ZAITEN2023年001月号
11年間発電量「0」のゾンビ電力会社
【特集】日本原子力発電「東海・敦賀再稼働」への悪あがき
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11年間発電量が「ゼロ」なのに大手電力から累計1・2兆円超の収入を得ている発電会社がある。その名は日本原子力発電(東京・台東区)。65年前、国内初の原子力発電所を建設する目的で大手電力9社が80%を出資して設立した。2011年の福島第1原発(イチエフ)事故後に稼働中だった保有原発3基がいずれも運転停止となり、以後ずっと「開店休業状態」だったが、ここに来てエネルギー危機を理由に東海第2原発(茨城県)と敦賀原発(福井県)2号機について運転再開に向けた動きが報じられるようになった。ただ、この2基は「決して再稼働させてはいけない」と批判を浴び続けてきた原発なのである。
2原発再稼働へのハードル
「国も前面に立って地元の皆さんに丁寧に説明したい」
10月29日、経済産業相の西村康稔は茨城県大洗町の日本原子力研究開発機構を視察に訪れた際、同県東海村にある日本原電の東海第2原発の再稼働についてこうコメント。首相の岸田文雄が8月末、来年夏以降に再稼働を目指す7原発の1つに組み入れたことを背景に、政府の原発支援の姿勢を改めて強調した。こうした国の動きに対し、地元は猛反発。前東海村長の村上達也は「福島第1原発事故の教訓に基づいてきた原発政策を国民に問うこともせず路線変更した。非常に独裁的な決め方」と激しく反発している。
同原発はイチエフ事故を起こした原子炉と同型の沸騰水型軽水炉(BWR)で出力は110万㌔㍗。1978年11月に営業運転を開始した。11年3月11日の東日本大震災で震度6弱の揺れに見舞われ、3系統の外部電源全てが失われて危機的状況に陥ったが、震災2日前に海水ポンプエリアの防護壁を4・9㍍から6・11㍍に積み増す工事を完了していたことでかろうじて原子炉冷却が可能になった。
......続きはZAITEN1月号で。