ZAITEN2022年012月号
コンプライアンスの意識が欠如
山形大学「研究費不正使用」と「壮絶パワハラ」
カテゴリ:事件・社会
国立大学法人の山形大学で、前代未聞の不祥事が起きていることをご存じだろうか。
米沢市にある工学部有機エレクトロニクス研究センターでは、前センター長らが3つの国立研究開発法人から委託されていた研究費のうち、約3000万円を不正に使用していたことが今年3月に明らかになった。
大学は「令和2年9月から複数回にわたり、本学教職員から自身が所属する有機エレクトロニクス研究センターの研究室において競争的資金等の不正使用がある、との通報が本学及び研究費配分機関に寄せられた」と経緯を説明。調査の結果、科学技術振興機構(JST)と海上・港湾・航空技術研究所(うみそら研)、それに新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から委託された研究費について、センター長と教授の2人が関与して、別の事業への流用や、人件費の流用などが行われていたことを認めた。ただ、不正使用についてうみそら研が認定した金額が1056万円なのに対し、大学が認定した額は914万円と約140万円少ない。また、約3000万円のうち約1020万円は「問題のある不適切支出だった」としているが、その内容は明らかにしていない
さらに驚くのは処分の軽さだ。処分されたのはセンター長1人だけで、停職3カ月だった。しかもこの前センター長は、9月に大学に復帰しているという。
この幕引きに対し、「この問題は何も解決していない」と山形大学の関係者は憤る。それは、不正使用が発覚したのは、研究センターに勤務していた有期雇用の研究者に対する壮絶なハラスメントが発端で、そのハラスメントを大学が認めていないからだ。関係者は次のように証言する。
「着任したばかりの研究者に、いきなりベンチャーを立ち上げろと指示します。けれども、資金を出すわけではありません。多額の借金をさせた上で、ベンチャーを立ち上げるように強要するのです」
研究員の不自然な死
被害に遭った1人は、豊富な研究費があることや、ベンチャー設立に関する補助があるからと誘われて就職したが、実際は話が違っていた。さらに、ベンチャー設立の責任を負わされたにもかかわらず、業務が遅れたことを理由に「来期は雇用できない」と告げられた。また、研究費の不正流用に加担させられそうになったという証言もある。
......続きはZAITEN12月号で。