。その中で持ち上がったのが今回のオフィスビル計画である。  

 計画は昨年3月に発表され、同年4~5月にかけて地域住民への説明会が行われた。真っ先に反応したのは街区に近接するタワマン「アーバンドックパークシティ豊洲」の住民だった。その関心は従来80㍍とされた建物の高さが100㍍に、500%とされた容積率が600%に緩和されることに集中した。パークシティの側に100㍍のA棟が建つため、一部住居の日照が悪くなってしまうのだ。  

 開発街区の向かいには三菱地所開発のオフィスビル、豊洲フォレシアや豊洲フロントがあるが、こちらは当初の建築規制に合わせて約80㍍に高さが統一されている。今回建てられるA棟だけが20㍍高く、他のビルから頭抜けることになり、三菱地所やIHIが自ら調和を乱す開発に乗り出すことを疑問視、憤る住民も多かった。 「パークシティは三井不動産が分譲したマンションなので、住民の間では、その資産価値を下げるために地所が三井に嫌がらせをしているのではないかという怒りの声すらある」(パークシティ住民)  

......続きはZAITEN10月号で。

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