ZAITEN2022年012月号
和製ヘッジファンド「ハヤテインベストメント」のプロ野球「2軍参入」騒動
ハヤテインベストメントのプロ野球「2軍参入」騒動
カテゴリ:事件・社会
プロ野球に66年ぶりの新球団誕生か―。
7月の日本野球機構(NPB)オーナー会議で、巨人オーナー(読売新聞グループ本社社長)の山口寿一(65)が提案した「13番目の球団」。他球団が驚いたのはその唐突さだけではない。「新球団」は静岡県を本拠地に2軍だけで編成し、東日本の7球団が所属するイースタン・リーグに参加。スポンサーとなる企業は世間では無名の投資ファンドという。「球界の盟主」を自認する読売の思惑を巡り「〝ドラフト逃れ〟の奥の手ではないか」といった様々な憶測が飛び交っている。
「新球団」浮上のニュースは2カ月間伏せられ、マスコミに流れたのは9月半ばになってから。『産経新聞』大阪夕刊が16日付で〈プロ野球、13番目の新球団 2軍参入...巨人推進も複数は反対〉との記事を掲載。21日にオーナー会議が開かれたこともあり、スポーツ各紙や『朝日新聞』がオーナー会議で議論が行われていることを報じたが、提案者である読売の紙面には記事が見当たらない。オーナー会議のメンバーである『中日新聞』(傘下の東京新聞を含む)も同様だ。
「かつて横浜ベイスターズのオーナーだったTBSなど新聞やテレビ局などメディア企業がプロ野球球団を所有する例は少なくない。だが、ネガティブなネタになると、メディアの自覚を失い、情報開示が極端に悪くなるという共通点がある」 全国紙のベテランのスポーツ記者はこう指摘する。 「2軍限定」とはいえ、計画されている2024年に参入が実現すれば、現行の12球団制が確立した58年以来の「新球団誕生」で、本来なら「推進派」の読売が大きく報じても不思議ではないが、前述のように音無しの構えで、系列の『スポーツ報知』も〈プロ野球オーナー会議 静岡の2軍新球団は継続審議〉(9月22日付)と小さな記事で報じただけだ。
気になるスポンサー
ところで、もう1つ気になるのは、1軍を置かずに2軍だけという前代未聞の提案で名乗りを挙げた「新球団」のスポンサー企業の正体。社名は「ハヤテインベストメント」、東京・兜町の東京証券取引所至近のビルに本社を置く投資ファンドである。マスコミに殆ど登場しないものの、「機関投資家や富裕層ではよく知られている〝和製ヘッジファンド〟」(大手証券会社関係者)とされる。
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