ZAITEN2022年010月号
月刊ゴルフ場批評60
「茨城ゴルフ倶楽部 西コース」批評
カテゴリ:月刊ゴルフ場批評
「茨城ゴルフ倶楽部」といえば、「日本オープン」をはじめ、西コースも東コースも幾多のトーナメントが開催されてきたチャンピオンコース。最近では女子のメジャー大会「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」の会場として東西両コースをほぼ交互に使い開催している。昭和世代には男子のアジアサーキット最終戦として行われていた「ダンロップオープン」や、「アジアパシフィック キリンオープン」などのイメージが強いかもしれない。
数えきれないほどの熱戦が繰り広げられてきた名コースのはずだが、どうも茨城GCで記憶に残るような名勝負、迫力のある優勝争いが浮かんでこない。コースレイアウトが単調というか、だいぶ地味だからなのだ。
東コースは最終が池絡みのパー5なので、まだスリリングな展開も期待できるが、西コースは上がり3ホールに特徴が乏しく、展開も地味になりやすい。
西コースで行われた今年のサロンパスもメジャー大会とあって、グリーンのスピードは世界クラスの13㌳超。高速グリーンと手ごわいラフで、実力者が上位を独占する大会となった。といえば、玄人受けはするだろうが、観戦側からすると面白味がない。
関東では貴重な名匠・上田治氏設計の36ホールであり、プロ、上級者には難しい半面、アベレージゴルファーにはやさしくというコンセプト。確かに地形はほぼフラットでフェアウエーも広く、苛烈なハザードは少ない。グリーンも一般営業のセッティングなら、ヘボでも太刀打ちできる。実際、同じ茨城県の名門「大洗GC」や「龍ヶ崎CC」に対し、やや格落ちなのは否めないだろう。
それでいながら、茨城GCの人気ぶりは凄まじい。うだるような真夏の平日、朝からハウスは人でいっぱい。フロントにはチェックインを待つビジターの行列が30人近く! ロッカーも人が多すぎて落ちつかないし、トイレやレストランもゴルファーで溢れている。
この暑さなのに練習場も打席待ちしているし、練習グリーンは人の合間を縫うようにしてボールを転がしている。さすがに大衆コースとは違い、プレーの流れはスムーズだったが、せっかく感じのいいキャディが付いて喜んでいたら、後半は交代だという。
いわゆる「回し」というヤツだ。数が足りないとキャディの休憩時間を削り、前の組に移動。しかも、後半ついたのは派遣会社の男性スタッフだよ......。仕事の内容に大差はないが、テンションは下がるよなぁ。
この日は西コースでちょっとしたコンペだったが、やはりなかなかの好スコア続出。
テレビでプロが四苦八苦するトーナメントコースで、そこそこの好スコア出してご満悦だ。要するにこれが大人気の要因であり、西コースの存在意義というわけ。
風呂場も大衆浴場のような混雑ぶり。ハウスは平屋だし、使い勝手は申し分ないが、36ホールのコースとしては手狭なんだろうな。なんとか対策を講じてもらいたい。いろいろな思いが交錯した真夏の一幕だった。
●所在地 茨城県つくばみらい市小島新田102 ●TEL. 0297-58-1216 ●開場1962(昭和37)年9月28日 ●設計者 上田治 ●ヤーデージ 18ホール、7100ヤード(Aグリーン)、パー72